このページはJavaScriptを使用しています。
ご使用中のブラウザはJavaScriptが無効になっているか、JavaScriptに対応していません。
サイトを正しく表示、ご利用いただくには、
JavaScriptを有効にするか、JavaScriptが使用可能なブラウザでアクセスして下さい。

ベトナム人の若者は未来への架け橋

日本に多くのベトナム人が技能実習生や留学生としてやってきていることはほとんどの方がご存知のことと思います。その在留者数だけでも30万人を超えます。コンビニや飲食店従業員の多くでベトナム人が働いていますし、実習生が基本的に休日となる週末には、繁華街を歩いている姿をよく見かけるようになりました。

日本側から見ると、このような現実の姿しか見えてきません。しかし彼らは基本的には移民ではありませんので、一部行方不明者を除き、3年間の実習期間や学校を卒業するとベトナムに帰国していきます。日本に滞在している間に、ほとんどのベトナム人は程度の差こそあれ、日本語を理解し話せるようになり、戦力的に欠かせなくなった技能実習生であっても、そのまま本採用することはできません。語学学校を卒業しただけでは滞在資格を得ることができません。もったいないこと仕方がないのですが、特定技能資格という新しい在留資格を設けることで何とか活用の道を広げようとしているものの限界があります。

ベトナムに帰国した彼らに、果たして日本での技能実習や日本語勉強の成果を生かせる就職先がベトナムにあるでしょうか。実際は非常に限られています。日本企業の現地法人で採用されている人もいますが、毎年10万人近くが戻ってくるのです。活用できる人材の数はほんの一部です。技能実習の本来の目的は、実習を通じて獲得した能力やスキルを本国の経済発展に資することにあります。ところが、現実は産業構造が違いますし、スキルを生かす企業の経営レベルの発達度合いも違うため、人材能力と仕事のミスマッチが起きることで、非常にもったいない状況を呈しています。

日本企業の視点からは、人が足らないからどんどん実習生の数を増やしたいという動機があるわけです。3年の実習を終えて帰らねばならない人と何とか残したいということよりも、毎年新しい実習生を継続的に受け入れる動きを強めているだけです。

日本語ができるベトナム人が増えている

これは現地にいる駐在員や、しょっちゅうベトナムを訪問している人は日常よく経験していることですが、ここ数年日本語ができるベトナム人が非常に増えているのです。今まで日本語ができる社員を採用しようとする場合には、大学の日本語学科を出た人がそのリソースの中心でした。ハノイでいえば外語貿易大学やハノイ国家大学の日本語学科を卒業した人に限られ、いくら日本語でN2レベルをもっていたとしても、日本には一度も行ったことがない人も多かったのが実態でした。

ところが最近では大きく変化してます。当然のことながら技能実習生上がりや留学卒業生がどんどんベトナムで増えています。そして彼らは日本で生活してきた実体験を有しています。外国からベトナムを見る視点を持っています。人材ポテンシャルとしては、日本企業にとって大きな戦力となると思います。実習生や留学生が日本での在留資格を得られないといっても、いったん現地法人で採用すれば、そこで経験を積ませることで、社内転勤という立場で在留資格を得ることが可能となります。是非貴重な人材を活用してもらう方法を考えてもらいたいと考えます。

環境意識が非常に高いベトナム人の若い人たち

今月ベトナムに出張した折、あるショッピングセンターのイベントスペースで、ある若者の環境ボランティア団体がベトナムの環境取り組み推進のために協力を求めていました。リサイクルへの協力であったり、苗木を販売したり、環境ポスターを掲示したりしていました。

そこで興味をもった私が片言のベトナム語で話を聞こうとしたときのことです。日本人かと聞かれたので「そうだ」といったところ、ある若者が近づいてきて、流暢な日本語で「日本の熊本県で技能実習生として日本の農場で働いていた。そのまま日本にはおれないので一旦帰ってきたが、今度は日本に留学して環境について学び、ベトナムの環境が少しでもよくなるように貢献していきたい」と熱い思いを語ってくれたのです。

このような人材に日本で働いてもらい続ける制度となっていないのはもったいないと感じるとともに、彼らのような日本での生活を経験した若者こそが、日本・ベトナム両国の絆の架け橋になる貴重な人材だとの思いを強く持ちました。

今ベトナムの環境問題は危機的状況になりつつあります。これを救える原動力となりえるのは、まさに日本企業による環境分野の人材貢献であり、日本を経験した実習生や留学生そのものであり、両国の強い絆そのものであると確信しています。人づくりを通じて環境問題の解決に少しでも貢献していきたいと思っています。