2019年はメディア革命の節目として語り継がれるだろう
2019年はオールドメディアがインターネットに敗れ去ったメディア革命の年として語り継がれるでしょう。今世紀に入ってインターネット普及が加速し、私たちのライフスタイルが日進月歩で変わっていく環境の変化を肌に感じることが多いのですが、昨今ではYouTubeやTwitterなど動画情報を個人が発信するプラットフォームが発達し、その動画への広告収入によって生計を賄うユーチューバーが脚光を浴びています。再生回数に応じて広告収入が伸びるため、モノにもよりますが、年収で数千万から億単位を稼ぐ人も出てきています。
SNSを使った広告効果はいわゆるメディア媒体による宣伝より、ピンポイントでターゲットに届くとともに効果を細かく測定できる特徴を持っているため、広告を出稿する企業や個人は、どんどんインターネット宣伝にシフトしています。新聞や雑誌の凋落は随分以前から叫ばれていたのは、その効果もさることながら、今の自らが引き起こした信頼感の低下とともに購読者離れが加速し、それが広告媒体としての魅力をさらに低下させることになり、今や先が見えてきた完全な斜陽業界です。しかも、その時代の変化や求められる役割に真摯に向かい合い、自ら反省する姿勢を持たず、ネットは信頼ができないとか、文化を担い手だと無理やり軽減税率をごり押ししたねじ曲がった自尊心が、ますます購読者から見放されたといえないでしょうか。
一方、テレビは長年メディアの王者として、そのビジュアル情報をリアルタイムに届けられる魅力に胡坐をかいてきました。認可事業でありながら、新規参入には徹底的に抵抗し、競争にさらされない事業環境を享受できていたのです。国民の資産である電波をタダ同然で、独占的に利用して巨額のスポンサー広告による利益を貪ってきたのです。その姿勢により、最近のテレビ番組の質の低下や偏向ぶりに、これも多くの視聴者離れを起こしています。視聴者数が低下することで、広告の費用対効果が駄々下がりの傾向が顕著になってきました。タダでさえ高額なテレビコマーシャルの宣伝費の効果を考えるときに、求める顧客にどこまで到達できるかというのは広告を出稿する側としては非常に気にするところです。しかし、いわゆるオールドメディアは顧客である広告の出稿者の要望に的確に答える姿勢がありませんでした。新聞などは発行部数を不正にかさ上げする「押紙」が3割以上もあることが言われており、まさしく詐欺行為をやっているといっても過言ではありません。発行部数を基準に設定された広告費が、実際には3割以上も消費者に届いていない部数を含めて計算されているのが事実であれば、本来は賠償責任があるはずです。テレビについては視聴率が逐次出てきますので、どのくらいの人にコマーシャルが見られたかというおおよその数字はわかります。しかし、企業にとって本当に買ってほしいターゲット顧客に届くかどうかは、ネット広告には完敗です。
今までオールドメディアの広告利権は、テレビ、新聞、雑誌、ラジオといった四大メディアに携わっている人だけでなく、広告代理店が業界を仕切って、新規参入を防いできたと思います。しかし、インターネットによる広告宣伝の業界図は根底から地殻変動を起こしました。企業側はインターネット広告に比重を移します。ピンポイントでターゲット顧客層が使っているSNSに広告を打つことができ、多くのチャネル登録を達成しているYouTuberの動画に最大効果の広告を出せます。今までは、放送業界や新聞、出版業界のプロしか情報を発信する立場にはいなかったため、広告収入も代理店とともに山分けができていました。しかし、SNSでは個人が直接情報発信し、その情報に広告がついて収入になる世界が急速に広がっているのです。つまりオールドメディアは、個人が発信するインターネット情報に敗れ、貪っていた利権を日々無くしているのです。テレビで重宝されていたアーティストや芸能人も、今やどんどん個人でユーチューバーとして情報発信を始めています。根本からメディアの在り方とともに、情報発信に携わる人々の関わりも変わってきています。今まではテレビ番組の取材ビデオの編集もプロのスキルや機材が必要でした。しかし、今の撮影機材はスマホでも十分なレベルが保証され、画像編集もプロでなくても、少しソフトになれると比較的簡単にできて、少ないコストと人数でプロ以上の動画を発信することが可能となってきたメディア環境の革命を目の当たりにしたのが2019年ではなかったかと思います。
冒頭のグラフは媒体別の広告宣伝費の推移です。明らかにインターネット広告が急伸しているのがわかりますが、このデータは2018までのもので、おそらく2019年の最終データが公表されたとき、始めてインターネットがテレビの広告宣伝費を追い抜いたことが明らかになると予想しています。グラフではわかりにくいですが、もう一つセンセーショナルな変化としては、テレビの広告宣伝費のピークは2016年で、その後減少に転じていることです。つまりオールドメディアである四大メディア媒体全てがインターネット広告に敗れ去ったということが鮮明になったのです。今後この状況はますます強まり、オールドメディアにおける新聞の見るの無残な姿が顕著になっていくでしょう。
新聞の衰退が加速してる・・・余命は残りわずか
新聞の部数減少が止まりません。私が社会人になったころの通勤電車では、混雑の中を必死になって新聞を折りたたんで懸命に目を通していたのを思い出します。今やそんな人はほとんどいません。大部分はスマホでゲームをしているか情報を検索しています。たまに新聞を読んでいる人を見かけることもありますが、だいたいが年配者で朝日新聞というパターンで、逆にちょっと変な人と回りからみられているのです。その朝日新聞を典型的な例として、強烈な勢いで発行部数を減らしています。一時は1000万部を誇っていた朝日新聞は、2019年では558万と直近では2018年から連続で毎年5.3%を減らしています。押紙を差し引いた実質の販売部数としては既に400万を割り込んでいるという分析もあります。むしろ増えている新聞社は皆無で、スポーツ新聞などは風前の灯です。一方全国紙の一角を占める毎日新聞にいたっては年に8.2%も減らして今や250万部、足元には日経の234万部が迫っています。おそらく2021年か2022年までには毎日新聞は再び経営危機を迎え、その時点で日経新聞に第三位の座を譲ることはほぼ間違いないと思います。
何せ地方紙も含めた日本の新聞全体で1年で210万部も部数を減らしているのです。さて、新聞が生き残れる道はあるのでしょうか? 唯一あるとすれば、もっと購読者の声に真摯に向かうこと以外にはありません。今では新聞に対する信頼度は地に落ちています。なぜ若者の多くは新聞を読まなくなったのかという理由はわかっていますか。なぜテレビを見なくなったのかどう理解していますか。購読者や視聴者が求めているメディアのあるべき姿とはいったい何だと思われるでしょうか。メディアに期待することは、事実を正確に報道すること以外にありません。わかりやすく解説することは求められると思いますが、ほとんどの人はマスコミの高慢ちきなご高説を垂れたイデオロギーを聞きたいとは思いません。嘘を流して一方の思想だけに凝り固まったプロパガンダ報道を続ける限り、メディアの余命はあとわずかといえるのではないかと思っています。
テレビも足元に火がついてきている現状を正しく認識し、一刻も早く新聞社の資本系列から独立し、ネットよりも魅力ある番組づくりや報道のリソースを確保していくが必要だと思います。NHKはネットの同時配信を実現することで、ネット媒体を主体にした番組提供に舵を切ろうとしていますが、ネットユーザーから受信料を取りたいというスケベ根性が見え隠れし、放送というオワコンインフラではもはや生き残るすべがないオールドメディアの悲鳴が聞こえてきます。