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失敗しない幹部人材採用のコツとは

海外展開が成功するかどうかのカギを握っているのは、設立する現地法人の経営幹部の能力と資質、そして彼らのモチベーションです。たとえ日本から超優秀な人材を現地法人の責任者として送り込んだとしても、海外では日本人だけで経営ができません。どんなにカリスマセールスマンとして最高の販売実績を誇る人材であったとしても、海外では日本人だけでは商品ひとつも売れない、人に売ってもらうことも難しいことを悟るべきなのです。ありとあらゆる商習慣や組織運営の場面で、日本との違いをいやというほど思い知らされますし、まじめで優秀な人ほど落ち込んでしまうものです。

海外で成功する人や企業は、まぎれもなくローカル人材をうまく採用し、育て、能力を発揮してもらっているところです。日本人中心の経営ですべて日本の親元から箸の上げ下ろしまで指示している企業の多くはうまくいっていません。

幹部人材を採用するにあたって

海外法人のローカル人材の中で特に重要な幹部ポジションが、人事総務部門のマネージャーと現業部門のマネージャーです。この二人の能力とモチベーション次第で事業が成功するかどうかが左右されます。経営幹部の採用に失敗は許されないのです。

多くの日本企業から現地幹部の採用に関するご相談を受けます。実際に現地に同行して採用面談にも同席し、採用面談結果の評価と決定について助言させていただくことが度々あります。私自身もベトナム勤務中に多くのベトナム人幹部社員の採用に携わった経験から、ほぼ間違いないないベトナム人を見極めることができると思っています。実際私が面談して採用した人材はすべて素晴らしい人ばかりで、一人も外れはありませんでした。今も多くが勤務を続けていて屋台骨を支えてくれています。

しからばどうやったら採用面談から外れのない人を見つけられるのでしょうか? これは私のコンサルティングノウハウの一つでもありますので、すべてはオープンにはできませんが、ある事例からヒントをお示ししたいと思います。

レジュメ評価を事前に徹底すること

通常、現地幹部人材を採用したいときには、当然のことながらリクルート会社に依頼して、応募のあった人を紹介してもらって面談を行って採用を決定します。ベトナムでは、今実際に働いている人でも、いつでも条件の良い会社が見つかれば応募したいと考えているので、ほぼ大多数が人材紹介会社に登録をしています。よって、面談できる候補人材は比較的容易に見つけることが可能で、一回の出張で数名以上の面談を設定してもらって集中して採用活動を行うことができます。

もちろん、事前にレジュメ(履歴書)を入手し、面談時に確認することも打ち合わせをして数名の候補者と採用面談を行いました。ベトナムだけではありませんが、海外でのレジュメは、日本のように履歴書フォームに記入されているのではなく、自由フォーマットで、職歴や能力などアピール内容満載で書かれてあります。ある意味、海外ではレジュメさえざっと目を通せば、どのような人物なのか、どのようなスキルや性格かまで、ほぼ手に取るようにわかります。だらだら書いている人もいれば、簡潔明瞭に書かれてあるもの、ことさら自分の能力や実績を強調しているものなど千差万別です。だいたいレジュメだけで順番付けをおこなって面談に臨むのですが、実際の面談で期待を裏切られることはまずなく、ほぼレジュメ評価と面談評価が連動しているのです。

日本では履歴書そのものに特徴の違いが出にくい作りとなっていますので、面談一発勝負のところがありますが、海外のレジュメでは、文章を書きまとめる能力とその人の性格までそのまま記載内容として現れてきます。海外では言葉の問題もあったり、アピールの仕方や性格などの違いを短時間で判断できないため、どうしても日本企業の方が面談されたときの評価が、私の見方や感じ方とずれが出てくることがありますし、結果的に日本人を採用するような価値判断で採用を決めたことが、あとあと不正解であったことが度々起こるのです。

ある支援先企業で人事総務マネージャーを採用したときのこと

今から3年ほど前になりますが、ある金属加工メーカーがベトナムに展開するにあたって拠点立地の選定から法人設立、幹部人材採用まで一連の支援を行っておりました。そして人事総務担当のマネージャーを採用するべく、リクルート会社を紹介し、そこで数名の応募者と面談を行いました。

面談では、レジュメ評価とほぼ連動する形で、候補者AさんとBさんのどちらかがいいのではないかという評価となりました。これは私の評価も企業責任者の評価も同じでした。ただ、能力的も経験的にもAさんの方が比較して少し高かったと思います。日本語も流暢でしたり、現在、大手日本企業での人事総務部門でアシスタントマネージャーの経験があるので最適という評価でした。一方Bさんもよかったのですが、こちらは人のよさそうなおばちゃんといった感じです。日本企業での経験もあり、今は家族の面倒を見る必要からやむを得ずいったん退職されていて、その問題も解決したことから改めて職を探している方でした。人付き合いの良さや笑顔で周囲を取り込むような雰囲気をもっていました。

面談に立ち会われた日本企業の方はお二人おられ、お二人ともAさんにしたいと絞られました。ただ私は何か引っかかるところがあったのです。それはレジュメを見て感じていたことでした。面談では突っ込みにくいところで、実際の面談では何事にもそつなく答えていたので、特に不採用にする理由がその場では見つかりませんでした。

結局、もう一度二次面談をしてはどうかということになり、次の日に再度来てもらって会うことになりました。ほぼその時点で内定を出されるつもりだったようですが、リクルート会社からの提案もあり、一度リファレンスをかけてみるということになりました。リファレンスとはその人物を知る第三者にヒアリングをするということで、海外ではレジュメにコンタクトしてもよい知人を記載します。実際、私の元部下が退職して再就職する際に、採用を検討されている企業から電話があって、この人物はどうなのか聞かれました。その元部下は辞められるのにはどうしてもおしい人材だったので残念でしたが、結局ホーチミンに引っ越して新たな人生を探したいとの思いを告げられ、激励した送り出した人でした。もちろん、リファレンスがかかってきたときには、こんな能力の高い人材を採用されようとする貴社は本当にラッキーだと伝えたのを覚えています。

そして、そのAさんのリファレンス結果がすぐにわかりました。結論から言えば、採用するべきではない「地雷」人材だったのです。あまり詳しい情報はありませんでしたが、現在勤務中の大手日本企業で確かにアシスタントマネージャーの職についているものの、何等かの問題で現在出勤停止になっているとのでした。最終的には、支援先の企業はBさんを採用されることに落ち着きました。

では、なぜ私はレジュメに引っ掛かりをもったのでしょうか?

それはレジュメからわかる彼女の年齢と職歴、現在の仕事の内容、ポジションから、何か問題があると匂ったからでした。

彼女は37歳、日本企業での職歴が4社ほど、そして現在は大手の日本企業で人事総務部門でアシスタントマネージャーをしていて、今回金属加工メーカーの新たな製造会社の人事総務担当マネージャーに応募をしてきたのでした。私はこれだけの情報で臭いと思ったのです。

その理由は、実際ベトナムで仕事をした人でないと感覚的にはわからないことです。

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