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アフターコロナのDX時代に取り残される企業と人材の末路

2020年はコロナに始まりコロナで終わる一年になりそうです。第三波は日々深刻になってきています。今は第一波、第二波の落込みからの反動でバブル的に企業業績や株価などは急回復しているように見受けられますが、じわじわと企業経営の土台が揺るぎ始めているように感じます。実際、公務員や一部の好業績企業を除いて、産業全体でGDPの落込みが回復できていない中、冬の賞与も激減するのは確定しています。観光業や飲食業界などは一時GoToで一息つくきっかけにはなったとは思いますが、いつまでも続けられるものでもなく、第三波が深刻化した原因の一つにGoToがあったとも言われ、GoToそのものを止める動きも出てきています。そうなるとさらに経済は深刻度を増していきます。

現在の状況を細かく見ると決して経済的に安心できる回復ではなく、さらに二番底で奈落の底に落ちていく可能性が高く、そのときには日本経済だけの問題ではなく、世界全体の恐慌にもなりかねない深刻さを感じます。ただ一縷の望みは開発中のワクチンと治療薬がどの時点で投与できるようになるかだと思います。

生き残れる企業の条件

この一年の世界経済の動乱によってはっきりと見えてきたことがあります。今後企業が生き残れる条件とは何かということです。

コロナが蔓延する以前の昨年あたりからAIやIoT、5Gといったデジタル革新、つまりDXによるSociety 5.0の到来がさかんに叫ばれていました。そこへコロナが私たちを襲ってきたことで、このDXの流れは一気に加速しました。これによって企業が提供するべき顧客価値が根底から覆り、今までのビジネスモデルではもはや通用しないと感じている企業経営者は多いと思います。

要するにDXに対応できる企業経営のビジョンを再構築し、DX時代の人材を確保、育成することによって、組織革新を果敢に成し遂げることができることが、今後唯一企業として、そして個人としても生き残れる条件となってしまったのではないでしょうか。

ところがこと今にいたっても、社内では紙の資料や会議がぐるぐると繰り返されて何も決まらず、一つ投資決断を行うにもスタンプラリーと言われる稟議書のまとめがうまく、事前説明の根回しに長けた人材ばかりが出世していく会社はまだまだ多いのが実態です。結果、外部環境の変化スピードから取り残されて、企業が生み出す顧客価値がどんどん陳腐化していることすら気づいていない大企業が多いのです。

通常の大企業にとっては、社内で投資決裁を通すために、社内で頭の良い人が徹底的に環境分析を行い、顧客ターゲットを絞り込んで、競合分析を緻密に行い、自社のポジショニングを明確化して勝てる戦略策定を経て投資決裁を行うのが経営戦略策定のパターンです。しかし、笑えない話ですが、大抵日本企業の経営戦略には時間軸の条件やスピードの要素が欠けています。投資起案をして決裁が下りて実行に移す段階になったときには、既に競合はもっと斬新で新しい商品を投入していたというのは枚挙にいとまがありません。このまま投資を実行しても勝てないかもしれなくなっているというのを現場は既に感じていても、プロジェクト体制は人事も含めて決定しており、もはや後戻りできなくなっている状況に追い込まれているのです。

競合が変化しているスピードに合わせた時間軸で経営戦略を構築する能力がなく、顧客が求める価値観そのものが変化していることすら気づかない場合には、あらゆる検討を行って投資決断したにもかかわらず全く売れない状況が露呈するのです。そうなったときには元々の分析が甘かったのではないか、商品力が顧客に十分に伝わらなかったのではないか、営業の努力や能力が足らないのではないかという本質を外れた議論が社内をぐるぐる回ってしまいます。

このような状況は過去日本が得意と言われていた電機業界に典型的にみられた現象ですし、今回のコロナで加速するDX時代にあっては、基幹産業と言われている自動車業界やエネルギー業界を問わず、あらゆる業界がこの大変革時代にいかに自らを革新できるかにかかっているのではないかと思うのです。

例えば、昨今の動きを見ていると、自動車は脱ガソリンの動きから一気にEV化に加速していくことは間違いありません。つまりエンジン駆動ではなくなっていくのです。自動車は一台あたりの部品点数が3万点もあり、業界として非常に裾野が広く、この業界で生きている企業や人の数は圧倒的です。ところがEV化が一気に進むと、その部品点数は10分の1になり、モーターと駆動部分がモジュール化され、下請けの部品メーカーは仕事がなくなり、失業者が町にあふれる状況がすぐ目の前に来ているのです。

さて、この近未来が起こらないことはあるのでしょうか。それを避けることはできるのでしょうか。2020年ではっきりと見えてきた未来の世界はもう後戻りできません。自分たちで変えることもできません。ということは、この外部環境で起こる激変に向けて企業自身、そして働く従業員個人がどう自らを革新できるかにかかっているのです。

コロナで影響を受けた観光産業や飲食業を助けるために、国がリードしてGoTo政策を打ち出したわけですが、これらはコロナ対策という名目でわかりやすい反面、DXによって壊滅的な影響を受けるかも知れない自動車産業の下請け企業を救うためにガソリン自動車購入キャンペーンなんて行えるわけはありません。

確かに観光業や飲食業は人が動いてくれないと消費されないので、どうしても待ちの姿勢にならざるを得ない面はありますが、いつまでも補助金頼みでは生き残れないのは確かです。いつ戻ってくるかわからないインバウンド需要に依存した事業では行き詰まるのは証明されてしまいました。結論、自ら革新する以外にはありません。

変われない企業と人材の末路

このような状況になっても、企業内には変化に対応できない、変革に拒否反応をする抵抗勢力が巣食う組織や個人が幅を利かしている企業が多いものです。無論社長自身が変化対応力がないときには目も当てられない運命が待ち受けているのは確実ですが、だいたいトップがいくら危機意識を持っていても、既得権に安住し変化を嫌う社内の守旧派が抵抗するために、どんどん世の中のスピードから遅れてしまう企業経営の末路は悲惨のものとなるでしょう。

ある意味、私は先日の大阪都構想が再度否決されてしまったことによる大阪の行く末がダブって見えてしまいました。

こういった変化を嫌い対応できない社員は、そもそも新しいDX時代の商品やサービスを生み出す発想や能力がないといっても良いでしょう。重要なのはDX時代といっても何も全ての人がAI技術やIoTの技術に長けたエンジニアとしての知識、能力を身につけるべきということではありません。むしろ技術者以外の社員が、世の中の動きを見通し、将来の変化に向けて自らのマインド革新を行い、DXを使いこなすための工夫、発想を持てるかどうかにかかっています。

言い方を変えれば、DXを駆使したビジネスモデルを作れる能力があるかどうか、そのビジネスモデルを実現するためのリソースを組み合わせ、機動的に人を動かせるネットワークを構築できるかどうかがポイントとなるのです。そのためには、企業そのもののあり方、顧客、商品・サービスを今一度根本から見直す以外にはなく、実現するためには一人ひとりが自らの発想や見識、行動の革新こそが今後生き残れる条件となるでしょう。

狭い今働いている業界や企業の常識で動いている限りは未来が見えません。組織革新や自己革新の発想を持つことと、それを実行できるリーダーシップのある人材を内外を問わず確保し育てることが喫緊の課題であり、そのためにはもっと社外との幅広いネットワークをつくり、知見を取り入れることに価値を見出すべきではないでしょうか。