このページはJavaScriptを使用しています。
ご使用中のブラウザはJavaScriptが無効になっているか、JavaScriptに対応していません。
サイトを正しく表示、ご利用いただくには、
JavaScriptを有効にするか、JavaScriptが使用可能なブラウザでアクセスして下さい。

飴と鞭がなければ人は動かないのか

初めてマイナンバーカードを使ってコンビニで印鑑証明書を発行してもらいました。コンビニで印鑑証明や住民票、戸籍抄本の写し、納税証明書も取れるということは知っていました。今まではわざわざ市役所まで足を運んでいたわけですが、昨年作ったマイナンバーカードを使って初めてコンビニで取りました。マイナンバーカードを発行してもらわなくても、身分証明に関しては免許証や通知カードがあれば特に不便はないだとうと考えていましたが、昨年の5月以降で通知カードが身分証明には使えなくなることや、マイナポイント制度で5,000円貰えるということから、少し面倒でしたけど思い切ってマイナンバーカードを作りました。

以前よりマイナンバーカードの普及が伸びないという課題がありましたが、この飴と鞭がきっかけとなって2020年度の交付件数が過去最多を更新し、一年間でおよそ1,558万枚が交付され、年度末での交付枚数はおよそ3,590万米に達し、普及率は28%に達したとのことです。いくら政府が普及促進のPRを行ってもなかなか伸びなかったのが、マイナポイントという飴を出した途端、過去4倍増の申請新規がなされ4人に1人が既にカードを持つことになりました。

やはり社会全体に人に行動を促すのは、良い悪いは別にして飴と鞭が必要なんだと思いました。

通知カードが身分証明には使えなくなるという鞭としてはあまり大した影響はないとは思いますが、結果的には5,000円のマイナポイント一つでここまで普及が伸びたわけですから、具体的なメリットとデメリットを体感させることが人の行動を変える動機になるのは間違いありません。今まで市マイナンバーカードを取得する手続きの面倒さから、私自身の行動変容を変えて来なかったわけですが、5,000円につられたとはいえ、実際今回コンビニで印鑑証明書を取得できたことによる便利さについては思ってはいませんでした。

市役所に行って住民票や印鑑証明書を取得するには、もちろん住んでいる市役所まで業務時間に行けば良いわけですが、マイナンバーカードがあれば全国どこのコンビニでもコピー機の端末から取得できるのですから、その便利さについては経験して初めて実感したことになります。

今後マイナンバーカードは運転免許証の代わりになったり、健康保険証の代用もできたり、お薬手帳を持ち運ぶ必要もなくなるなど、さらに便利になっていくのは間違いありません。ただそれだけではなかなか普及の加速は厳しいでしょう。5,000円を貰えるのに申請しなかった人がまだ7割いるわけですから、どんなに便利になっても普及が拡大していくのは厳しいでしょう。やはり残念ですが、マイナンバーカードがないと不便になる、メリットがなくなるということがもっと出てこないと普及は難しいのではないかと感じるのです。

実際、確定申告の際や株式売買、銀行口座開設にはマイナンバーを記載しなければなりませんが、そのときにマーナンバーカードによる電子申請を条件化すればやむを得ずカードを持つ必要が出てきます。また電子商取引における本人確認において、運転免許証による確認よりも単純化したり、マイナンバーカードによって本人確認された銀行口座については振替手続きを即時行えるようにすることや、給付金や還付手続きにかかる日数を短縮するなど、持たないことによるデメリットがどんどん出てくることで普及拡大につながるのではないかと思います。

反対があろうとも一番の効果は、マイナンバーカードに紐づけされた口座を持っている人のみ一時支援金を給付申請の受付条件とすれば、さらに一気に普及が拡大するのは間違いありません。

それでも銀行口座をマイナンバーで個人特定されるのは嫌だという人は多いとは思いますが、既に運転免許番号しかり、年金番号も、クレジットカード番号もあらゆるところで個人は番号管理されています。嫌だという人のほとんどは複数ある銀行口座が名寄せされて金融資産のすべてがばれてしまうからというものだと思います。ただ税務署などは査察などでその気になれば、お金の出と入りを正確に把握できることが可能で、番号が複数で管理されているために非効率であるということに過ぎません。

実際、コロナ対応給付金の手続きでやたらと時間がかかったのは住民基本台帳の管理と納税管理、年金や銀行口座の管理が一元化されていないためです。今後国の政策として給付型で減税を行うときにもマイナンバーで一元的に対応できれば、行政の効率化とともにスピード対応が可能になります。今後デジタル庁が発足すれば行政のIT化が加速していくことでしょうが、個人情報を国に番号で把握されることに嫌悪感を感じてる人が多い限りはなかなか普及は厳しいところです。

一方、法人経営者であれば誰でもわかっていることですが、法人には既に一社ずつ法人番号が割り振られており、法人登記の内容も税管理も社会保険も銀行管理も一発で把握できます。現在は個人事業者については番号管理はされていないので実態把握が難しい点もあるのですが、今後税管理のために番号を割り振るとの話も出ているようです。

一方、法人経営においても結構法人登記証明や印鑑証明を求められることが多いです。しかし、この証明書を取得するにはわざわざ法務局まで行かなければならず、実際法務局では法務局の印鑑カードをキオスク端末に入れて申請するのですから、これもやる気になればコンビニでも十分発行は可能と思うのですがどうして進まないのでしょうか。

個人にせよ企業にせよ番号管理についての抵抗を感じる方は多いことでしょう。国に把握されるのは自由の侵害だというのですが、結局は全てのカネの出入りをごまかしようがないというのが本音のような気がします。

それよりももっと危険なのは、マイナンバーとは全く関係なく、私たちの個人情報をSNSのプラットフォーム企業が把握し、よりによって外国に流出させてしまっていることだと思います。こちらの方こそもっと敏感に受け止めるべきではないでしょうか。国に把握されるより外国が自由にプライバシー情報を掴まれる方が怖いとは思いませんか。