地の時代から風の時代へ
私はあまり占いとかは信じない方ですが、昨年12月に木星と土星が地球から見て大接近するコンジャンクション現象ということがあったと思います。占星術ではその意味するところは、今まで250年間は「地(土)」の時代であったのが、2021年からいよいよ「風」の時代へと大きく世の中が変わっていくというのです。話半分としていろいろと調べてみると、「地(土)」の時代は産業革命に代表される大量生産、大量消費によって市場経済が大きな価値を持ち、いわゆる目に見える土地やお金、世俗的な成功といった価値観が主流となっていた時代に生きてきたということです。
ところが木星と土星が大接近したコンジャンクションを迎えた2020年12月12日から、風の星座である水瓶座の0度で起こるというのです。よく理解できなかったのですが、「風」の星座は知性とコミュニケーション、知識と情報、ネットワーク、理性やコンセプトといった目に見えない抽象的な世界が価値を司ると言われています。特に、水瓶座は自由と平等、オリジナリティ、改革精神や、友愛精神をキーワードとする星座で、発明や最新テクノロジー、AI、SNS時代を象徴します。端的には一人ひとりが個性を発揮しやすい環境づくりが進み、だれにでも可能性が開かれる時代がやってくるというのです。
これからの幸せの価値観が根本的に変わってくることを意味します。「風」は「地(土)」のように動かず目に見えるものとは対照的に、目に見えず絶えず動いている、しかも動きが早く、軽やかであるものです。つまり今後求められる価値観は「実態のないもの」であったり、「感情的であったり」「精神的な満足感」で「柔軟に変化する」ものです。
私の星座はまさに「水瓶座」で、この大きな価値観の変化の時代を迎え、2021年は人生が最大級に変化するめったにないチャンスが到来するというのですが、余計にこの「風の時代」について興味をそそります。
コロナがまさに「風の時代」への変化を求めている
風の時代という見方はあくまで占星術の世界からのものですので、信じるに足るものではないと思われる方も多いと思います。しかし、昨年私たちの仕事や生活を根底から覆してしまったコロナの問題をよく考えてみると、「地(土)」の」時代の価値観から「風」の時代へ大きく変わってきたと実感することが多いとは思いませんか。
今までは実際に毎日通勤して事務所で仕事をしたり、リアルにあちらこちらに出張して対面で人と関係性を作り、また夜遅くまで長時間残業した後は飲み会に行くのが当たり前の世界でした。ところがコロナ以降どう変わったのでしょうか。以前から少子化対策のためにも働き方改革が叫ばれていました。しかし、コロナによって在宅勤務が当たり前になり、オンラインで会議や商談を行うのが普通になっています。
新卒一括採用や終身雇用といった人事制度も一気に崩れつつあります。リモートで仕事を行うことがニューノーマルになってきたということは、従業員のあり方も正社員として雇用されて毎日職場に通勤して働く意味がどんどん縮小しています。必要な仕事に対して必要な能力を持ったフリーランス人材を必要なときにスペシャリストとして活用する、今まさに転職や副業化が進んでいるのは典型的な現象です。つまり売れる能力を持った人材でないと仕事はなくなっていきます。まさにこれらの変化は「風の時代の象徴」といえるのではないでしょうか。
企業の経営資源も「風の時代」へ変革が求められる
企業経営において重要な経営資源は「人」「モノ」「カネ」といった有形資産と「ノウハウ」という無形資産です。この有形資産は「地(土)」の時代に重視されてきた経営資源です。自社ビルや工場・店舗を大量に持っている大きい会社、たくさんの従業員がいる会社、お金をたくさん貯めている会社というのが大企業として名声を高めていた時代です。
ところが今急成長している企業はIT企業を始めとした無形資産から革新的価値を生み出しているところばかりです。無形資産も単にノウハウとか技術に限らず、「時間」や「情報」、「知財(ナレッジ)」「ブランド」に加え、「感性」「ネットワーク(つながり力)」などがより重要な価値になってきました。目に見えないこれらの経営資源は風のように流動的であり、常に内部に貯めておけるものではありません。できる限りシンプルにかつ変化にすばやく対応することで、余計な固定的なものは抱えない「断捨離経営」へと変化しているのです。
今「人」「モノ」「カネ」の有形資産を極力流動的にしていかないと成長が厳しい「風の時代」を迎えています。多くの「人」(社員)抱えてオフィスで働かせる時代ではなくなり、オンラインで必要な人の能力を無形資源として活用することで競争優位性の勝負がつくように変化してきています。自社ビル建設や店舗投資など大きい不動産投資することが競争力を生むのではなく、かえって時代が変化するスピードが加速する中で重たい資産を抱えていては機動力が低下します。過去からの利益を内部留保として現金で貯め込んでいても、無形資産から付加価値を生む投資を行う戦略がなければカネは宝の持ち腐れになります。
これからは企業にとっても従業員にとっても、いかに持たざる経営で風の流れに乗れるか、そのための自分自身の目に見えない価値をどう高めるかという生き方が求められていることを痛感しています。