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日本人はもっと勉強してもっと働け!

日本人は働きが悪い!と言えば非難轟轟の嵐でしょう。

「何を寝ぼけたこと言ってるんだ!世の中には過酷な労働環境で過労死ラインを超えて働かされている人がたくさんいるのも知らないのか!冗談を言うな!(怒)」「こちらとらは身を削って一生懸命働いているんだ。外国では残業もしなくて定時に帰るのが当たり前じゃないのか?日本人こそ社畜のように残業ばかりやらされている実態を知らないのか!!」

でも本当の実態はそうなんでしょうか。労働時間を就業形態別にみると、正社員を中心とする一般労働者の総労働時間は「毎月勤労統計」で就業形態別の労働時間の調査が開始された1993年以降、徐々に減少しています。一方、パートタイム労働者の総労働時間は長期にわたりほぼ一貫して減少しています。1993年から2019年までの26年間で一般労働者の総労働時間は▲4.2%、パートタイム労働者の総労働時間は▲16.0%減少しているのです。

そうです。過重労働環境の改善を図るべく働き方改革の名のもと、どんどん残業規制が進み、確実に総労働時間するは減っています。それではこの減った労働時間はどこに移ったのでしょうか。

一人ひとり全員に一日24時間の人生の時間が与えられています。ということは、減った労働時間に比例して生み出される富は社会全体から見たらどこに消えてしまったのでしょうか。

余暇が増えた?家族との自由時間が増えた? もちろんこれらは間接的には新たな消費による富を生み出すかも知れません。しかし産業全体の生産性を考えた場合、一人が単位時間当たりに生み出す付加価値つまり生産性を上げない限り、社会全体は決して発展しません。

先般の総選挙でも「分配」ばかり主張していた政党が惨敗しました。国民の多くはもっと稼がないと、つまり収入を上げないと国は成長しないし、成長しないと分配の原資もないことに気づいていたと思うのです。

ですから、日本人は今こそ「もっと今まで以上に働きを良くするべき」なのです。しかし、何ももっと労働時間を増やせというのではありません。労働時間が短縮されるのであれば、短縮された労働時間で今まで以上の収入を上げる、つまり生産性を上げる必要があります。

賃金を上げろだけでは生産性は上がらない

日本人の給与はこの30年以上ほとんど伸びがありません。デフレの中で給料が上がらなくてもそう生活が苦しくなったという感覚を持っている人は少ないと思います。

しかしこの間諸外国の経済はどんどん成長し、日本がグローバル競争に負け、物価も給与水準も先進国の中では最低ランクまで落ちてしまった意味を深刻に受け止めるべきです。

「そうだ!日本人の給与が低いのは、経営者が内部留保で貯め込んでいるからだ。内部留保を給与増に使え!」・・・とバカなメディアや政治家が良くいうわけですが、内部留保は現金ではないという会計の基本すらわかっていない人があまりにも多いのが悲しいです。

生産性を上げるという意味は、一人あたりの付加価値を上げるということです。その付加価値というのは、一般的に利益に減価償却費と人件費を足したものですから、給与を上げることは付加価値を上げる一つの手段には違いありませんが、そもそも収益性で利益がでないと給与を上げることはできないのでそう単純なものではありません。

究極的には減った労働時間という価値を、余暇や睡眠時間に無駄遣いするよりも、自分自身のスキルを上げることに投資して、より給料の高い仕事ができる能力を高めることができれば、社会全体としても生産性は格段に向上するはずなのです。

もっと自分の価値を高めるスキルアップを

しかし日本人の多くは社会人になってから勉強しない人が多いように思います。つまり能力を自ら高めて転職したり、より高度な仕事に挑戦しようと自己研鑽に励む人が、外国人に比べて非常に少ないのが実態です。

少し辛辣な言葉になりますが、ぬるま湯のような中流社会でのほほんと働けてきた会社で、自ら能力を高めなくても仕事を失う危機感がほとんどないのが一般的な日本人の姿のように映ります。

外国ではなぜ社員がすぐに辞めるのかということで困っておられる企業が多いですが、むしろこれが当たり前の姿なのです。仕事が先にありきで企業活動が成り立っており、その仕事を遂行する人材を採用して処遇するのが人事労政の基本にあります。よって社員もずっとその会社で働く感覚がないのが当然です。少しでのスキルをアップして、自分の価値を高めてその価値を買ってくれる企業に転職することで、自分の成長と収入増を実現することが世界の常識です。

ところが日本はどうでしょうか。「企業は人なり」、企業も人材育成に力を入れ、社員の能力開発とモチベーションアップに投資しています。様々な研修プログラムも用意しています。でも、社員の多くは社命で研修を受けろと言われたら仕方なしに参加するという意識レベルです。個人負担で研修なら拒否するし、業務命令なら有給かつ研修費も会社負担が当たり前という感じではないでしょうか。

しかし、新興国での社員は自分のスキルを上げるために研修を受けることに非常に積極的です。本心は転職のための能力開発であることはわかっていても、社員の能力開発が生産性を高めることに直結するため、積極的に研修プログラムを整備します。新興国など海外では研修参加を受け付けるとすぐに枠が埋まってしまうぐらい積極的です。

でも日本人は、「このくそ忙しいときに研修なんて勘弁してほしい」と考えるのです。これによって外国企業と日本企業の間で、能力開発や企業活力、モチベーションそれぞれにおいてどれだけの差が発生するかを考えると末恐ろしい感じを受けます。

削減した労働時間をどう使うか? 日本人はもっと自分自身の成長のために、会社の費用ではなく自分で自己投資するべきです。そして少しでも能力を高め、高度な仕事に挑戦して給与を上げたり、能力にあった企業に転職していくライフスタイルこそが日本経済の発展につながると思うのです。

とにかく、「日本人はもっと勉強しろ! そしてもっと高い給料が貰えるような仕事で働くよう挑戦しろ!」と言いたいのです。まして少子化による危機感を持たないと社会全体が衰退するのは確実です。