悲しいベトナム人の犯罪件数増
日本では最近とみにベトナム人の姿を多く見かけるようになったと感じておられる方が多いと思います。現在、日本での外国人労働者数は2017年10月現在で前年比18%増の128万人ですが、内一番多いのが中国で37万人、そして第二位がベトナムで24万人で、第三位のフィリピン17万人、ブラジル12万人を大きく引き離しています。ベトナム人24万人は前年比40%増で突出して急激に増えています。その内、約半分の11万人がいわゆる技能実習生としての在留資格で働いており、ほぼ同数の10万人が留学生の認定された資格外活動として、つまり週28時間を上限とするアルバイトで働いています。この資格外活動では全外国人で30万人がアルバイトに就いているため、だいたい三分の一がベトナム人で、特に町のコンビニやレストランなどで多く働いています。昨日会社の近くの外食レストランで昼食をとっていたら、ホール係のほとんどが何とベトナム人でした。
来日労働者数の伸び以上に急増するベトナム人の犯罪件数
国際協力を目的とした技能実習や留学生の増加そのものは、日越がお互いにパートナーシップとして関係を強め、両国の発展のために大変素晴らしいことだと思います。ただ、親ベトナムを自認し、ベトナム発展のために貢献することをライフワークと考えている私にとりまして、来日ベトナム人の増加以上に、ベトナム人による日本での犯罪件数の増加に大変心を痛めています。
昨年2017年の日本での外国人犯罪件数は17006件でした。全体で前年比20%増です。ところがその内、ベトナム人による犯罪が5140件と、全体の30%を占め、前年比で1.6倍に増えています。国籍別で遂に中国を抜き去りトップとなりました。大変不名誉なことです。一方中国人による犯罪件数は年々減少しており、国籍別在留外国人数に対する犯罪件数の比率でみると、ベトナムが断トツの一位になってしまっているのです。ざくっと言うと、日本に滞在する24万人のベトナム人が年間5000件以上の犯罪に関わっている、つまりほぼ50人中1人が日本で犯罪を犯していると言えるのです。
私は大変悲しいです。
日本で働いているベトナム人は総じて大変勤勉で真面目です。勉強好きで協調性があり頑張り屋さんが多いとの評価を受けています。ただ一部の実習生や留学生の中には、モラルが低い人も交じっていることも確かです。社会経験が十分でないまま、出稼ぎ感覚で技能実習生として応募したり、留学を名目にアルバイトが目的になってしまい、犯罪に対する罪悪感がないまま手を染めてしまう人が残念ながらいます。ベトナムで労働者の平均賃金がだいたい月3万円程度であるため、日本に来ることさえできれば、技能実習生として最低賃金で働いただけでも、アルバイトで時給1000円で週28時間働いただけでも、遥かに高収入が得られ、貧しい田舎の両親に仕送りができるので頑張っている人がほとんどです。しかし、きちんと教育訓練を受けてこなかった人達にとって、犯罪に対する罪悪感がないと、容易にもっと稼げる違法な誘いは山ほどあるのです。ベトナム人は過去の貧困の長い歴史から、一般的に「見つからなければ問題ない」と考える人が相対的に多いのは事実で、カネの誘惑の前には、道徳的にやって良いこととやってはいけないことの判断がつかない人が多いことは否定できません。
実際、ベトナム人が日本で犯している犯罪は、いかにもベトナム人の今の姿やモラルを現している内容です。ベトナム人犯罪の5140件の内、何と4割が万引きによる窃盗です。具体的には日本のドラッグストアなどで日本の化粧品を組織的にベトナムの窃盗グループから指示を受けて集団で万引きし、それをベトナムに持ち帰って市場やフェイスブックなどSNSで盗品を転売するというケースが多いようです。その他にはベトナム人グループが留学生などを使ってバイクや農業機械を盗み、それを解体して部品を輸出転売するケース、また自宅で大麻を栽培していたり、生活保護の不正受給など、どちらかというとセコイ犯罪が多いのです。
ベトナムでの教育レベルがあがり、社会的規範の意識が高くなれば、おのずから改善されていくのは間違いありませんが、今はまだいろんな問題を抱えながら発展途上にあると理解しなければならないと思っています。しかし、犯罪は犯罪です。日本にいながら日本の法律を守らず犯罪を犯す人には厳罰で臨むべきだと思いますし、ベトナム政府も技能実習生や留学生のレベルを上げていくために、事前のスクリーニングの段階でもっと厳しく対応しようとはしていますが、もう少し時間がかかるように思います。
でも、このようなベトナム人による犯罪が増加し続けることになると、日本人のベトナム人に対する評価も下がり、友好関係の発展が阻害されることが懸念されます。このままではベトナム人が日本にノービザで観光に来ることは夢のまた夢でしょう。
道徳観やモラル、人としての常識よりも、目の前のカネにふらふらっと動いてしまう稚拙さには悲しさを覚えるものの、それでもベトナム人のために何とか役に立ちたいと思うのです。