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人材育成は未来への投資

元マクドナルドの社員で現在講演家の鴨頭嘉人氏が高校生向けに講演をしていた動画を見ました。この方はさすがプロで、わかりやすくぐぐっと引き込まれる内容ばかりです。その講演で、高校生に「皆さんはアルバイトや将来企業で働くようになって得た給料は、全部自分が自由に使っても良いと思っている人は手を挙げてください」と問いかけました。ものの見事に全員が手を挙げました。それに対して鴨頭氏は、大きなジェスチャーでバッテンを示したのです。高校生は「なぜなんだ?自分で働いて得た収入を自分の好きなように使おうが勝手だろう」という常識的な反応を示したのです。

鴨頭氏はこう言いました。

「皆さんが得ることができた収入は、あなたがた個人の力だけで得たものではないのです。その付加価値の対価として得ることができた皆さんの能力は、ご両親、学校の先生、皆さんと直接関係のない一般社会の人々の税金で立てた学校や施設など、皆さんに教育という投資をしてくれたからこそ得ることができたのです。」

「皆さん一人ひとりの力だけでその給料を得ることができたのではありません。皆さんがこうやって学校で勉強するのは何のためですか? 将来皆さんが幸せになるために、もっともっと社会全体が幸せになるために、皆さんの能力を高めるために、皆さんより先に生まれた大人たちが投資をした結果です。なぜご両親が皆さんのために、授業料を払ってくれるのでしょう。皆さんがマクドナルドでバイトをして自分で稼いだカネだけで、皆さんの授業料が払えますか?しかも高額の国の税金が皆さんの教育に投入された結果、働いて給料を貰えるようになったのです。」

「なぜ大人たちは皆さんの教育にここまでお金をかけるのでしょうか?それは国、社会全体が成長発展していくために、もっとも効果の大きい投資であるからです。今、日本で皆さんが当たり前のように享受できているくらしは、その付加価値を生み出す源泉である人材に投資をずっと続けてきたからです。」

高校生も目から鱗であったと思いますが、私自身にとっても人材育成の重要性を改めて認識しました。「次世代につなぐ~飛躍の架け橋~」これは私自身の事業のキャッチフレーズですが、飛躍発展していくには、いかに人材を育て次の世代にバトンタッチしていくかが痛切に感じるとともに、私の事業の使命はここにあると確認できたのです。

給料は何に使うべきか

鴨頭氏は、得た給料で両親に報いろとか、働いて税金として社会に還元しろといっているのではありません。大人たちが自分の成長に投資してくれた結果得た給料を、全て自分の好きなように使うのではなく、「さらに投資をしろ」と説いています。もちろん将来結婚してできた子供の教育にカネを使うことも投資です。仕事を通じて社会が発展していくために貢献するのも投資です。しかし、鴨頭氏は「もっと自分に投資を」と求めています。将来もっと大きな価値となって社会発展に貢献するために、自分自身の価値、能力を高めるための投資に振り向けるべきだというのです。

自分自身の能力が高まれば、それによって生まれた価値を次世代に残しつなぐことができれば、社会全体にとって大きなリターンとなるのです。会社や社会での人材育成に投資することも重要ですが、それよりももっと重要なのが自己の能力開発でありモチベーションの最大化ではないでしょうか。

鴨頭氏は高校生に対して過去読んだ本の数についても聞きました。これは統計にも出ているのですが、最近の学生はほとんど本を読みません。過去1か月に1冊も読まない子供も割合は小学生で14.5%、中学生で16.4%、そして高校生で53.2%と上の年齢に行くほど本を読まないというのは何かおかしいと思います。自分自身の能力を上げるために本を読むことだけがその手段ではないですが、短期間に視野を広げ、そして知識を深め、能力を高めるには読書が最も効果的です。

稼いだ給料を全て自分の楽しみや価値を生まない快楽に費やすだけでは、自分自身に投資してもらった両親や社会に価値を還元していくには不十分です。自分の能力を高めることができれば、仕事の付加価値が大きくなるわけですから、結果として自分自身の幸せにもつながります。儲けた給料を全て趣味や飲み食いに使ってしまうのではなく、将来の大きな投資の原資として計画的に貯めることも必要ですし、それよりももっと本を読んだり、ためになる講演を聞きにいったり、視野や知識を広げるために、新たなことにチャレンジする習い事や交流会に参加したりすことも立派な投資活動です。

私を含め高齢になった人でも、日々勉強に頑張っているだけでなく、給料を自分のためだけに使うのではなく、社会の発展に貢献する活動を続けている方が多くいます。毎日通学路に立って子供たちの交通安全を見守っている人たちは、単に時間が有り余っているから時間つぶしでボランティアをしているのではありません。未来の社会を支える子供たちが無事に育って、次世代を支える人材になってほしいとの願いを持って、自分の労働対価による「未来への偉大なる投資」を担っているのです。

今こそ改めて「人材育成と投資」について考えなおすべきではないでしょうか。