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ベトナムでもDX革新が加速していることに驚く

ベトナムで経営者育成研修コースの「経営塾」講師としてもう8年になります。毎年数回ベトナムに出張して講義をしていたのが、この2年はコロナパンデミックによって一度も現地に行けていません。「経営塾」も本来は対面型研修を行ってこそ所期の目的に合致するものですが、ZOOMオンライン研修に切替えて行わざるを得ない状況が続いています。

一方で、「経営塾」とは別に新たに参加人数を拡大して、オンライン主体のテーマ別「ハノイ中小企業CEO育成コース」が始まり、私はデジタルトランスフォーメーションをテーマに「DXの衝撃と企業経営のこれから」の6時間の研修を担当しています。

ベトナムDXの発展スピードの衝撃

私自身はDXそのもののプロフェッショナルではありません。研修ではデジタル化によって激変する事業環境の変化とデジタル経営革新の観点から、知識型の講義を行うというものではなく、参加者で議論をしながら企業経営のあるべき姿を一緒に考えてみようという内容にしています。

今週までに既に3クラスで同じ講義を行ったのですが、私にとってはある意味で現実の衝撃を強く感じたのです。

それはベトナムはまだまだ紙を主体としたアナログの世界で、このままではデジタル化の流れに乗り遅れてしまうという危機感とは全く違っていました。それとは正反対の革新スピードに加速がついているというものでした。むしろ日本のDX化の方が掛け声倒れになってはいないかという衝撃の姿を感じたのです。

私がベトナムで勤務していたのは2010年から2013年末までで、その頃は凄まじいほどの非効率的な紙の世界でした。一件の輸入通関書類を揃えるにも何十枚セットもの書類を揃え、それら全てに社印を押して社長のサインが必要でした。しかも社印は法律的に一法人に一つだけ、つまり送り状や領収書自体に全て社長サインと実印がないと仕事が進まない状況だったのです。

社会主義国だからある程度官僚的な規制が多いのは仕方がなかったと感じていたのを思い出します。その後レッドインボイスもオンライン化されたとか、社印も複数持てるようになったというのはニュースで見ていたいので、ベトナムも遅れながらもIT化の動きが出てきたのかという印象を持っていました。

私は実際、ベトナムのリアルな姿はコロナパンデミックが始まる前、つまり2年前までしかこの目でみていません。つまりコロナ後の2年間でDXがどこまで加速しているかどうかについてはわかっていなかったともいえます。事実、この2年間は日本と同様にベトナムでもZOOMオンラインのインフラが整備され、テレワークも当たり前のように実施されるようになっています。

クラスの参加者に会社でテレワークが実践されているか聞きますと、ほぼ6割か7割の企業で問題なくやっているというのです。コロナでテレワークを余儀なくされたという面もあろうかと思いますが、リモートでテレワークを実現するには、社内でDXにきっちり取り組むことが必須です。

①非対面・非接触で仕事ができるビジネスモデルができていること。②社外からリモートで社内システムにアクセスできるITのインフラができていること。③デジタルで業務を回すプロセスができていること。④WEB会議等デジタルによる社内コミュニケーションの体制ができていること。⑤EC商流・物流の体制ができていること。⑥クラウドでデータ共有と処理ができること。

これら6つの条件が揃わないとテレワークは機能しません。日本の中小企業でもテレワークできていないところでは、「うちは対面型の顧客関係性を強みにした現場ビジネスモデルだから」というのを言い訳にしている企業が多いようですが、それらの企業に共通した問題は、①紙ベースの業務フローと手作業による業務プロセスを変えようとしていないから。②社外からアクセスできないITインフラを革新しないのはセキュリティ上問題があるという言い訳しているから。③対面報告や情報伝達こそが密度の高い優れたコミュニケーションのやり方と思い込んでいる化石人材に経営を任せているから、に集約できるのではないでしょうか。

実際参加しているベトナム企業の経営者に話を伺いますと、テレワークを6-7割の企業で実践、つまりDX革新を着実に進めているという姿が浮かび上がります。しかもDXの成功要因は「経営者自身の意識改革」であるということを見事に証明してくれています。時代の変化スピードも加速していること、革新するべきビジネスモデルをどう業務プロセスからフローチャートに落とし込み、DX構築にはトップのリーダーシップがいかに重要かということをグループワークで理解し発表しているのを聞いて、新鮮な驚きを覚え私自身大変勉強になりました。

紙に埋もれたビジネスフローから抜け出せなかったベトナム社会や企業が、コロナパンデミック後のこの2年に驚くべき変貌を遂げているのです。この革新スピードは確実に日本を遥かに凌駕しています。

本日はベトナム企業と日本企業のオンラインマッチングイベントで個別商談会アドバイザーとして同席しました。2年以上前にリアルで日本での商談会で感じたことと、本日のオンライン商談会での変化についても衝撃を受けました。それは今日のベトナム企業のほとんどが非常に自信を持った力強い経営を行っているということでした。以前は、ベトナム企業は安価な商品でなら勝負はできるが、品質やサービス価値では日本には勝てないので、もっと日本企業経営を学ぼうという姿勢があったのですが、今や多くのベトナム企業は成功実績を積み重ね着実に自信にあふれた事業を実践しているのです。

日本は既に経済発展という意味では中国に取り残されてしまいました。しかし、このままでは本当にベトナム始めASEAN各国にも一気に追い抜かれる日もそう遠い時期ではないような感じを強く持っています。

このままでは政治だけでなく企業経営も国民自体も、危機感があまりにも足らないお花畑国家になり果ててしまうのではないでしょうか。国からもらう給付金が現金だのクーポンだの分配ばかりワイワイ文句言っている日本は本当に危ない!