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ネットワークビジネスの胡散臭さと私たちの存在意義

最近MLM(Multi Level Marketing)というネットワークビジネスに引き込まれ騙される若者が多いと知り、いろいろと情報を検索していたのですが、よくもこんな詐欺に近いものに何故騙されるのか不思議で仕方がありませんでした。

MLMと聞くとインターネットを駆使した最先端のマーケティング手法のように受け止めてしまいがちですが、本質は「ねずみ講」に近いマルチ商法を言い換えたものに過ぎません。落ち着いて考えれば、このような楽して収入が自動的に入ってくるということはなく、論理的には「ねずみ講」と同じようにあり得ない無限連鎖を前提としなければ儲からないビジネスモデルであるとすぐにわかります。

でも多くの若い人たちは勧誘の甘い言葉にころっと騙されて、新たな会員の下層組織を作ることが行き詰まり高額の商材を買わされてしまうだけになっているようです。

「ねずみ講」は単純に連鎖組織を下につくってそこからの会費という上納金を資金源にするために100%行き詰まるものであり完全に違法です。ところが、一般に言われるマルチ商法に代表されるMLMは、しくみこそ「ねずみ講」とほとんど同じであるにも関わらず、日用品やデジタル商品といった商材の売買を仲介する会員組織構築を基本としているため、必ずしも違法とは言えないのが厄介なところです。

随分昔のことですが、タッパーウェアがその商材として販売されていた時期がありますし、一番幅広くやっているのが「●●ウェイ」という日用品販売で、代理店組織を勧誘して下、そしてそのまた下の孫・・・というように連鎖式に組織を作っていくことで、販売マージンによる収入というよりも代理店紹介者へのマージン還元をその仕組みとしています。つまり、商品を販売するよりもいかにして自分の下にネットワークを広げることができるかで上納金収入によって儲けるというスキームです。宗教の勧誘と極めて近いと感じます。

最近では誰でもわかる日用品ではなく、アフリエイト広告収入をネットワークを作って集客して、自動的にSNSで投稿するソフトを高額で買わせるといったインターネットで楽して儲けようという勧誘が増えています。

マルチ商法勧誘の手口

マルチは一時的には収入があったとしても、無限連鎖でネットワークを構築することは非現実的なので、早晩行き詰まるのは必定ですし、高額で買わされた商材代金の回収はほとんど無理です。

とにかく上納してくれる(つまり騙せる)子組織を増殖させていかなれば損をするので、必死になって集客勧誘を行います。SNSでのDMはもちろん、最近では出会いを求める若い人を集めるために、マッチングアプリでLINEなどでやり取りまでできれば、副業で最先端のMLMを駆使してお金持ちにならないかと誘いこみ、あとは無料セミナーと称して個人面談やZOOMでのセミナーまで持ち込んで執拗に勧誘してきます。

彼らはとにかく「夢」や「生きがい」とか「ビジネス」、「挑戦」、「自分を変えよう」という単語を駆使し、本当に薄っぺらな中身のないことをいかにすごいことかという概念を刷り込んできます。セミナーや面談ではとにかく一方的にまくし立てて洗脳して騙している様子がYouTUBEでもアップされています。

何かすごいビジネスをやっているかのように話すのですが、彼らの前提は全ての人が「お金儲け」が人生の目的であると思っているはずというものです。とにかくマルチ商法は人を騙さないと儲からない仕組みであるため、自分がもっている個人のネットワークである親戚、友人全てに勧誘してもすぐに限界がきますし、マッチングアプリや街頭で声掛けをして集客をしなければならないようなものはビジネスとは呼べません。

ところがMLMは投資だというのです。これは絶対に違います。もっとお金に対するリテラシー教育が必要ではないでしょうか。

働くことの意味と自分の存在意義を考える教育を

若い人に人に限らず、投資という聞こえのよいウソの塊であるマルチ商法に騙されるのは何故でしょうか。騙される人の共通の意識として、「楽して稼ぎたい」「もっとお金持ちになりたい」というものがあります。それを擽られるとすぐに共感してしまいます。

マルチ商法のセミナーでは、「お金持ちになったら何を実現したいか」「あなたの夢は何か」ということをしつこく問いかけてきます。特に若い人に対しては、いかに今の仕事をいくら頑張っても将来はしれたもの、このままでは夢を実現できるような収入なんて期待できないよと迫ってくるのです。

しかし、本来は働いて得る収入という意味や尊さをもっと知ってほしいと思います。おカネを儲けるのが労働の目的だとしたらこれほど無味乾燥なものはありません。私は、どんな職業であれ働くことによって世の中に価値を創造し、その対価としてお客様、広い意味では社会からいただけるのが給料であり収入であると確信しています。

つまりいかにして楽にカネを儲けるかが究極の目的であるならば、それこそ他人や社会にどんな迷惑をかけても構わない、結果として人を騙してでも自分が儲かれば良いと考えているのがマルチ商法や詐欺師と言われる人たちのやり方です。

そのような人たちは本当に社会に存在する意義があるのでしょうか。人を騙してでも儲けを得る仕事に人生をかける意味があるのでしょうか。私は決しておカネを儲けるために仕事をしているのではないと言い切れます。

「儲からないのは社会や人々に十分なお役立ちを提供できていないからであり、利益はその対価である。」・・・これは私が社会人になって初めて目から鱗が落ちた松下幸之助翁から学んだ考え方でした。

働く意味と私たち自身の存在意義を考える教育が行き届けば、人を騙してでも儲ければ勝ちといった卑しいビジネスはなくなるのではないでしょうか。