このページはJavaScriptを使用しています。
ご使用中のブラウザはJavaScriptが無効になっているか、JavaScriptに対応していません。
サイトを正しく表示、ご利用いただくには、
JavaScriptを有効にするか、JavaScriptが使用可能なブラウザでアクセスして下さい。

海外展開はいつ踏み切るの?「今でしょ!」

中小企業全体の中で海外展開している企業はいったいどれくらいいるのでしょうか。2002年以降、着実に中小企業の製造業で直接輸出を行っている企業数及び中小製造業全体に占める割合は増加基調にあります。また海外に子会社を持つ中小企業数も増加しています。

しかしまだまだ少数なのです。実態は日本市場での国内取引がほとんどで、また日本のみで雇用したり調達したりしているのです。今後日本経済は少子高齢化による衝撃をまともに受けるのは確実です。国内に留まっていては市場も経営資源も取り合いになって成長が見込めなくなってしまいます。

2016年度の中小企業白書の統計によれば、2013年時点で中小企業の製造業で海外に輸出している企業は6397社で、これは全体のわずか3.5%に過ぎません。つまり96.5%の製造業の中小企業は販売先は全て国内ということです。また、海外に子会社を展開している全産業の企業数は2014年時点で8764社、うち大企業が2418社です。中小企業だけでは6346社となり、総中小企業数371万社のうち、わずか0.17%しか海外拠点を持っていないのです。

国内市場の縮小で海外に活路を見出す

まだ日本の国内消費経済の規模が大きく、少なくとも今日においては景気は好循環の真っただ中にあり、むしろ労働力不足や後継者確保など人的資源の不足問題が深刻です。しかし、早晩、おそらくオリンピック前後から日本国内の需要は急速に停滞していく可能性が高いのです。これは海外経済の景気動向というよりも、日本自身の人口問題による労働力縮小と需要減少がメガトン級の衝撃となって経済をどん底に突き落とすのです。一刻も早く海外で戦える経営体質に転換し、戦う土俵を海外にシフトしていかなければ日本に未来はないと言っても良いくらいです。

まだまだ海外展開どころか輸出すらしていない企業が大半を占めている現状ですが、徐々に海外市場を開拓していく必要性を感じている企業は増えています。しかし海外展開に踏み切らない企業が依然として多いのは何故でしょうか。

輸出における課題としては、現地パートナーや販路をどうやって見つけたら良いかわからない、為替変動のリスクがある、現地の法制度や商習慣が違うので対応が難しい、価格競争力の維持向上のハードルが高いなどがあります。きっちり情報を提供して頼れる支援アドバイザーがいればそう難しいことではないのですが、未知の市場や顧客開発にはリスクが大きいため、やらない理由は山ほどあるのです。

また海外展開投資を行わない理由としては、海外での事業に関する知識や情報、ノウハウがない、海外展開に対応できる人材を確保できない、現地パートナーや販路を確保できないということが上位にきます。

輸出にしても海外展開投資にしても、課題解決の方法はいくらでもあります。要はやる気の問題なのです。やったことがないことに挑戦する自信がない、面倒くさい、失敗したくない・・・これでは世界で戦うのは無理です。情報などその気になればいくらでも入手できます。リスクを軽減する方法はあります。自分が知っている範囲で事業をやって適当に儲かれば良いと考えている限りは成長発展はありません。

しかし少子高齢化の問題は、そういったぬるま湯で事業を継続していくことすら許されない事態が迫っているのです。とにかく商品を買ってくれる人が急減するのです、働いてくれる人がいなくなるのです。市場と人の確保は企業の生命線です。それがどうにもならなくなってくるのです。もうその兆候が日々深刻化しています。伸びる市場と労働力を確保するには、国外に出るしか方法はありません。いつまで日本のみで事業を続けていけるのでしょうか。

今、景気動向が好調なうちに、早く海外展開の手を打つべきです。「いつやるの?今でしょ!!」 オリンピックが終わってからでは遅すぎます。輸出にしても海外展開投資にしても、情報入手から計画策定、そして人の確保まで準備に時間がかかります。国内市場に変調をきたすときまでに海外で事業基盤ができているように進めることが絶対条件です。

国の補助金政策では海外で戦えない

日本企業が海外に出ていかず日本で事業を今後もやっていけると考えているところが多いのは何故でしょうか?国の補助金政策に問題があると考えています。今、政府は中小企業支援の名のもとに、ありとあらゆる税制優遇や補助金漬けの政策を展開しています。農業も一緒です。設備を導入するのも補助金、海外展開の調査するにも補助金、IoT対応のための投資に補助金、人材研修に補助金、給与上げる企業には税制優遇、事業承継も同様・・・。このような補助金漬けの政策が海外で競争して戦える強い体質を持った企業を生むのに役立つのでしょうか。結局、税金を企業の利益補填に使われてしまっているのが現在の補助金制度です。

グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルといった世界のパラダイムを大きく変える企業が生まれてきたアメリカは、果たして彼らに補助金を与えて育てたのでしょうか? 日本の省庁がありとあらゆる補助金で予算をつけ続けることで、日本の中小企業からこのような世界的企業は生まれるのでしょうか。旧態依然とした税制の優遇措置と補助金が支援事業であると信じて疑わない日本政府と、それに甘えている企業体質そのものがグローバル競争から脱落していく原因となっていると思うのです。