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宝くじを買わない理由

最近、宝くじの売上減少が続いているようです。地方自治体にとって大きな収益源となっているのは知られていますが、2017年の売上は前年比6.9% 減となり、2005年のピークからは約3割も落ちています。地方自治体にとっては財政に不可欠で、宣伝を強化して需要掘り起こしに躍起になっています。年末ジャンボの販売時期になるとこれでもかというぐらいテレビコマーシャルが放映されます。この販売不振の原因は、年金受給者の増加であるとか、実質的な所得減少が続いている若年層の購入減少だとか分析されているようですが、本当のところは高額当選金という宝くじの欺瞞性に気づいた賢い消費者が増えてきたからではないかと思っています。

私は最近宝くじはほとんど買いません。以前は「夢を買う」とか「買わなければ当たらない」とかの甘い宣伝文句で年末ジャンボを何回か買った経験がありますが、これにカネを使うことの意味のなさに気づいてから馬鹿らしくなって完全に買うのをやめました。

宝くじはそもそも期待収益性がマイナスのリターンがほとんどないもので、とても投資と呼べるものではありません。限りなくギャンブルに近いものです。ギャンブルであれば競馬やパチンコ、海外ではカジノなどがありますが、賭け方によっては偶然性はあるものの結構1以上のリターンは期待できる場合が多いです。ギャンブルも投資も元本割れをするリスクがあるという点では同じですが、投資というイメージを植え付けることができれば心理的障害を低くすることができるのです。しかも、宝くじの収益は公共事業や様々な社会貢献事業に使われているという公益性を前面に押し出すことにより、「夢を買うことができるだけでなく社会資本の投資に役立っている」と思いこまされた人がたくさん買っているに過ぎないのです。

宝くじはややもすれば1等の高額当選金ばかり強調されますが、実態は売上のうち当選金で分配するのはわずか47%しかなく、いわゆる胴元である地方自治体は40%を財源として抜いてしまうのです。つまり宝くじ購入者は、リターンされない購入代金の40%を自主的に税金の代わりに収めているに過ぎません。そんなに皆さん税金を払いたいですか。

稼ぎを何に使うか

「買わなければ当たらない、これは夢を買ってるんだ」とよく言われますが、実際の確率は米俵からたった一粒の米粒を摘まみ上げるぐらいのものなのです。その確率のために一生懸命働いて得た給料から何千円、何万円を出すことができますか。10枚3000円を連番で買うぐらいなら、美味しいランチを食べるか、映画を見るか、本を買うか、それともセミナーを聞きにいくかの方が、よほど将来の自分自身への投資として生き金になると思っています。

ある高校生に向けた講演で、自分が稼いだカネをどう使おうが自分の勝手だという生徒がほとんどだったという話をしました。使い道まで人に指図されるいわれはないというのは当然至極なのですが、自分自身の稼ぎは何も自分の能力だけで得たものではなく、両親はじめ国、社会が教育投資をしてくれたおかげであることも考える必要があるでしょう。将来の社会を支える次世代の後継人材育成へ社会貢献にカネや時間を使うことと、自分自身の能力向上に投資することで、将来さらに社会に付加価値を創造する大きな仕事に挑戦していく生き方も必要だと考えています。

その意味では、せっかく育ててもらって得た稼ぎを付加価値の生まないギャンブルに使うのは社会的にも非常にもったいないと思うのです。ギャンブルは一攫千金という楽して儲けたいという悲しい人間の性につけこんだものです。結局楽して儲けるのは胴元です。中には宝くじがあたって家を建てたとか、競馬に大当たりしたという人もいることはいるでしょう。しかし、手を出した人のほとんどはそういった世界とは縁がないのです。

宝くじは地方財政に貢献するものだから、夢を買うとともに社会に役立てるくじをもっと買いましょうという甘言に騙されてはいけないのです。胴元搾取の一番ひどいのが宝くじです。競馬でも25%ですし、パチンコは10~15%、カジノなどは1%~5%といったところです。4割もピンハネする濡れ手に粟のような事業がいつまでも続くとは思えないのです。

地方自治体は宝くじ、農水省は競馬、経産省は競輪とオートレース、国交省は競艇と、公営ギャンブルとして税金以外に吸い上げている財源であることを考えると、これにカネを使うことは本当に社会の役に立っているのかと疑問に思わざるを得ません。

ちなみには私は宝くじを買わないだけでなく、ギャンブルにはほとんど手を出しません。これに使うカネがあるのなら、美味しいものを食べるか、人生を豊かにする体験や勉強に費やしたいと思います。