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変革が加速する時代にはマネージャーよりもリーダー養成を

先回のブログで変化が加速するAIインターネット革命時代を生き残るにはというテーマで、大きな7つの潮流について述べました。結局、この激しく変化する我々を取り巻く環境での鍵になるのは人材に行きつきます。

今までの企業にとっての環境の変化は、最近のトレンドと比較するとそう激しいものではなかったと思います。AIインターネット革命だけが大きな変化ではありません。根本的に今後の企業の存在そのものを揺さぶる環境の変化としては次の3つの大きな項目とそれぞれのトレンド項目が挙げられると分析しています。

1.少子化、人口減少時代による成長鈍化

  【少子化による事業継続危機】【労働力人口の急減による市場の縮小・低成長】【働き方改革

2.AIインターネット革命の加速

  【CASE】【フィンテック】【放送通信345】【家電ネット化】【シェアリング」【流通物流無人化】【モノづくりIoT】

3.グローバル経済リスクの極大化

  【A アメリカファースト】【B ブレグジット】【C チャイナリスク】

マネージャー人材では変革を乗り切れない

今までのように右肩上がりで経済が拡大発展し、テクノロジー革新のスピードや市場の変化がそう大きくない段階にあって、企業経営の主要課題はどう組織力を管理強化するか、つまりマネジメント人材の育成を通じ、強固な組織づくりとトップマネジメントのパワー、スキルで乗り切ることができていました。

今の企業の経営幹部層はマネジメント能力で評価、登用されてきた人材ばかりです。人材育成研修プログラムもマネジメントに関する研修が主体であったと思います。しかし、こういった古い考え方で育てられ登用されてきた人材では、組織を引っ張って今の急激な変化には立ち向かえるような能力は備わっていないのが一般的です。

我々を取り巻く環境は完全に変わったのです。今までの古い組織体質、管理するしか能力がない人材が上に居座っている組織では早晩つぶれていく危機感をどこまで感じておられるのでしょうか。上述で列挙した3項目の時代の変化をよく見ればわかりますが、これらの個々の項目全て、ここ2,3年で表面化したきたこと、またこれから激しく変化することばかりです。これらは根底から企業経営の持続性を揺さぶるにもかかわらず、果たして5年前に全てこの変化は見えていたでしょうか? 2014年には全て世の中これらの項目がどう動くか予測していたという経営者はほとんど皆無でしょう。どんなカリスマ経営者でも、読めていた人はまずいないはずです。少子化などは10年以上前から人口統計上こうなるのはわかっていたはずですが、どの経営に影響を及ぼし、どう対応していくべきか、十分準備できているという企業経営者を見たことがありません。

しかし、AIインターネット革命の各項目は、いきなりこの2,3年で発明された技術ではありません。この技術トレンドの最先端でテクノロジーについて精通し、この変革の姿を読んでいた人はここの分野でいるのです。今や日本は完全出遅れ感があるドローンについても、5年前ぐらいに応用範囲と製品開発が進められていたとき、日本でも10年前からコツコツとドローンの開発で先端を走っていた人もいたのです。

企業が変わるにはリーダー人材を育成し活躍できる場をつくること

技術革新の加速、グローバル経済の複雑化、国際関係のリスク拡大などに対応していくには、企業は今までと同じことをやっていては、まさしく座して死を待つだけです。マネージャーに代表される幹部職は、管理には長けた能力を備えていても、変化させるにはリーダー人材が欠かせません。会社経営は組織管理からビジョン発信と組織全体を引っ張る変革経営にシフトしないと、激しい変化を乗り切ることができなくなります。

マネジメント能力というのはある一定の経験を重ね、スキルを学習していけば成熟域に達します。そうなると実務遂行能力よりも管理能力だけで高給取りになるのです。管理の仕事しかしない高給取りに組織を変革させる力はありません。今後市場と競争がグローバルに大きく変化していく時代に入り、企業は常にその市場環境の変化に合わせて、柔軟に学習して対応し変化していくカメレオン型経営でどんどん姿を変えていかないと、最早生きていく領域は残されていなくなります。特に大企業ほど危ないのです。

ところが、リーダー人材の育成については、そのノウハウが十分に確立できていないだけでなく、古いマネジメント教育を受けて居座っているマネージャーが、リーダー人材をつぶしてしまう状況は多くの企業でみられます。

リーダー人材とは、時代の変化に合わせて組織のあるべき姿を描き、組織を誕生させ、組織を変化している環境に適応させていく様々なプロセスを身につけている実行力ある人材です。もっとも求められるスキルは、変革ビジョンの創出力と周囲を鼓舞するコミュニケーション力の二つです。どう考えても今の幹部人材でこのスキルを持っている人は極めてまれであると思います。現在の幹部マネージャー層の資質としては、自社の業績と競争力を過大評価し、事業環境の変化を過少評価で問題点には管理で乗り切ろうとします。外部の助言には耳をかさず、下からのリーダー人材の台頭を押しつぶしてしまう傾向があります。かようにマネジメント過剰でリーダーシップ能力が欠如した企業は、一般的に変革を妨害する企業文化があり、変革を推進する能力もマインドもない経営陣が会社の方向性を見失わせがちです。その結果、変化が激しい時代に取り残され衰退する運命が待ち構えていることに残念ながら気づいていない企業が多いのが残念です。

私も現役時代、会社の人事改革で部課組織からグループ、チーム制に変革されたとき、課長という役職からチームリーダーに変わりました。しかし、当時は組織管理体としての部課制と変化を引っ張るリーダー制の違いについて深く考えることもなく、単に役職名と部門名が変わったぐらいにしか受け止めていなかったように思います。管理する部課長と変革ビジョンをつくり実現させるリーダーでは、全く求められている職責もスキルも違っていることには気づいていませんでした。

リーダーは、競争に挑む強い意思と、常に変化対応できるスキルを継続的に獲得する生涯学習の意欲と実行力、そして周囲を動かせる人間性とコミュニケーション力に卓越した能力を備えないと受けるべきではありません。そういった人材こそがこれからの変化の時代に企業を生き残らせるための最大の経営資産であるとの認識が必要であり、体系的に育成し、早く管理しかできない幹部人材と入れ替えることが求められると思うのです。