このページはJavaScriptを使用しています。
ご使用中のブラウザはJavaScriptが無効になっているか、JavaScriptに対応していません。
サイトを正しく表示、ご利用いただくには、
JavaScriptを有効にするか、JavaScriptが使用可能なブラウザでアクセスして下さい。

リアル店舗の顧客価値と電子商取引の限界

コロナの影響とデジタル技術の加速は私たちの生活様式を一変させています。飲食店は感染対策のために休業が余儀なくされこととも相まって、テイクアウト形態にシフトしていく店舗が増えています。UBERなどフードデリバリが走り回っている姿は当たり前になりました。

街に出かけてウィンドウショッピングをしながら買い物を楽しむよりも、インターネットサイトからクレジットカードで買い物をする方がより便利になったのを実感します。電球一個や電池、シャンプーなど日用品が切れたときに、わざわざお店に買いに行くよりも、ポチっとするだけで早ければその日か翌日には玄関先まで配達してくれるのです。ほしいものを探してあちこち店を探しまわるのも、以前は何とも思わなかったのですが、今や買い物に行くこと自体が面倒くさくなっている自分自身の変化を感じます。必要なものを短時間で探し出して、ほしいときにほしいところに持ってきてもらうというサービスは実店舗では不可能ですし、オンラインショッピングは圧倒的な優位性を持っています。

メディアや情報産業も一変してしまいました。SNS全盛の時代を迎え、情報資産はもはや新聞社や出版、放送局など既存メディアが独占することはできなくなりました。情報は必要な人が必要なときに必要なコンテンツを取得することに価値が生まれることに完全にシフトしてしまいました。上から下で一方向で決まった時間や日に情報を流すことしかできない既存メディアの存在価値は急降下しています。

実際、最近本当にテレビを見なくなりました。朝から昼まで偏向的でくだらないワイドショウは毎日同じ話題ばかり繰り返し、どのチャネルもほとんど変わりがありません。夜は夜で見たいと思わせるような番組はほとんどありません。世のなかの動きを知るためには、テレビや新聞に依存していては正しい情報を得ることはできないと強く感じるようになりました。テレビや新聞を見る時間があるなら、玉石混交のカオスなネット空間から広い視野で物事を情報を見極めるスキルが高まるのではないかと思うのです。

このようにどんどんデジタルネット社会へ私たち自身の価値観も大きく変化しているのですが、とはいっても全てオンラインによる商品やサービスの提供が顧客が真に求めているものなのかについて考えてみたいと思います。私は何がなんでもオンラインをもっと進めるべきだとは考えていません。人材育成においてもe-Learningを拡大することで、学びたい人が自由に学びたい時間に取組め、集合研修よりも拘束される時間もなく、交通費や人件費等のコスト削減にもつながるというメリットがあることは認めますが、教育効果として果たしてどうなのかという点も考えるべきだと思っています。

オンラインショッピングの利便性とリアル店舗の価値

私自身は、毎日必要な生鮮食品関係の買い物はまだまだオンラインで購入はしていません。もちろん自宅配送までサービスを提供してくれるオンラインスーパーもありますが、毎日口にするものをネットで発注するのは抵抗感があります。実際手に取って鮮度を見たり、賞味期限を確認して買うことはもちろん、いろんな種類の野菜や果物を比較しながら、新しいものや珍しいものを試しに買ってみたいと思うのは、ところもオンラインでは困難です。

一方、日用品を始め衣服もどんどんオンラインで買うインフラが充実しています。本当に便利になりました。私も事務所での消耗品などはほとんどネット注文ですし、個人的にもアパレル購入でもよく利用します。ただ、2回連続で失敗したなと感じたのが靴のオンライン購入でした。

写真だけで判断するのはイメージや質感が必ずしも思っていたものとは違う場合があります。これは他の商品でも同じですが、アパレル関係では特に裏切られることが多いと感じます。もちろん通常の業者であれば、思っていたものとは違っていたという理由だけでも返品は可能なのですが、余程気に入らない限りは送り返す手続きも面倒だし、ある程度仕方ないとあきらめてしまっています。

私が過去2回靴を買ったのですが、正直後悔して、もう二度とネットでは靴は買うことはせずに、少々高くついてもリアル店舗で実際に目で見て、試着して買おうと決めました。もちろん靴のサイズを調べて発注しますが、個人の足の形は千差万別です。また靴のメーカーによってサイズが微妙に異なります。だいたい不具合が起きるのは幅の違いです。幅についてはEEEであるとか4Eとかで表示されていますが、具体的な幅サイズが規定されていないため、実際に履いてみると内側が固かったり、幅が窮屈でどうもフィットしないという感じがすることが多いのです。普通のビジネス靴では26センチを履いているのですが、スニーカーになると26センチではつま先も幅も一回り小さいので、最初の購入では返品して26.5センチに変更してもらいました。それでもなお小さい感じがして、何とか履けるという感じでした。

同じところから2回目に買った26センチのビジネス靴は、到着して試着するとまあ何とか履けて爪先も大丈夫でした。そこで最近金沢出張で新しくおろして履いたのですが、幅がきついだけでなく、足の小指が擦れて腫れてくるようになって、痛くてもう歩くことができなくなってしまいました。もうどうにもこうにもいかなくなって、金沢駅前のショッピングセンターの靴店で新しいスニーカー風のビジネスシューズを買い求め、その場で履いていた新品のネット購入靴を処分してもらうことにしたのです。

やはり靴や被服は実際に試着して買うべきだと誓いました。リアル店舗でしか提供できない顧客満足とは何かを改めて見直すことで、オンライン化が全て目指すべき方向性だと考えるのは早急すぎるのではないかと感じた次第です。

店舗の強みを見極めることで、ネットに勝てるビジネスモデルは必ずあるはずではないかと思うのです。