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マイナカード問題に見る日本人独特の変化を嫌う病理

DXに対応できない国や産業、企業は国際競争力を失い、結果的に国民は貧困化していくのは確実です。ところが生産性が低く賃金が上がらないことで、義務を果たすよりも人権や既得権ばかりを主張するようになってはいないでしょうか。問題が起きたとき自らに原因がある点について直視することなく、〇〇ハラストメントと全て周囲の責任にする、政治が悪い、政府のせいにしてしまう人が多いのを大変憂慮しています。

日本産業の生産性の低さについてはいろんな要因が複雑に絡んでいるのですが、その中から二つの側面から日本人独特の価値観から潜んでいる病理について考えてみたいと思います。

マイナンバーカード問題の本質と企業のDX推進の壁

昨今、健康保険証を廃止してマイナンバーカードへの一本化や銀行口座の紐付けが正しく行われていないミスが発生していることが問題になっています。様々な発生原因があるとは思いますが、本人確認のキーが氏名、誕生日と住所で行われていることや、手作業による確認入力が主な要因となっています。

この紐付け作業のミスの発生確率は%未満のわずかです。人が介在するとどうしても入力確認ミスは発生します。発生すれば修正していけば良いだけのことのように思います。新しいシステムを開発し導入すればバグはある程度発生するのは当然です。最初から完璧なものはあり得ないのがソフトウェアの世界です。携帯電話のOSもWINDOWSも脆弱性が見つかるたびにバージョンアップしていきます。

ところが数十万件の紐付け間違いがあったとしても、国のDX化の基盤となるマイナンバーカードそのものを全否定するような批判は当たらないと思います。実際、紙の健康保険証で医療機関にかかったとき、病院の受付では手入力で保険番号を照合します。そのときの誤入力の頻度は数十万件では収まりませんし、顔写真のない保険証で他人が使いまわしを行っている問題はもはや放置できないレベルであると認識するべきです。医療機関の受診実績や薬の処方情報がないために、異なった医療機関が同じような薬を重複して処方することによる医療費の無駄遣いを抜本的に削減するためには保険証を廃止して、データで管理するマイナンバーカードへの一本化は必然です。

照合ミスは修正しシステムで対策していけば十分です。にもかかわらずなぜこのように内閣の支持率が大幅に低下することになるのでしょうか。ここに日本人の「新しいことに取り組むことに対する変化を嫌う心理的病理」を感じてしまうのです。この病理は今後日本人が世界から取り残されていく要因になりかねません。

国だけでなく産業界もDXに取り組まねばならないという意識の高まりはあります。しかしこのDX推進に立ちはだかる日本特有の壁があるのです。

①変化を嫌う従業員の心理的抵抗

DXに失敗する企業の共通した要因として、過去の成功体験の価値観に引きずられ、変化の必要性を感じない従業員の存在が抵抗勢力になることが一番にあげられます。特にITやデジタルによる業務革新に理解がついていけず、立場を失うだけでなく仕事がなくなるかもしんれない従業員のこじつけ理由による反発がもっとも厄介です。

②経営者自身の鈍いデジタル感度と認識不足

心理的抵抗を持つ従業員の意識改革は難しいですが、トップの強い危機意識とリーダーシップがあればDX推進は可能です。ところがトップ自身がそのデジタル感度が鈍ければ市場から退場を迫られることは必定かと思います。

③人、組織ともに同質性が高く失敗を恐れる組織文化

これが日本の競争力低下を危機に陥れている根本問題です。新しいことに挑戦するよちも失敗しないことが重視される企業文化を持っている企業が多いと思います。日本人全体がこのような心理的病理を抱えているといえるのではないでしょうか。成功事例がないと挑戦しない前例主義で意思決定していることで、国際間競争のスピードに勝てるはずもありません。

日本人が直面している問題は、日本以外が見えていないことに起因してると思います。以前の日本人は海外に打って出て、挑戦に挑む気概を持っていました。しかしバブル崩壊以降、日本全体が蛸壺化し、海外留学や海外勤務で積極的に能力開発を図り、新たな人生やビジネスに挑戦しようとする若者が少なくなってしまいました。

社会人になって以後、ずっと海外との関連で仕事に恵まれてきた私にとって、今後の日本が世界で果たして生きていけるのかどうか大きな不安を感じるのです。