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グローバル人材の確保と育成・・・目から鱗の海外人材

少子高齢化の影響が急加速している今、次世代に企業経営をつないでいくには、労働力確保と市場確保の両面において海外展開に踏み切ることが鍵であることを強調してきました。先回のブログでは、海外展開を成長発展の起爆剤とするにはグローバル人材の育成確保が重要であるが、そのグローバル人材の要件として、今まで多くの人にとっての常識を覆す二つの説をお伝えしました。それは①グローバル人材に求められるのは語学に長けた人ではない、②「仕事ができる人」は海外経営責任者として必ずしも適任とはいえない、の2点です。その理由と、今後企業が生き残りをかけて海外展開を推進していくうえでグローバル人材をどう確保、育成するべきかについて述べたいと思います。

グローバル人材に求められるのは語学に長けた人ではない

批判を受けるかも知れませんが、私が海外勤務していたとき、多くの日本企業の駐在員との接触がありました。なかには素晴らしい経営者もおられました。しかし、目立った日本人駐在員の資質として、

①わりと国際感覚がない人が多い

②わりと経営経験がない人が多い

③わりと英語ができない人が多い

私は現役時代に合計13年間、アメリカ、欧州、アジアと3地域で海外駐在の経験があります。地域間で若干海外駐在員の資質に違いがあり、やはり欧米では英語力に秀でた人が多かった印象はありますが、そもそも英語ができないと生活がままならない地域ではあります。その欧米に限らずアジアでもこの3つの資質欠落は目立っていました。私がいたグローバル大企業でも、徹底した研修体系と機会を提供していた割には、3つの資質全てを備えた人材は稀有でした。いわんや中小、中堅規模の企業で、きっちりとグローバル人材育成の仕組みを持っているところは非常に珍しく、その結果として、これらの資質に欠ける人材が多く海外駐在している現状があります。何か現在海外で頑張っておられる人から怒られそうですが、自信をもってこれら3つの資質すべてに長けているという人がいれば是非お目にかかりたいものです。

この3つの資質で一番大事なのはどれでしょうか?多くの企業は③の語学力というのではないでしょうか。語学力は英検資格の級であったり、TOEICの点数などで比較的数字で把握しやすく、研修もいわゆる知識付与型で体系化しやすいのです。グローバル人材を増やしたいとか、グローバルな職場風土を作るために社内用語を英語で統一するため、幹部職登用にTOEIC600点以上を条件するような企業があります。私は愚策と思います。外国語はあくまで仕事やコミュニケーション上のツールに過ぎません。モノづくりでいえば使いやすい工具と同じことです。どんなに高品質で高い工具を持っていても、それを使うスキルや実践力がなければ語学は宝の持ち腐れです。

グローバル経営に重要なのは、語学よりも経営スキルの方です。経営知識と実践経験、そして異文化コミュニケーション力の方が遥かに大事なのです。グローバル人材育成研修には、語学などの知識付与型ではなく、経営スキルなどの資質開発型が求められることがより重要です。

しかし、英語はしゃべれなくても良いのでしょうか。そんなことはありません。言葉はあくまで経営スキルの前提であって、話せて当たり前の世界です。英語ができないことを「得意、不得意」の視点で話す人がいますが、少なくとも経営責任者としてコミュニケーションの基本ツールである英語を話せないのは、自らの努力不足を語っているに過ぎません。グローバル人材に求められるのは語学に長けた人ではなく、むしろ語学を使って経営を実践できる人材ということになります。そもそも語学ができないと公言している人は経営者としての資格がないともいえるのです。

また英語が公用語でない中国やベトナム、タイ、インドネシア、ミャンマーなどで、難しい現地語を話せるべきかということはどうでしょうか。難しい言葉だから通訳をつければ良いというわけにはいきません。経営責任者であるならば、家庭教師をつけて片言でも話せるよう努力することが求められます。何故なら経営実践の第一歩である異文化コミュニケーションの基本となるからです。

「仕事ができる人」は海外経営責任者として必ずしも適任とはいえない

中小企業に限らず、大企業においても海外駐在員の選抜にあたっては、過去の日本での経験と実績に基づいて考えるため、グローバル社員の育成確保について、案外きっちりとした制度をもっているところが少ないのです。いわゆる「仕事ができる人」を基準に選んでしまうのが普通です。でも、それは本当に正しい選択なのでしょうか。結果的に海外事業において中途半端な能力とマインドで海外に赴任させてしまうため、海外経営がうまくいかなくなっている企業が非常に多いのです。

その「仕事ができる人」は一般的に責任者としてふさわしくないケースが散見されるのはなぜでしょうか。「仕事ができる社員」は全て自分で仕事を完遂してしまう高い能力を備えています。そのため、全員とはいえませんが周囲があまりよくみえてない傾向があり、その結果、相対的に人を育てるマインドが低い人が多いのです。

いわゆる「仕事ができる人」は有能であり、海外経営には組織づくりや機動的に課題を解決するために不可欠な人材です。ところが、この人材を現地会社のトップに据えるとうまくいかない場合が多いのです。超優秀な営業マンを海外販社の経営責任者として赴任させたケースで、現地社員が育って現地化を実現したところはあまりお目にかかったことがありません。 海外経営責任者として求められる資質は次の3点です。

1.専門知識が豊富なベテラン社員よりも、視野が広く論理的思考をもつ社員

海外会社に出向する人材を選抜する際には、どうしても「経験」と国内事業での「実績」を重視して選んでしまいがちです。重要な点は、仕事ができることよりも経営思考力です。いくら専門知識が豊富でも組織を動かす力とは別物です。経営のかじ取りを任せるには、視野が広いことと論理的思考力を備えた人を登用することです。外部環境の変化を感じ取り、本社と現地をつなぐ柔軟な感性や行動力の面から力を発揮できます。

2.現地社員をやる気にさせ育てることに能力を発揮する社員

モノを作る前に人をつくる。現地社員が育つことが現地会社の成長発展につながります。能力開発のために研修体系を作り上げていくことも重要ですが、社員のモチベーションを高めることがより効果的です。そのためには、社員が働きやすい環境や風通しのよい職場風土づくりに行動力がある社員が求められます。

3.問題発生時に自ら先頭に立って逃げない社員

現地社員から信頼されない責任者は完全に失格です。彼らが一番日本人出向責任者を見ている点が組織を引っ張るリーダーシップ、すなわち「人間力」になります。仕事ができるかどうかはほとんど見ていません。このボスは信頼できるか、困難に立ち向かう胆力があるか、そして自分たちのことを考えてくれているか、を見ているのです。

これらグローバル人材の要件を踏まえ、どのような人材育成の取組みが必要なのでしょうか。今までの語学研修やセミナーなどのような「知識付与型」研修ではなく、「資質開発型」の経営スキル実践研修が求められます。ところが、これを実施できる教育訓練機関はあまりないのではと思っています。なぜなら「資質開発型の経営スキル実践研修」を企画運営し研修指導するには、経営戦略から人事、マーケティング、財務会計、リスクマネジメント、環境、CSR、法務、渉外まで一気通貫のマルチスキルを持ち、経営ストーリーで次世代人材を育てる能力とリーダーシップ力を持った指導人材が必要です。それぞれの専門家をかき集めてくるだけでは「知識付与レベル」の研修に留まってしまいます。

海外で経営経験があって、これだけのマルチスキルをもち、かつ語学能力があって異文化コミュニケーションをマネージでき、研修を企画実施できる人材は貴重です!どこにいるのでしょうか・・・・。

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