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ベトナムの変化スピードとダイナミズムの実感

半年ぶりにベトナムに出張中です。今回は二週間の長丁場でハノイに入って、ハイフォン3日間、再度ハノイに戻って週末を挟んで一週間、そしてホーチミンに移動して3日間というかなりハードなスケジュールでした。

ベトナムで4年間の勤務で退職し、日本に戻って中小企業の海外展開支援コンサルティングの事業を起業してほぼ10年になります。海外展開支援は東南アジア全体ですが、ほぼ大半はベトナム事業の専門家として、日本企業の現地法人設立だけでなく、経営人材育成を含め、日本とベトナム企業の架け橋としてお役立ちを提供してきました。ベトナムでの駐在勤務以前からを含めますと17年を超えました。

特に最近感じますのは、ベトナム勤務を終えて事業を起業してからのベトナムの変化スピードとそのダイナミズムです。勤務していた2013年あたりまではベトナムの外資規制も今と比較にならないほど厳しく、日本食の飲食店のほとんどは独資での出店が認可されず、ベトナム人配偶者の名義貸しで数えるほどの馴染みの店ばかり通っていたことが思い出されます。

その時期を境に小売店の規制緩和が進み、まずはイオンモールが認可されたことを皮切りにどんどん外資の流通事業が展開していきました。100%独資はまずはモール内出店に限定されていましたが、路面店は現地資本が過半でないと認められませんでした。それが年々規制緩和が一気に進み、スタバやマクドナルドもあちらこちらで見かけるようになりました。日本飲食店もいわゆる日本人街を中心に出店していたところが、特にホーチミンやハノイでは一気に町中あらゆるところに日本レストランが展開され、新規進出だけでなく撤退など競争が激化するようになってきました。郊外にあたるハイフォンでも少し歩けば日本食レストランを探すのに苦労することがなくなりました。

驚異的な変化スピードとダイナミズム

ベトナムは東南アジアの中では、先行発展していたシンガポール、マレーシア、タイと比較するとどうしても発展スピードに見劣りがしていたと思います。商業施設や住宅、交通インフラ等を見ても遅れ感は否めませんでした。

ところがコロナ禍の時期を挟んで急速に変化を遂げているとの実感を覚えるようになってきました。コロナのときは渡航制限もあって2年ほどは現地を訪問することができませんでした。ところが規制が緩和されるようになってきた昨年からベトナムの変化スピードは相当加速しているのは確かです。

町の様子ではカオスな状況や交通渋滞のひどさはさらに悪化している面はあるのですが、高層ビルがあちらこちらに林立し、高速道路の整備も訪問するたびに整備が進んできたように思います。この表面的に感じる変化スピードに限らず、ベトナム企業の業績拡大や対応力、ビジネスモデルの強化が目に見えて感じるのです。

今まではベトナム製といえば日本企業が要求する品質レベルを満たさないという評価であり、なかなか現地企業との取引が拡大してこなかったと思いますが、直近2年で相当のレベルに到達してきたのではないでしょうか。中国リスクが顕在化することによって、よりサプライチェーンの再編の動きに沿ってベトナムの経営資源を取り込むことの優位性が注目されるようになってきました。

さらに訪問するたびに新たな発見があるのですが、変化を嫌う日本が既得権事業者の反対やノイジーマイノリティに慮る間に、ベトナムのビジネスモデルはどんどん競争力をつけて先に行ってしまうのではないかとの悲壮感を感じます。

創業間もないベトナムの自動車メーカーであるVINFASTについては、ほとんど日本では認知されていませんが、EVを中心に二輪、四輪、バスとどんどん販売が伸びています。EVには充電インフラの問題はベトナムでもあるのですが、実際に結構VINFAST製の自動車が走っています。半年前と比べて走行している自動車で日本ブランドが少なくなってきた一方、小型はKIAや現代、SUVはVINFASTがかなり目立ってきた印象があります。

特にVINFASTが事業を開始したライドシェアサービスが相当拡大しています。ベトナムでのライドシェアといえばGRABですが、薄い青緑の車体でVINFASTをスマホで配車するサービスの存在価値が目立ちます。ただスマホアプリがまだベトナム語対応しかないため使い勝手は今一歩であり、期間限定のSIMでは認証登録ができたなったので今回の利用は諦めましたが、次回は何とか登録できるようになってEVの配車サービスを利用したいと考えています。

このようにベトナムはどんどん新しい産業が創出されてきています。今までは何かといえば政府が規制をかけて何も進まなかったものです。現在も政府の規制や介入は変わっていませんが、カオスな状態であってもそれを乗り越えるほどの挑戦のダイナミズムを感じるベトナム出張となりました。