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ベトナム人の団結力の強さ

先週ベトナムに出張していた一週間は、サッカーU23アジアカップでベトナムチームが大活躍し、準決勝を撃破し決勝進出で国を挙げて大騒ぎとなった様子を目の当たりにし、そのときに感じた印象をブログでも発信しました。

その一週間は、毎年4回受託しているベトナム人経営人材育成に関するODAプログラムでの研修講師の仕事でした。この研修は「経営塾」というもので、ベトナム人経営者が日本式マネジメントをほぼ10か月かけて取り組むプログラムです。私自身が担当させていただくようになって5年目を迎え、毎回25名ほどの塾生に5日間連続で朝から夕方までぶっ通しで行う研修で、日本語からベトナム語へ逐次通訳で行って正直疲れるのですが、毎年の塾生はそれぞれ特徴があって、私自身も非常に刺激を受けています。

ベトナム人経営者と言いましても、全体的に若い人が多く、30代前半から40代前半ぐらいのアグレッシブな経営者ばかりで、経営を学んで飛躍していこうというモチベーションが非常に高い人ばかりです。30才そこそこの社長さんでも200人以上の従業員を抱えていたり、年商も50億円以上もあって、ベンツに乗っている方も珍しくありません。やはり経営は行動力がモノをいうということを強く感じるとともに、さらに経営知識を身につけて上を目指そうというベトナム人経営者の意識の高さに刺激を受けることが多いのです。

この経営塾の塾生は、単にJICAが支援するODAの一環としての研修に参加して勉強するだけに来ているのではありません。10か月間の長期研修の中には本邦研修も組み込まれており、塾生相互の交流も活発で、「KEIEIJUKU CLUB」というOB会組織も定着して、経営塾後も経営者相互に自己啓発や事業関係の構築も進めています。ベトナム政府からも高く評価されており、参加希望者もどんどん増えているようです。

先週の経営塾はハノイ9期というクラスなのですが、今回の塾生のモチベーションは今まで以上のもので、本来は経営塾終了後に活動を始めるところ、このクラスは研修真っ最中の時期から、塾生間の相互交流が非常に活発で、塾生企業に訪問して経営診断を通じて勉強しているようです。この経営力を高めていきたいというアグレッシブな経営者同士の団結力も高いのも印象的でした。日本にも経営者交流組織はいろいろとありますが、これほど団結力とモチベーションの高い経営者の集まりはあまり見たことがありません。いずれ日本経営もベトナム人の経営力の後塵を拝すのではないかと感じたのでした。

このベトナム人の団結力の高さは、経営とは別の次元での背景があるように思えるのです。先週のサッカーU23での熱狂と国をあげてのまとまった応援にも国民性としての団結力の高さを感じます。ベトナム人は、普段はおとなしく、恥ずかしがり屋なところがある物静かな国民で、ある面非常に日本人に近いと思います。また、団結力という点でも、一つ目標が明確になったときには、物凄いパワーを出すことにおいても似通ったところがあります。ベトナム語で「団結」のことを「Doan ket」(ドアンケット)と言います。ほとんど日本語と同じ発音というのも、歴史的に何かつながりを感じます。

ベトナムも社会的課題はいろいろとあります。しかし、その克服に向けて頑張る姿は以前に比べてより力強くなってきているように思います。第二次世界大戦後もベトナムはフランスとの独立戦争、中越戦争、そしてベトナム戦争と多くの戦禍に巻き込まれてきました。しかしベトナムはそのたびに国民の団結力で乗り越えてきたのです。長年中国からの圧力を受けながらもしたたかに外敵に立ち向かって勝ち抜いてきたベトナム人の強さは、この団結力にあると思えて仕方がないのです。