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激動するアジア太平洋地域の政治経済関係への対応

TVや新聞はコロナの新規感染の人数が過去最多だと毎日騒いでいます。確かに誰もがいつ感染するかわからない状態で感染拡大は深刻な問題です。一方で最近の世界の動きに目を転じますと、コロナよりも大変な事態が起きているのが中国を取り巻く世界情勢の危機です。いつ軍事衝突が起きても不思議がないところまで来ています。中国は傲慢としかいえない問題を次から次へと起こし続けており、世界覇権を狙っている中国共産党はそう遠くない将来世界の自由主義国家とぶつかることは避けられない情勢です。

これは極めて深刻な事態です。日本そして日本企業にとっても、世界中の国家と全方位でWINWIN関係を構築していこうという態度は許されないことを自覚するべき段階に進んできました。アメリカとは同盟関係だ、でも中国ともお互い協力してやっていく互恵関係を発展させていくのも日本の基本姿勢だ、アメリカも中国に対しても中立的立場から双方とも成り立つようにしていくというのはおめでたいやつと見なされるのです。「敵か味方かはっきりせよ」と迫られる環境の中を生きていかなければなりません。日●友好議員連盟というのは何の役にも立たない国際関係を理解すべきなのです。

誰も戦争などしたくはありません。でも世界覇権の意図を隠さない国家、反日でマウントを取ることしか判断基準を持たない国家の対応が日々エスカレートしてます。今こそ国レベルだけではなく、企業単位でもどういうリスクヘッジを考えておくべきです。最近の一番大きな環境の変化はもちろんコロナショックです。今までのビジネスモデルが根底から通用しなくなっています。

しかしそれよりも破滅的な変化をもたらすのは国際関係の危機です。コロナショックのような激変であるからこそ、政治的に根本的な国家間秩序の再編成が起きることが、私たち自身の生死にも直結する極めて深刻な問題です。

日本経済に決定的な影響を及ぼす国際関係の変化

アジア地域の国家間枠組みが今後どうなっていくかについてよく注意しておく必要があります。個別の国家間のFTAは複雑なので触れませんが、アジア地域で発効している大きな枠組みとしては、東南アジア諸国連合「ASEAN」、アジア太平洋経済協力「APEC」と環太平洋パートナーシップ協定(11か国)「TPP11」があります。

TPP11は、元々アメリカが提唱して交渉が始まった環太平洋の自由貿易協定でしたが、トランプ大統領が離脱を決定し、その後日本が主導して11か国でまとめたものです。発効後にはタイやインドネシア、台湾やイギリスまで新たに加盟に関心を持っています。TPPは単にFTA協定のレベルではなく、対中国に対応する経済圏を構築していこうという政治的意図もあります。

APECは米国やロシア、中国まで入っているため、FTAなどの実務的枠組みではなく環太平洋国の政治的交流の場ともなっています。

今、注目すべきなのは交渉中のRCEPです。本来2020年中の合意を目指していました。ASEAN+日中韓+インド+オセアニアといったアジア全体の経済圏として、締結したときには人口カバーから考えても大きな意義があるため何度も交渉が積み重ねられていました。

しかし、直近の政治的問題などから当面締結は難しくなってきたと思います。昨年、インドが合意直前になって離脱を表明しました。中国から大量の輸入品が流入する懸念からでしたが、昨今の中国との軍事的緊張から、中国が枠組みに入っている限り交渉に戻ることはないと考えられます。

またRCEPと平行して進められていた日中韓のFTA交渉も、各国の目的に違いが鮮明となり進んでいません。そこへ米中関係の衝突危機が高まり、尖閣の問題がより深刻になる中で日中の経済関係強化を進める機運が縮小しています。日韓関係はかつてないほど悪化しています。こういう状況では三か国間のFTA交渉をまとめること自体が考えられない状況です。

RCEPの締結に向けて日本側は懸命の努力を続けてきたわけですが、世界情勢を慎重に判断すると、とてもRCEPどころではないといえます。トランプ大統領が再選するかどうかでガラッと事態はわかりますし、中国の香港問題や人権問題、領土侵略問題に対するアメリカや欧州の対応いかんまた日本政府の領土を守る態度ひとつによって、アジアの国家関係、経済地図は大きく変わります。

これらは対岸の火事ではありません。国同士が揉めても自分の生活は安泰ということはありえないのです。