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海外経営人材育成が成長発展の鍵

あけましておめでとうございます。

中小企業の海外展開支援事業を始めて4年になります。この間、中小企業だけでなく中堅・大手企業の海外展開についてもいろいろとお手伝いをさせていただきました。伴走型で企業と一緒に走り続けることをモットーとし、海外事業をいかに企業全体の成長発展に結びつけていくかを考えてやってきたことから、支援先企業の数を増やしていくには限界がありました。もちろん売上を増やすことだけを考えればいろんなやり方で手を広げていくことは可能です。スタッフも増やして幅広く取り組むことも考えられましたが、縁あってお手伝いさせていただく関係ができた企業様には、全力で今まで培ってきた経験やノウハウを惜しみなくお伝えしたいと思ってやってきました。

無料セミナーも定期的に開催しておりますが、わざわざ足を運んできていただいた参加者のために、できる限りの情報をお伝えしたいと思っていました。「無料セミナーで顧客に満足感を与えてしまうようなことをやっているから、コンサル契約をしたいという顧客が現れないんだよ!」と周りから何度言われたことか・・・。経営相談室で相談を受けたとき、通常1時間で一般的な情報をお伝えすれば良いところ、真剣に企業の相談事に向き合い、いろいろ提案して話をしてたら、気づいたら2時間近くになっていたことなどは毎回でした。あえて情報を出し惜しみして高額のコンサル契約に誘導していくやり方がなかなかできないのは、コンサルタント向きではないのかなとも考えました。でも、最初から最後まで寄り添って真剣に一緒に考えてくれるアドバイザーを望んでいる企業は確実におられます。たとえその数が少なくても、たとえ高額報酬でなくても、お役に立てさえすれば十分と思っています。

結局経営は人なり

4年間の海外展開支援の仕事を通じて、改めて企業が抱える課題は「人」に行きつくということを強く感じます。海外展開支援と言いましても、組織体制づくりや海外人材採用と育成、人事労政・リスクマネジメント、グローバル人材研修に経営者育成などに関連することの依頼が三分の二以上を占めていました。結局、経営は人なりという昔から言い尽くされた経営の本質は、海外展開支援においても何ら大きな違いがないということ痛切に感じています。

私が大学を出てすぐに就職した会社は、電機メーカーの貿易部門を担当する子会社でした。いわゆるメーカー系商社という位置づけです。企業グループとしてはメーカーなのですが、子会社である商社部門として独自の企業文化を持っていました。当時は、製造事業部門で作った商品を海外に販売する部門として、独自に海外に販売ネットワークを作って、自社もしくは代理店などを通じて輸出をしていました。まだ海外製造拠点が本格化する前で、事業部門も海外については貿易会社を通じないと良くわからず依存されていた時代です。この貿易会社は、仕入れた商品の価格と輸出価格との値差を取って輸出事業を行ういわゆるトレーディングで収益を上げていたわけですから、結局経営資源としては、モノは事業部門に依存し、カネはトレーディングで確保されたグループ内の潤沢な資金を使えていたわけですから、蓄積された海外市場アプローチのノウハウと海外を飛び回るスキルをもった人材が内部の強みであったのです。

その後、貿易部門の子会社である商社は、グローバル事業展開の加速化に向けて親会社に吸収合併されました。それは当然の流れでしたが、一方、同じトレーディングで収益を上げていた総合商社は、メーカーが独自に海外展開を始めるに従い、トレーディング機能を商社に依存することが徐々に少なくなりました。この状況変化に対応するべく、総合商社は投資事業を開拓していきました。トレーディングの利ザヤを稼ぐのではなく、将来のリターンを得るために、資金力をバックにデベロッパーとして工業団地を開発したり、油田や素材産業への投資事業を拡大していきました。将来リターンが期待できる事業や企業にマイナー出資の形で投資事業を行うだけでなく、次のフェイズで経営人材を育て送り込む事業に発展していったのです。つまり、「事業投資」から「事業経営」に機能をシフトさせています。今のコンビニなどは商社系列で形作られています。過半数の出資ではないので経営権を握っていなくても、経営人材を育成して送り込んでいくことで、投資先の事業を成長発展させていく戦略を推進しているのです。

三菱商事などはグローバルで千数百社に投資しているとのことで、「事業経営」に機能をシフトさせていくためには、この経営人材の創出が待ったなしとの認識でいます。つまり商社一社で何百人単位で経営人材を計画的に育成していかなければ、商社の中身が空洞化するという危機感があります。トレーディングのモノの扱いから、投資事業のカネの扱い、そして事業経営のヒトを重視する経営機能のシフトを真剣にとらえているのです。

これは大商社だけの話ではありません。中堅商社もしかり、卸、小売りといった流通だけの必要性ではありません。グローバル経済の下で、メーカーであろうと、中小企業であろうと、グローバル経営人材の育成は最重要課題です。メーカーにとっても事業経営とは何か、中小企業にとってもグローバル経営機能とはないか、それを司る人材はどうやって確保するのか、どう育成していくのか、自社の知見だけではどうにも追いつかないであろうと思います。

これからの3年間は、経営人材の育成支援に焦点をあて、事業承継の課題から海外拠点経営の成長発展課題を解決する方策の一つとして重点的に取り組んでいきたいと考えています。

本年もよろしくお願いします。