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リスキリングに対する意識の低さから見えてくる日本の将来

最近首相が「育休中のリスキリング(学びなおし)支援」発言をしたことで、SNS上やマスコミでは「家事育児しながら勉強する暇あると思っているの?」と批判が殺到炎上しているとのニュースをみて暗澹たる気持ちになりました。

これは首相に対してではなく、いかにも働き方改革に反するとか、少子化問題や子育ての大変さを政府がわかっていないというような個人的な感情だけで批判する人やマスコミの意識の低さに対してです。こういったことを言うとまたまた非難する人が多いと思うのですが、育休時のリスキリングが必要かどうかは関係なく、日本人は一般的に一旦社会に出たらいかに勉強しない国民かという実態を是非知ってもらいたいのです。

「いやそんなことはない、社会人となって会社に勤務してからも毎日夜遅くまで残業するだけでなく、社内でも次から次へと仕事で覚えなければならない専門知識も多く、会社から研修だの課題レポートだの勉強させられる。学生時代よりも勉強しないと同期入社にみんなから取り残される。日本人が勉強しないなんて嘘だ!。事実、日本の技術は冠たる国際競争力があるのではないか。給料が上がらないのは政府の政策の問題であり、経営者が内部留保を吐き出さない問題からだ・・・!!」

という受けとめをしている人は今後本当にヤバいです。国際的に見て決して日本人の能力は引けを取らないという感覚を持っているというのは錯覚に過ぎません。事実、皆さんは海外で通用するスキルを持っていますか? 海外に出て英語で議論して仕事ができるスキルはありますか? 日本国内でも勤務先を離れ会社の名刺なしに通用する資格や能力を持っていますか? 日本のトップクラスの学生が学ぶ東大や京大が何故国際ランキングでどんどん凋落しているのは何故なのかわかりますか?

勉強しない国民を抱える国は貧困化する

結論を一言でいうと、「日本人は勉強しない国民である」ということになります。そしてこのままでは国際的に競争できない優秀とはいえない人材ばかりとなり、国民全体が人権意識ばかりが増幅して福祉で国に過度に依存する傾向が強まり、少子化とともに国の全体が貧困化していく姿が見えてくるのです。

今は物価高が加速する傾向が強まりつつある中、日本だけが給料が上がらないことで、国際比較ではドル安の影響もあり賃金水準が低下しています。このままで推移すると日本人は単純労働者であっても、国内で働くよりも海外に出稼ぎに行った方が収入が増えてくる状況はもうすぐそこまで来ています。実際調理師などは海外での日本レストランで働いた方が儲かるのではないでしょうか。

教育は国を支える基本であるというのは当然であり、だからこそ子どもの教育にもっと国は力を入れるべきです。老人や障がい者福祉も大事でしょうが、それは今を生きる人々にとっての社会安定のための範囲にとどめるべきであり、それよりも大事なのは将来に向けて国・社会が発展していくための人材育成に投資するべきだと考えます。

福祉は将来のリターンは皆無とはいいませんが、ほとんどは支出だけで終わってしまいます。一方教育は国・社会にとっての投資です。人材育成は必ず将来の付加価値の成長性に繋がります。そして教育投資は、何も子どもたちの学校教育だけではありません。社会に出てからの継続的なスキルアップこそが効率的に付加価値を創出する源泉となります。

ヘッダーのグラフを見てどのように感じられますか?

勤務先以外で何も学習や自己啓発活動をやっていない日本人はなんと断トツの46.3%を示しています。仕事が忙しいとか、育休中などに子育てで手一杯だから勉強する時間などないなって言い訳が通用するでしょうか? 日本以外のアジア各国の人々は社会に出てからも本当によく勉強します。

この状況があと10年、20年続いたら、日本は国際競争力から取り残され、言いたくはないですがバカばかりが福祉にたかる社会に落ちぶれてしまう懸念はないでしょうか。日本人は優秀だというのは最早幻想になってしまうでしょう。

諸外国の人々はなぜこんなに勉強するのでしょうか

 

多分皆さんはこうおっしゃられると思います。「日本人がそんなに勉強しない国民だなんて信じられない」でも、忙しいから勉強する時間がないという言い訳は通用しますか? 子供たちに学校の授業やクラブ活動がへとへとになって疲れてるなら復習や宿題しなくてもいいと言われますか?

このグラフでは日本人は資格取得の勉強する人の割合は最下位です。かといって語学学習をしている割合も、英語が母国語である国を除けば断トツの最下位です。これでも生きてこれた日本はある意味年功序列のしくみの中で会社では特段勉強しなくても首にされない労働環境での働き方に恵まれていたのです。でもこれでは必死に勉強している諸外国の人よりスキルの高い人材として競争していくのは大変厳しいのではないでしょうか。

諸外国では、一人ひとりが少しでも勉強してスキルを上げることで、より高度な仕事をこなせる実力で勝負して収入を上げていく働き方は一般的です。

私が勤務していたベトナムの現地法人では、社員の多くはスキルをアップするために勉強に貪欲でした。会社での研修も参加者を公募すると、会社の費用で勉強させてもらえ、就業中に給料をもらいながら学べるためすぐに定員一杯になりましたし、社員の労働環境改善要求のほとんどが昇給よりも時短でした。時短で少しでも早く帰って夜学に通って資格を取ることでスキルを上げたいというモチベーションが高かったです。スキルを上がると会社としては仕事が高度化するので嬉しいことではありますが、一方では社員一人ひとりは少しでも良い待遇や高度な仕事に就ける会社に転職して、家族のために収入を上げていきたいという思いがあることも背景にあります。

これはベトナムだけのことではありません。日本だけが特殊な状況であることを理解すべきです。

今後国や企業はどうすべきか

社会人のリスキリングを加速させるのは国にとっても企業にとっても待ったなしです。ややもすると勤務時間外に勉強なんてごめんだという人がほとんどだというのが日本の実情です。「終業後に研修なんてとんでもない、残業代出してくれるのか?」という声が上がりそうです。社内研修で参加を指名しても積極的に学ぼうという姿勢を持っている人は実際には少ないです。育休中のリスキリング支援について言及しただけで、育休をとっている人は暇だというのはけしからんという人が多いでしょう。

でも、そういった人は取り残される世界になることは海外を見ると火を見るよりも明らかです。

家族のためにも自分の成長のためにももっとスキルをアップする努力をしませんか? どうせ時間の無駄だと思っていはいませんか? 例えばファイナンスプランナーや簿記の資格を取ろうと勉強しても結局試験を通らないこともあるでしょう、しかし勉強で得た知識は家庭全体にとってもお金の貯め方や運用、使い方について大きな知恵となって残ります。

国や企業はもっと社会人のスキルアップのための費用支援や研修機会の整備に尽力するべきですし、個人のスキルアップとともに、企業経営の一番重要な経営資源である人材の高度化が図るように投資するべきです。

社会人のリスキリングの重要性がようやく語られるようになりましたが、国としての支援体制はまだこれからであり、企業自身特に中小企業が人材育成にかける経費は極めて少額です。スキルアップのための研修費用の補助金を企業、個人ベースで拡充することによって、結果的に国・社会全体が創出する付加価値は各段に上がっていきますし、賃金の上昇も連動して実現していくことでしょう。

勉強もせず、スキルも実績も上がらない人材に昇給はない。これは当たり前のことです。だからこそ人材育成は費用ではなく投資なのです。

ではどういった研修体系とスキルアップの目標と処遇体系をどう整備すれば良いのでしょうか。それは企業の事業環境によって千差万別ですので、個別に専門家に相談することが近道かと思います。ご相談は無料で対応しますので必要とお感じなられたら是非お問合せください。