このページはJavaScriptを使用しています。
ご使用中のブラウザはJavaScriptが無効になっているか、JavaScriptに対応していません。
サイトを正しく表示、ご利用いただくには、
JavaScriptを有効にするか、JavaScriptが使用可能なブラウザでアクセスして下さい。

第二波が直撃したベトナムでの感染拡大

ベトナムは世界でも類を見ないほど新型コロナの感染拡大防止に成功を収めてきたと高く評価されていました。感染者累計でも7月下旬の時点で500人以下で、驚くべきことに死者がゼロをずっと続けていました。

社会主義国であることから感染防止対策も徹底しており、早期より原則外出禁止措置が取られ、多くの飲食店も営業停止となっていました。外国からの入国も厳しく管理され、徐々に落ち着いてきたころから、一部の国からのベトナム人帰国や高度技術人材など特段の事情での入国が始まりかけていました。日本からもようやく7月に入って一日二百数十人程度がチャーター便で入れるようになり、今までは入れなかった現地子会社の日本人駐在員が戻り始めていたところでした。しかも、入国後は厳しい監視下のもとで14日間のホテルでの隔離措置が取られています。

ベトナム航空の定期便はまだ飛んでおらず、発表されているところによれば10月末まで運休が続くようです。私のような短期間のベトナム出張を行うのは事実上無理な状況です。そこまで厳しくやっていたわけですが、徐々に入国を緩めてきた7月末に合わせるかのように遂に第二波がベトナムを直撃し、この一週間ほど相当混乱しているようです。

7月24日にダナンで市中感染のクラスター発生・・・ついに死者が

ベトナム政府は感染者が判明すると、すぐに接触者を洗い出し、本人が住んでいる町も住宅も、そして職場も一斉にロックダウン措置が取られ、徹底してクラスター発生を押さえ込むことに成功してきました。その結果、重症患者も少なく死者を全く出さなかったのです。

ところが、ついに7月24日に99日ぶりにベトナム中部のダナンで市中感染が発生したと発表されました。それまでは7月中旬あたりから外国人専門家で入国したロシア人やフィリピン人などから数人単位で感染が確認され隔離されていました。しかし7月24日の感染者は外国からの帰国者ではなく外国人との接触もなかったのです。

ちょうどその時期を前後して主に中国人の不法入国事件が相次いで発生し摘発されてきました。国境の山岳地帯から入ってくる不法入国手配があるようです。ただこの不法入国と市中感染の因果関係についてはわかっていませんが、ダナンで99日ぶりに発生した市中感染は、観光客が多い町であるだけに日を追うごとに近隣の省からハノイ、ホーチミンと全土に一気に広がる様相となってしまいました。休校措置や飲食店の閉鎖、集会の禁止などあっという間に全国が警戒態勢に入ってしまいました。

この新型コロナは第一波の感染ウイルスとは異なる変異型のようで非常に感染力が強いと報告されています。そしてついに7月31日にベトナムで初の死者が出ました。その後感染者は毎日20名から30名と増え続け、死者数は既に8名になってしまい台湾の累計死者数を抜き去りました。

ベトナム政府は相当厳しい対応を行っています。ダナンでは市内各地を相次ぎ封鎖、ハノイ~ホーチミン間の鉄道を一時運休したりダナンと往来する全ての航空路線やバス、タクシーも運行を停止しました。そして公共の場でマスク非着用の人には罰金処分が科されるようになりました。

この一週間でベトナム全土の警戒レベルが一気に高まりました。

延期となっていたベトナムでのセミナーや講義も9月からZOOMでの開催という段取りとなっていた仕事も、ベトナム側が混乱しているため、集合研修そのものが許可されないため再び凍結となってしまいました。

日本の新規感染者数も毎日1000人単位で増えているため、ようやく徐々に限定的に入出国の往来が可能となっていたのも、おそらく再び閉まってしまう可能性が高くなってきました。ヒト、モノ、カネが回らないと経済は死んでしまいますが、ヒトが動けない前提でいかにして有形のモノをできる限り無形の価値に転換してカネを回すようにしないとどんどん経済は落ち込むのは明らかです。

しかし、ヒトが物理的に往来できないことの影響は、ITだけで全て代替えできない限界があります。いくらオンラインで教育体制やインフラ整備を行ったとしても、ヒトとヒトが直接交流すること以上の効果が出ることはまずないと思います。オンライン教育でどんなに知識をインプットできたとしても、それをアウトプットして価値を生みだす能力の育成はオンラインではできません。コミュニケーション力はインプットだけではどうにもならない、今後どうやってヒトを育てていけばよいかという壁に多くの企業経営者は頭を抱えています。

同時に発展途上国発展のカギを握る人材育成も、オンラインでは限界があることを現場では痛切に感じています。一刻も早くヒトの往来が価値創造をリードできるようにコロナ終息を願っています。