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実は飲食店の経営が一番難しい

2020年はコロナに始まりコロナに終わる大変な一年でした。コロナの影響が最も深刻となっている業界の一つの飲食業です。この一年何度も営業時間の短縮など苦難に遭遇しています。

とりわけ大人数での飲食が感染拡大の一番のリスクとなっているのはほぼ立証させており、今大阪市内では夜9時までの営業短縮となっています。だいたい飲食店の来客がピークとなるのが8時から10時ぐらいですし、5人以上の会食が一般的となる忘年会などは軒並み自粛といったところがほとんどであるため、いくら協力金が出たとしても深刻な打撃となります。年間売上ピークの忘年会需要を取り込めないどころか、第一波の感染拡大時の営業自粛が繰り返されるで、多くの飲食業が廃業に追い込まれることが予想されます。既にこの秋以降、インバウンド需要に依存していた観光地や賃料の高い地域での飲食店の閉鎖が目立っています。

実はこの飲食業界、コンサルタントンの立場から見たとき、コロナの影響に限らず経営的には非常に高度なマネジメントが必要である成功が難しい商売なのです。

経営能力が最も問われる業種が飲食業

成功している飲食業の経営者は非常に高い経営能力があると言えます。そこらあたりの一部上場企業の社長などと決して引けを取りません。むしろ必要とされる経営管理能力という点では、大企業の社長などはどんなに低くても周囲がカバーするため通用しているだけということもあろうかと思います。

コンサルティングの仕事を始めて以降、様々な中小企業の経営者とお付き合いがあります。確かに経営者にはいろんなレベルの方がおられます。正直よくもこんな方が社長をされていて大丈夫かと思う人もおられます。ただ、おおむね多くの経営者の方は実に深く経営のことを必死に勉強し考えておられます。むしろ大企業の経営者や経営幹部の人ほど経験の幅が狭く、とても経営者としての見識やスキルを持っておられない方が目立つように感じています。

中でも飲食業が生き残るためのマネジメント能力は非常に高いものが要求されます。ただ残念なことに、飲食業は参入障壁が低く、一部のスキル例えばレストランで修業経験があるとか、お菓子づくりが好きだとかの嗜好が動機だけで、マーケティングの知識もなく店を開いてしまってすぐに行き詰まる店が多いのです。

実は飲食業に求められる経営能力は、ありとあらゆる経営スキルが詰まっているといっても過言ではなく、よほど優秀な経営者でないと成功はおぼつきません。

飲食業はほとんどの場合アルバイトなど人が必要です。つまり人事管理能力が求められます。

飲食業は提供する料理が商品そのものです。つまり商品開発力、品揃え、材料調達などの商品戦略、調達力が基本です。

飲食業は客が来てくれないと売上が確保できません。つまり集客マーケティング戦略を始めとする4P戦略が必要です。

飲食業はリピーターを確保しないと長続きしません。つまり顧客サービス、顧客管理のためのCRMが重要です。

飲食業は価格が高すぎると客数は伸びません、低すぎると収益があがりません。つまり価格戦略と損益分岐点分析によるマネジメントが必須です。

飲食業は材料を仕入れすぎると腐り、足らないと商機を損失します。つまり在庫管理が収益に直結します。

飲食業は借入金で投資し自転車操業の資金繰りです。つまり税務とキャッシュフロー経営の知識がないと資金ショートを起こします。

つまり飲食業の経営者はオールマイティの経営能力を持っていないとすぐに行き詰まります。人、顧客、商品、調達、採算性、資金繰り全てをマネージできるスキルを持っている経営者がいったいどれだけいるのでしょうか? 

料理が作るのが好きだから、パティシエとして美味しいケーキをお客さんに食べてもらいたいから、といった理由だけで飲食業に参入するのは無謀です。よくタレントなどがレストランを開いたというニュースを見ることがありますが、よく失敗したとか、共同経営者がカネを持ち逃げしたといったこともよくあるようです。

飲食業で成功するには並みの経営スキルでは難しいと思います。もし私がコンサルタントとして何が一番大事かを助言するとした場合、投資参入を決断する前に、十分時間とカネをかけてマーケティング戦略からのフィージビリティスタディ、つまりちゃんと投資回収ができるかどうか事業化検討の事業計画をまず策定することだと伝えます。

損益分岐点分析もせずに、借入金で店舗内装や調理機器を買って、単に想定来客数に材料単価と客単価から算出した粗利率をかけて、家賃と人件費や光熱費など固定費を引いて出た営業利益から借金を返せるかどうかだけの目論見だけで店を開いたところは、十中八九の割合で一年以内に撤退に追い込まれることは間違いありません。

これはコロナの影響なんて関係ありません。そもそも参入するべきではないですし、銀行もカネを貸すべきではないのです。一番の変数は「顧客数」です。飲食業に限らずあらゆるサービス業、製造業全てにおいてマーケティングと財務を軽視する企業はまず成功は無理であると言い切れます。