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海外取引先に求める要件

JICAのODA支援の一環として、ベトナム経営人材育成研修のプログラムとして「経営塾」に関わらせていただくようになって、多くのベトナム人経営者とのコンタクトが増えています。(今、私のフェイスブックの友だちの数は日本人よりベトナム人の方が多くなってしまいました)。「経営塾」では単に経営ノウハウを勉強するだけでなく、どうやれば日本企業との取引を行うことができるのか、どういうことが日本企業から求められているのか、などについてもお互い学習をします。日本企業とベトナム企業感の取引は、ベトナム企業が一方的に望んでいるのではなく、多くの日本企業もベトナム企業との取引を行うメリットを感じています。しかし、どうしても双方それぞれが望む企業をどうやって探して、どうやって関係を作っていったら良いかわからないと日越双方ともに感じているのです。日本企業にとってもベトナム企業との取引は有益ですし、ベトナム企業にとってもメリットが大きいのは間違いありませんが、ただ双方の思いに少しずれがあって、なかなかWINWINの関係で取引が成功するところまでいかないのが大半ではないでしょうか。

JICA側も「経営塾」のお役立ちとして、日越企業のマッチングを何とか成功させていきたいとの思いがあり、私の担当研修プログラムの中に何とか組み込んでいこうと考えているところです。そこで、日越企業それぞれが相手側に期待しているところのすれ違いについて、私なりに次のようなポイントから研修の中身を考えているところです。

取引先はあくまでパートナー

海外取引先には主に合弁など資本関係を結んだうえでの事業パートナーや提携や代理店などの契約によるパートナーとしての取引、そして商品取引を基本とした売買取引に分けられます。ただ、商習慣が異なる外国の取引先との関係においては、単なる商品の取引であったとしても、相手との間ではパートナーとして相互信頼関係の構築が重要ではないかと思います。

海外取引先は、商習慣が異なるだけでなく、密接にコンタクトすることが難しいため、いろいろと細かく契約を詰める必要があることは間違いありませんが、どのような取引形態であったとしても、相手との間でお互い信頼しあったWIN-WINの取引でなければ長続きしません。まして海外取引では代金回収を含めたリスクが国内取引より高く、商品の品質確保や取引後のサービスなど、問題が起きたときに契約に基づいて法的紛争に発展するとお互い時間と労力が無駄になり、双方とも不幸になります。それだけに、事業パートナーとしての取引は無論のこと、一般的な商品取引においても信頼のおける相手といかに取引できるかが重要な条件です。

特に事業パートナーとして取引するときには、経営上重要な経営資源の一部を相手側に担ってもらうことになるだけに、双方にとってWIN-WINをもたらすものでなければなりません。いかにこの取引で儲けるかを第一義に考えるのではなく、いかに自社との取引によって相手にメリットを感じてもらえるかを優先できる企業を見つけることが重要です。そのためには、事業観やビジョンが共感しあえること、これが最重要課題です。どうも日常のやり取りを通じて、相手側に誠意が感じられない、自社の都合ばかりで、どうやって有利な条件で契約するかばかりを考えて契約書の文言交渉に臨むようなところは考え直した方が良いのではないかと思います。お互い目ざす方向が同じで、一緒に協力して発展していこうという思いが一致すれば自ずからうまく進むのではないでしょうか。

求められるサプライヤーとしての条件

事業パートナーではなく、商品・サービスのサプライヤー、バイヤーとしての取引関係が一般的ですが、相手に求める条件としては、通常QCDである品質、価格、納期が3大条件です。これらは当然の条件ですが、それをクリアする前に基本的に提供できる機能が買う側にとって価値があるかどうかが一番大事です。顧客価値は、求められる価値がオーバースペックであっても条件を満たしているとはいえません。ムダな価値を提供する商品であれば、当然コストも割高になりますし、これは品質も納期も同じことになります。最大の顧客価値とは、買った側がその商品から得られる機能や便益を使って、その買った側にとっての顧客に対する価値を生むことに貢献するものということになります。部品やサービスの価値が、最終的な顧客に最大の価値を創出してつなげていけるものかどうかがサプライヤーとしての評価になるのです。

日本企業が最も重視する価値とは

ベトナム人経営者に対して、日本企業と取引を行うときには、事業パートナーであってもサプライヤーであっても、顧客価値向上に貢献できるために何を提案できるかを最優先で考えることが重要と伝えています。これは日本企業にとって海外企業と取引する際にも同じことであろうと思いますし、無論国内での取引でも顧客第一の経営姿勢が成長の源泉です。

ただ、特にベトナム企業に対して、日本企業と取引をしようとするときに留意すべき点として伝えていることがあります。それは、日本企業が最も大事にする価値観は、「時間」と「信頼」であるということです。約束を守ることは絶対優先であって、とりわけ時間厳守、納期・支払いの約束の履行が相互信頼の基本として、「時間とカネに鈍感な企業は相手にしてくれない」ことを肝に銘じるようにお願いしています。

一方、ベトナム人が大事にする価値観を日本企業も理解することが必要なこともたくさんあるのです。
それはどういうことでしょうか・・・・ ではまたの機会に。