グローバル経営感覚の優劣が問われる
HUAWEIに対するGOOGLEの取引打ち切り、そしてパナソニック他、多くの企業が取引停止に動いています。一連の米中貿易戦争・・・この衝撃はグローバル経済を根底から揺さぶります。アメリカの保護貿易主義の加速で、TPP交渉からの脱退、NAFTAの見直し、そして中国に対する報復関税と世界経済へ大きな影響が避けられません。しかも、中国のほぼ全製品に対する25%の関税が実施されるインパクトは、単に中国製品の輸入価格が25%引きあがるといった単純なものでは収まらないのです。グローバルなサプライチェーンを根本的に見直さざるを得ません。
現時点では中国が圧倒的に不利な状況ですが、中国はメンツをつぶされた以上、そう簡単に白旗を上げることはありません。習近平による中国の壮大なる夢を達成するまでは引き下がれないのです。しかしその中国にとっての夢は、同時に世界にとっては最悪のシナリオでもあります。市場原理も自由経済も認めない力による国家資本主義が世界のルールを牛耳るようになると、世界経済どころか世界中が大混乱に向かって進んでいくのではないかと懸念します。
一方、中国だけでなくイギリスのEU離脱問題も混沌としてきています。メイ首相の辞任も発表され、欧州の混乱の先行きがどうなるか不透明感が広がっています。欧州経済がどうなるのか、これは日本企業のグローバル経済活動に直結する問題です。
安全保障とは何も防衛だけのことではありません。経済の基盤を確固たるものとして保障していくためにも、国家間の争いや経済関係には常に感受性を研ぎ澄ましておく必要があります。世界情勢の急激な変化に対して政治も経済も立ちすくみ、いつまでも鎖国主義的な時代遅れの憲法の改正議論すら許さず、後生大事に守り続けることが立憲主義であると主張し、それが国民にとっての幸福だと主張して憚らない政党やマスコミに対してはどうしても反感を覚えてしまうのです。
悪意を持って人の物を盗んだり、威張り散らしたり、嘘つきで何でも人のせいにする近隣住民が、毎日人の庭に入ってきたり、何でもかんでも全てお前が悪いから謝れと、悪口を言いふらして回っていたとします。それでも「相手が怒るのは自分にも非があるからだ、話合えば心はいつか通じ合える。過剰に防御するのは相手に喧嘩を吹っかけると思われる。そもそも私たちには喧嘩しないという家訓がある。この家訓さえ守れば誰も傷つけないから、街中の平和は保たれるはず!家訓を見直すなんてとんでもない」・・・私はこのようなことを言う家族がいること自体信じられないのです。普通はもし自分の家族が他人によって傷つけれられても、親として何もしなかったら家族は崩壊します。自分の身がどうなろうとも家族を守りますよね!? 外と喧嘩するぐらいなら家族はどうなっても構わないと考える人を私は軽蔑します。
国際政治・経済状況の変化に感度を上げよ
「何がどうなっていくからわからないから動くのは今じゃない。もう少し様子を見てみよう・・」このような経営者や管理職が大半となっている企業の運命は危ないと思います。国内の事業や取引先との付き合いだけ見ている限り、企業の経営環境がどう変化していくかはわかりません。常に企業を取り巻く環境がどう経営に影響を及ぼすか常に感度を上げて感じ取るかの経営者としての優劣が問われるところです。しかし、問題や影響がいくらわかっていても、何も行動に結びつけなければ何もわかっていないことと同じです。経営者にとってやはり大事なのは「DO!」なのです。分析が不十分でその行動が正しくないこともあるでしょう、でもまず行動を起こさなければそれが正しいかどうかの判断すらつかないものです。つまり、経営の鉄則であるPDCAを高速回転させることが最も大事ということです。PDCAを年一回しか回さない経営者よりも、毎日PDCAを回す経営者の方がより成功に到達するのは間違いないところです。
グローバル経営感覚の優劣は、頭の中だけのものでは意味がありません。行動によってのみ立証されるのです。