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メディアに騙されないグローバルな視野を持とう

東京で4回目の非常事態宣言が発令されることになり、オリンピックも無観客開催となる方向から、昨日からテレビや新聞メディアは大さわぎ。ここぞとばかりに政府の責任を追及する声一色です。こんな非常事態宣言下でも人の動きが抑えられないのも政府の責任、飲食店が酒類提供自粛が守らないのも全部政府の責任。こんなときにオリンピック開催なんて非常識だと朝から晩まで日本国内事情しか物事を見ようとしない人があまりにも多いように感じます。

こういうときこそ、常に視野を世界に向けて持ちたいものです。大事なのは時間と範囲をどれだけ広く連続的に物事をデータを踏まえて考えることができるかどうかです。メディアが発信する情報は「今」と「自国(自分)」しか見ていないものがあまりにも多いので、真実の姿を正しく伝えていないと思うようになってきました。

東南アジアでは日本よりはるかに深刻な状況になりつつある

テレビしか見ていない人が接している情報としては、感覚的にはアメリカやイギリスではワクチン接種が先行できたことから一気に感染者数が少なくなり、マスク制限もなくなりつつある。一方、インドや中南米では感染者数が爆増していて死者も多くて火葬すら満足にできない。また台湾やベトナムでは初期より感染拡大を阻止してきた分、最近のインド変異種が拡大してきたことに対してワクチン確保が遅れてしまって大変なことになった。。。。というぐたいのものでしょうか。それよりもオリンピックだの緊急事態宣言でいつまで飲食店経営がもうもたないというニュースが世界にとっても重大であると感じてしまうのが今のメディア情報の発信です。

そこで必要な視点は、ここ最近2週間で世界がどのような状況に直面しているのかというデータをよく見ることです。

私の仕事で関係の深いベトナムの直近の状況ですが、4月末から急激に市中感染が拡大しています。それまでは死者数は半年以上も累計35名でストップしていたのですが、1日あたりの感染者数は7月4日には1189名まで急増、累計死者数も102名となりました。7日間平均で833名を超えました。4月27日以降の市中感染者数が1万9611名となり、そのうち約半分近くの8151名がホーチミン市で発生しています。

これによってホーチミンでは、9日より15日間の完全ロックダウンに入ります。2人以上の集まりを禁止し、公共交通機関やタクシーは運行取り止め、またホーチミンから市外に出た人には移動先で1週間の隔離措置と検査が義務付けられます。実際、ホーチミン市内に住んで、隣のビンヅオン省やドンナイ省の子会社に通勤している日本人駐在員も、会社や隣省のホテルに泊まって戻れなくなります。飲食店も以前から持ち帰りサービスだけは認められていたのですが、それも禁止されるとのことです。現地のスーパーなどでは混乱が起きているようです。

ベトナムでは感染急拡大しており深刻であるには違いないのですが、ベトナムと日本だけ比較しても意味がありません。他の国々の状況はどうなっているのでしょうか。過去15日間の感染者数と死亡者数の数字を拾って地図上にプロットしたものです。

確かにインドは大変な状況です。この2週間で62万人以上が感染し、1万3千人が亡くなっています。ところがタイやフィリピンでは実はベトナム以上に深刻な事態に直面していることにどれだけきちんとメディアは情報を発信しているのでしょうか。日本より遥かに多くの感染者数と死亡者数となっています。

しかもさらに深刻なのがインドネシアです。何とこの15日間で感染者数は34万6千人、死亡者が7314人にも達しています。ところがワクチン接種数は4800万回、必要回数の接種完了で1440万人(人口比5.4%)であるにも関わらず感染爆発が起きているのです。インドネシアのワクチンは中国のシノバック製であることから議論を呼んでいます。

一方、感染を押さえたと言われているアメリカとイギリスはどうでしょうか。イギリスでは規制をほとんど解除するとのことです。しかし、新規感染者数が日本の10倍以上もあるのです。しかし死亡者数は抑え込んでいます。それでも人口比で見ると日本の死亡者数はそれよりもずっと低いのです。単純にアメリカを見ても、感染者数も死亡者数も日本の10倍以上です。

にもかかわらず、日本では天地がひっくり返ったような非常事態宣言の発令とオリンピックの無観客開催で大さわぎです。何かおかしいとは思いませんか?

常にグローバルな視点で物事を見るべきです。テレビや新聞は見ないことが賢明との思いがますます募ってきました。