このページはJavaScriptを使用しています。
ご使用中のブラウザはJavaScriptが無効になっているか、JavaScriptに対応していません。
サイトを正しく表示、ご利用いただくには、
JavaScriptを有効にするか、JavaScriptが使用可能なブラウザでアクセスして下さい。

日本経済の致命傷になる遅すぎる日本企業の海外展開

この2年間は明けても暮れてもずっとコロナに振り回されていて、企業活動も海外出張すらほとんど不可能な状態なため、事実上鎖国状態になってしまっています。

外国人の入国者は95%以上も減少してインバウンド需要はほぼ消滅しているといっても過言ではありません。海外輸出市場を開拓しようにもそもそも海外出張ができず、海外在住の日本人も帰国後は強制隔離であるため、活動全般を大きく停滞せざるを得ない状況が続いていました。

コロナの影響が最も深刻に直撃した飲食業や観光業では、人流を抑える目的でずっと営業自粛を求め、協力金、支援金で何とか生き延びる政策が続けられてきました。またコロナの影響だけでなく、国際政治環境の激変によって、サプライチェーンの問題が顕著となり、日本に生産拠点回帰志向が強まってきました。さらに、少子化の加速によって事業承継問題がより深刻化しています。

まさに日本経済を支えてきた日本企業は生き残りのために、この2年で企業活動の視点が極端な内向き志向となってきたことを実感として感じます。

事実、コロナの影響を受けた中小企業が思い切った事業再構築の挑戦を支援する「事業再構築補助金」においても、ほとんどが日本国内で新分野展開や事業転換です。この補助金の建付けでは、海外展開支援の補助金としては相当難しいことは確かです。実際、今まで4回の公募でそれぞれ2万件近くが申請されて、各回で8千件ほどが採択されていますが、そのうち主にグローバル展開要件を満たす「グローバルV字回復枠」を設定しているにもかかわらず、応募も採択もまったくないのです。つまり国の補助金制度としても企業のマインドとしても、グローバル展開は口だけと感じます。

一方、コロナ以前でしかも日本企業がまだモノづくり競争力があった時期には、日本の製造業は、大手も中小企業もグローバル市場を視野に、製開販の海外展開による成長戦略を推進していました。ところが2015年ぐらいを境にモノづくりの海外展開は急速に競争力を低下させてきたように思えます。その頃から海外展開は小売・サービスにシフトし始め、海外投資規模がどんどん小粒となり、競争力あるビジネスモデルを確立できなくなってきました。

そしてコロナの影響によって、海外を目指す余裕がなくなり、資本力も人材力も技術開発力も世界で戦えなくなり、企業は日本国内の消費市場で生き残るすべしか持てなくなってしまいました。

日本の賃金が全く上がらないのはデフレのせいという分析に自己満足し、日本市場のみで相撲をとっている企業にとっては、自分たちが生み出す労働価値を含む付加価値がいかに相対的に低下しているかに気づかず、いつの間にか「ゆでガエル」になってしまっているのです。

今こそ海外で競争できるビジネスモデルを

GDPに占める国内消費の比率が大きいだけに、グローバル市場で戦えない劣化した経営資源を抱えてしまった日本経済の病巣を根幹治療するには、国、企業経営者、従業員全てのマインド革新しかないと思っています。そのためにも今一度海外展開で成長し、利益を拡大するビジネスモデルを確立する必要があります。

ここで一番大事な点があります。日本人による日本企業の海外経営では競争力あるビジネスモデルにはならないということです。経営資源はあらゆる点でグローバル最適化が必須条件です。「グローバル最適ネットワーク経営」こそが日本企業が生き残る処方箋であるように思っています。もう一度自社の強みをグローバル市場で活かすために、どこで商品を開発し、どこで製造し、誰にどのように販売するかを再度問い直すことが出発点となります。

日本人が考えた商品を日本の工場で、日本人が製造し、日本人が海外に輸出し、日本人の商社や代理店に売ってもらう・・・こんなビジネスで勝てるわけがないと考えるべきなのです。

ベトナムの技術人材をグローバル企業が根こそぎ確保

コロナと世界経営環境の激変で、日本企業は海外から国内回帰し、事業承継が進まずにどんどん縮小廃業する企業が増加する中で、他国は戦略的に経営資源のグローバル再編をどんどん進めています。

2000年までは日本企業は安価な労働力を求めて、中国や東南アジア等へ海外生産展開を進めていました。また21世紀に入って少子化加速による国内労働力の不足を補うために、技能実習生制度という歪な仕組みで、国内生産を支えるためだけの安価な労働力を活用してきました。ところが、この制度は日本の賃金が相対的に高いことが前提となっています。今や中国では、技能実習生として日本で貰える給料よりも、中国国内の方が賃金が高くなって応募も少なくなってしまっていますし、現在の実習生の中心となっているベトナムも、早晩日本に出稼ぎに来る意味もどんどん薄れてくるでしょう。

日本企業から見れば、ベトナムといえば安価な人件費で確保できる単純労働力というイメージが強いと思います。ところがコロナを機に他国のグローバル企業は、中国の経営リスクを最小化した経営資源の国としてベトナムを注目し、一気にベトナム展開が加速していることにほとんど気づいていないのです。

以前からベトナムはIT分野でも潜在的成長性に着目され、IT開発のオフショア開発拠点として、日本のIT企業もソフト開発体制をベトナムで確保してきていました。ところが、日本企業がコロナで日本国内に引きこもっている間に、急速に他国のベトナムでのIT投資が進み、IT人材も根こそぎ奪われている現実を直視すべきなのです。

ベトナムでの外資企業による研究開発投資やDXを背景に技術系人材の需要が高まり、人材不足や獲得競争が顕著になってきています。しかしその獲得競争の主役は日本ではありません。

例えばドイツのボッシュ系のソフトウェア開発子会社は、ハノイに拠点を解説すると発表し、2025年までに技術者の数を現在の3000人から倍以上の6000人にする方針であり、韓国のサムスン電子も2億2000万ドルを投資してハノイにR&Dセンターを建設中で、今月2400人を集めて技術者や大卒者を集めて採用試験を行ったとニュースになっています。またインテルやアップルの請負生産を行っている中国系企業も事業拡大を予定しており、一方外資系だけではなく、ベトナム国内企業も技術系人材の採用拡大を図り、技術者の人材不足が顕著になっています。

ところがそういったニュースに日本企業の動きが見えないのです。海外で何が起きているのか、今までのようなモノづくりビジネスモデルでやっていけるのか、今一度国と企業が一体となって、グローバルに戦える産業育成を立て直すことが喫緊の課題であると強く感じます。

総まるドメ事業では、日本経済の致命傷になりかねません。

海外で勝つビジネスモデルを構築し実践できる人材育成と確保を!