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ベトナムで感じたインバウンドビジネス拡大のヒント

今、ハノイに来ています。以前4年も住んでいましたし、出張でたびたび来るのでそんなに驚きはないのですが、最近では来るたびに町の様子が変化しているのを感じます。振り返ってみますと、ハノイに赴任してきた2010年当時と比べると、すごく大きな変化を感じます。もちろん、高層ビルがどんどん建って、車も急に増えて交通渋滞はさらにひどくなって、空気も悪くなってきているのを実感するのですが、それら物理的な街の様子の変化に加え、ベトナムに来る観光客も急増している感じを受けます。

最近、日本でも外国人観光客が急増しており、昨年大阪に来られた外国人観光客の数が1000万人を突破したとのことで、先日夜にベトナム人の方を食事にご招待かたがた心斎橋から難波まで歩いたときには驚きました。心斎橋筋を歩いている人の実に7割以上が外国人のような感じで、道頓堀の戎橋あたりになると周囲をみるとほとんどが外国人でした。まさに海外に出張にきて観光しているような錯覚を受けました。

ベトナムの露店と欧米人のパブ文化の融合

ベトナムにも多くの観光客が訪れており、もちろん定番のハロン湾観光など、いわゆる観光地は外国人でいっぱいなのですが、今回いわゆる旧市街にあるバックパッカーが多くとまるホテルに泊まっていることもあり、周囲の街の様子を見ると大きな変化に遭遇しました。旧市街というと小さな店がひしめき合っていて、そのレトロな魅力から以前からも観光客が多く訪れています。ところが夜になると様子が一変するのです。欧米系の観光客がどっと町に繰り出して、オープンパブのようなところでみんなでワイワイビールを飲みながら騒いでいるのです。パブといっても扉もなく、完全にオープンで歩道に机と椅子を並べて、多くのカフェがパブに変身して賑わっていました。しかも、オープンパブのあちらこちらで即興の路上ライブをやっていたり(それが輪をかけて渋滞を引き起こすのですが)、ベトナムの露店商売という形態と、欧米人が好む社交場としてのパブが完全に一致して、大きなビジネスに発展している様子が伺えました。

インバウンドビジネス拡大のヒント

日本にも多くの欧米系の国からも観光客が増えています。それでもよく日本はナイトライフはあまり魅力がないと言われます。銀座や六本木、新宿、渋谷などの繁華街は、果たして観光客にとって魅力的なところでしょうか。ネオンぎらぎらで高額のレストランやバー、クラブなどは果たして外国人観光客にとって魅力があるのでしょうか。テレビでも外国人が多く訪れる場所の特集を見ることがありますが、だいたい共通項があるように思いますし、今回ハノイで感じたオープンパブの賑わいからも同じことを感じました。これをうまく捉えることで、さらに大きなビジネスチャンスにつながるように思うのです。

いわゆる外食産業は生き残るのが大変厳しい業界です。行列ができるほど集客しているところと閑古鳥が鳴いているところの差が激しく、成功の秘訣というのは案外気づかないところにあると思います。なぜ外国人観光客は、なぜ日本人があまり立ち寄らなったところに多く集まってくるのでしょうか。例えば大阪の新世界であったり、今や完全に様子が変わった黒門市場のようなところが外国人にとって惹きつける要素のキーワードがあります。「エンターテイメント性」と「コミュニケーション文化」の二つがあるように思っています。外食産業の店舗づくりにおいても、これをうまく捉えたところが大変繁盛しているのです。

例えば、店のコンセプトを忍者屋敷にして、個室も接客も忍者の世界で楽しめるというレストランに連日観光客が押し寄せているのです。京都の有名なラーメン屋では目の前で油に火をつけて炎でびっくりさせるとか、関東の田舎にある飲食店では飼っているサルに芸をさえて客と触れ合うことができたり、大阪の飲食店では大きないけすで魚を泳がして、実際に外国人観光客にその魚を釣ってもらってその場で調理して出すなど、こういったエンターテイメント的なちょっとした工夫が非常に大きな評判を呼び連日大賑わいです。

日本には露店を行うには、道路交通法とかややこしい法律のために、そう簡単に目の前の歩道で商売をすることは難しいと思いますが、こういった外国人の文化とマッチするパブなどコミュニケーションの場を提供する飲食系の店舗コンセプトは魅力的です。ただ、単に閉鎖的な空間でのパブやスナックはもう一つのようですが、実際下町のカウンターだけの小さな飲み屋にも最近では多くの外国人が増えているようで、もっと入りやすいオープン的な雰囲気であるとか、オープンスカイのような店舗が外国人を集客するには効果的なような気がします。

SNSをフル活用

外国人が魅力を感じる店舗づくりも大事ですが、もっと重要なのは彼らがどうやってその情報を手にして、日本人があまり行かないようなところを探し出して押し寄せているのでしょうか? もちろん旅行情報サイトや海外での旅行情報誌からの情報、YouTubeの動画などから入手しているのですが、どこまで皆さんは外国人にとっての情報チャネルをご存知でしょうか、またそれらを見られたことがあるでしょうか。英語だからわからないと言い訳している限りはビジネスチャンスはありません。実際、多くの外国人観光客が、普段日本人が見ない情報をもとに、エンターテイメントとコミュニケーションを旅行で求めて押し寄せてきていますのです。そういったサイトにダイレクトに広告を出す、旅行客用のフリーペーパーを徹底的に検証するなどやり方はいろいろとあります。

特に、ベトナムでもそうですが、日本でも多くの外国人観光客は見ているサイトにトリップアドバイザーというサイトがあります。ここはいわゆる旅行の口コミサイトと理解して良いと思いますが、ここで評判の高いところに多くの観光客が来ていることから、うまく研究すればビジネスチャンス拡大につながる可能性が大きいと感じます。

日本にずっといるだけでは気づかないことも、海外に出ると新たな視点を与えてくれます。