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コロナ後の2年4か月ぶりのベトナム出張

本当に長かったです。2020年にコロナパンデミックが発生してからこの2年間海外出張に一度も行けませんでした。海外展開支援をライフワークにしている私としては、海外特にベトナム現地の事情をこの目で見て肌で感じることの重要性は何事にも代えられません。

コロナの感染状況はまだまだ予断が許される状況ではありませんが、一方で海外は実際にはどうなっているのか、その比較において日本の対応策は正しいのかを知るためにも、日本で得られる情報だけではわからないことが多すぎます。今回、長年携わっておりますベトナムの経営塾講師の仕事で、4月にようやくベトナムに渡航して対面型講義を行えるようになりました。しかしコロナ発生後に日本から講師が渡航して行うことになった初のテストケースであり、様々な問題について慎重に対応策を講じながら何とか2週間のベトナムでの任務を果たして、無事陰性のまま帰国することができました。

今回の渡航では目まぐるしく変わる渡航規制を慎重に検討しつつ、リスクをいかにして回避していくべきか、またどこまでの対応が必要なのか数多く経験してきました。久しぶりのブログ投稿になりますが、今回の短期出張におけるベトナム渡航の課題について共有できればと思います。

4月にベトナム渡航が実現した背景

この2年以上、経営塾はオンラインで実施せざるを得ませんでした。昨今、企業研修やセミナーもどんどんオンライン化が進んでいますが、ずっとオンライン研修の限界を強く感じていました。もちろん、ZOOMのブレイクアウトルームの機能を使ってグループワークを行うこともできます。しかしZOOMですと参加者の多くはどうしても緊張感が低くなり、リアルの対面型研修やセミナーと比べて研修参加の主体性やモチベーションが高まりません。

特にベトナム人はお互いに議論を重ね、講師との間でも質疑応答だけでなく活発な議論を望みます。このあたりは日本人相手の講義とは全く正反対ともいえます。そのため長年オンラインでの講義はどうしても一方通行の印象が拭えず、塾生にとってはフラストレーションが溜まっていたように思います。

そういった背景の中で、実はベトナムでは2月の旧正月あたりからオミクロン株の急激な感染拡大の状況を呈していました。新規感染者数のピークは3月12日で一日当たり何と45万人を超えていたのです。こんな状況でどうして海外からの入国規制が緩和されたのか不思議でした。

これは実際ベトナムに行って初めてわかったのですが、実際のところは本当の感染者数は45万人どころではなく、もう政府として追っかけられないほどその何倍も感染者が出ていた(らしい)のです。届け出をしていない人が相当数いるようでした。このような状況にもかかわらず3月15日には外国からの入国規制を一気に緩和しました。いろんな人からの話を総合しますと、たとえ感染してもほとんどの人が無症状もしくは軽症で重症化せず、一週間ぐらい自宅で寝ていれば(医者が診察が追いつかないということもありますが)自己免疫で回復したようです。つまり風邪と同じであるという見方を政府が判断していたというのです。そのときにはもう他人には移さないし、もちろん一部の人は重症化することもあっても、インフルエンザでも同じという考え方です。

事実、3月12日のピーク以後、急激に新規感染者数が減少していきました。私が驚いたのは、渡航した4月10日以後に会ったベトナム人の多くは既に感染したというのです。そんなに多くのベトナム人と会っているわけでもないので、統計上正しいとは言えませんが、私が会った人またその職場の関係者やその家族の範囲でいうならば、実に7割から8割の人が既に罹っていた感じです。集団免疫が一気に確立した状況です。やはりベトナムは海外との交流による経済構造が重要であり、ここで思い切って規制緩和に踏み切ったのです。

3月15日以降、多くの入国規制を撤廃し、日本からの入国に際してはビザ免除を復活し、2週間以内の滞在であればコロナ前と同じようにビザ取得が不要となりました。また短期のベトナム出張が実現した大きな理由は入国後の待機措置期間がなくなったことです。以前は入国後14日間の強制隔離のときもあったので、短期出張者にとってはとても渡航は難しい状況でした。まだ現時点でもPCR検査証明と健康申告書をWEBで提出する義務は残っていますが、ワクチンの接種証明も不要で、5月からは健康申告書の提出も廃止されました。事実上日本からベトナムに入る際の規制はほとんどなくなっているといっても過言ではありません。

実際4月10日にハノイ空港に到着したとき、検疫カウンターで調べられたのは健康申告書提出後に表示されるQRコードのスマホ画面のスクショを見るだけでした。検査も何もありません。入国手続きも以前と全く変わりなく、飛行機が到着して検疫、イミグレ、バゲージ受け取り、税関検査を経てわずか20分で到着ロビーに出ることができました。

ベトナム入国後の2週間

これだけ既に感染された人が多かったのを知ったのは実際ベトナムに入ってからでした。日本でわかるベトナムの公的情報は必ずしも信頼できるものではないと改めて認識したのですが、一気に新規感染者数が減っているのは事実ですし、最新のベトナムでの新規感染者数は、5月2日時点で何と3,123人(7日平均でわずか12,125人)まで激減しています。

日本で今だやっているような厳しい入国規制を続けないと感染拡大するというのが事実であれば、ベトナムのように一気に規制緩和で解放しているのに感染者数が急減しているという状況と矛盾します。風邪と同じだから規制しないとしても、規制緩和したら感染者が増えたというのならわかります。確かに規制緩和と新規感染者数との関連性は明確ではありませんが、それなら今日本の入国を今だ1万人上限にしてフライト便数を規制し、入国検疫で全員にコロナ検査を行う必要はるのでしょうか。かつワクチン3回接種していない人には(指定国からは3回していたとしても)1週間の自主待機を求める科学的根拠はどこにあるのか疑問に持たざるを得ません。

一方、いくらベトナムでは既に感染した人が多く集団免疫を獲得したとしても、今まで罹ったことのない人にとっては、感染したばかりの無症状者から移されるリスクは相当あるように思います。当然入国する人は全て陰性証明を持っていますので、入国後に感染して滞在中に陽性となる可能性はあります。そこが短期出張者にとっては最大の問題です。

帰国時の72時間前から出発までの間にベトナムでPCR検査を受けて陰性証明書を取得できなければ帰国できません。その時点で短期出張者がもし陽性となっていた場合、結構大変なことになってしまいます。当然フライト搭乗拒否となり、ベトナムでも自主隔離が求められ、いつ帰れるかわからなくなってしまいます。おそらく1週間は陰性に戻らないケースが多いようで、帰りのフライト切替の手続きをやってもらうヘルプも必要です。この自主隔離中に改めてPCR検査を何回か行うので費用もかかります。またややこしいことにノービザで入ったときには2週間の滞在許可しかありませんので、待機中に切れてしまう可能性も高くなります。滞在許可延長の申請を入管に行うことが必要ですが、本人は隔離されるので現地の人たちに面倒をかけることになります。。

その意味で、私がベトナム滞在中の2週間での最大のミッションは、「何としてもコロナに感染せずに陰性証明を取って無事日本に帰国すること」になってしまいました。ところが一気に規制緩和が進んでいる現地では、マスクをしている人は非常に少なくなっていますし、レストラン等でアクリル板などは今やほとんど見かけることもありません。ごく普通の生活様式に戻っています。

こういう状況ですから、とても観光で行ける状況ではなく、短期の業務出張でも受け入れ先の支援がどうしても必要となる段階であるというのが、実際現地に行ってからわかったのです。72時間前のPCR検査手配も相当大変です。証明書を取得するには検査機関によってもやり方が違いますし、実際検査機関にアポを取り、そこまで行って検体を取ってもらい、検査結果をもらってから日本の陰性証明書フォームに書いてもらったものを取りに行くための時間調整をどうするのかも大変です。

現地での短期出張では、業務予定との関連で半日をつぶして検査機関に行く余裕はありませんし、証明書を取りにいくのにまた時間を潰すようなことも難しいのが実態です。実際私の場合は、現地の受け入れ事務局の助言をいただき、少々高くはつきましたが、病院から検体を取りに講義会場まで来てもらって、隣の会議室で5分ほどで採取して持って帰ってもらい、同日夕方には検査結果をメールでいだだき、かつ翌日の朝一番に、バイク便で日本のフォーマットに沿った陰性証明書のオリジナルを会場まで配達してもらうフルサービスを見つけてお願いしました。

日本帰国後の大変さ

経験してみないとわからないのですが、日本の入国規制は今のままで良いのかという印象を強く持ちました。

無事陰性証明書を取得し、日本入国16時間前までに日本の入国検疫用の事前申告書類の提出(現地での陰性証明書や日本でのワクチン接種証明書のデータ)をMySOSというアプリにアップすることで、ファストトラックで入国時の手続きが早くなるということでした。

ところが、実際羽田空港に到着したときのことですが、空港内の入国手続きが混雑しているとのことで、機外に出るのに30分以上待機させられました。その後、空港内をぐるぐる回されて、MySOSの確認とともに、入国後の1週間の自主待機という名の自主隔離のための待機場所の登録や、位置情報確認の設定など細かくスマホ設定を一人ひとり係員がチェックします。さらに全員唾液による抗原検査を行い、結果確認まで40分ほどロビー内で待たされて陰性証明を貰ってから、ようやく検疫カウンターで最終確認。そして入国手続きを行ってから荷物をピックアップして税関カウンターを経て国際線の到着ロビーに出ました。ここまで早朝便であったとしても待ち時間が2時半でした。

荷物を引きずってターミナル間移動バスに乗って、国内線ターミナルに移動してバゲージをチェックインしてようやく国内線に乗り継いで伊丹まで帰ってきました。その後自宅待機場所として、私は今は誰も住んでいない実家を登録してそこで自宅待機を開始しました。

しばらくは実家で仕事の残務処理をやっていたのですが、鬱陶しいのがMySOSのアプリから日に何回も現在位置確認のメッセ―ジが届いて送信しなければならないことと、突然AIから一方的なTV電話が日に2回はかかってきて、30秒ほど私の顔と背景を撮影するのです。これは精神的にイラっとしました。国から私の位置情報を監視し続けられている感じで大変気分が悪く、しかも待期場所に入って以降の期間中は公的交通機関を使ってはいけないと要求されています。

私は3回のワクチン接種をしていたので、自宅待機3日目にPCR検査で陰性となり夕方6時までに証明書をアップすれば4日目から待機解除となる規定でした。3日目のPCR検査で当日夕方5時までに検査結果が出るところを探して予約したのですが、実家からそこまで行くのに電車に乗っていくことは許されず、もし乗っていたときにAIからTV電話がかかっていたら違反がばれるのです。仕方なしに実家の車で検査機関がある大阪市内まで往復したので余計な費用も発生してしまいました。

あれもこれもコロナ規制以後の初の海外出張ということでの経験ということで、皆さんがこれから海外渡航されるときの参考になればと思います。

次回のブログでは2年4か月ぶりに訪問したベトナムの様子について具体的にレポートします。