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ベトナム女性の逞しさ

今年2回目のベトナム出張でハノイにいます。週末からホーチミンに移動します。来るたびに大きく変化している街並みや暮らしぶりに驚くことが多くなりました。こちらに住んでいたときには、そんなに変化を実感していたわけではなかったのですが、ベトナムから帰国して既に5年が過ぎ、暮らしていた期間よりも長くなったことを考えますと、その変化はむしろ当然のような気がします。

それでも変わらないところはまだ多くあります。いいところもあれば、相変わらずだなということもあります。街並みは変わろうとも、全然変わらないところと言えば「子供と女性」の姿です。子供のきらきらとした目の輝きを見るたびに、この国の将来は必ず成長するのは間違いないと確信を持ちましたし、女性のしたたかさと芯の強さは以前にも増しているように思います。ベトナムを支えているのはまぎれもなく女性です。一方で、長男優先の構造的な男系社会は続いていますので、普通男どもは偉そうにしている人が多いです。政府機関や企業の多くも男性が牛耳っています。でも、能力的にも生きる力という点でも、どう見ても女性の方が遥かに優秀です。まあ日本もある面似ているかも知れませんが、とりわけベトナムの女性の強さというのは別格です。実際、企業においても管理部門の業務担当や責任者のほとんどが女性ですし、男性社員も一部はいますが、仕事の実績においても能力面でも女性にはかないません。

今、出張で出入りしているベトナムで一流大学の部類に入る外語貿易大学でも、ざっと見た感じで女子学生の比率は7割以上ぐらいです。ベトナムの女性は勉強好きであるとともに、頑張り屋であり、家族第一で必死になって生きています。ベトナムに出張するたびに、天秤棒で行商している女性や市場で店を切り盛りしている女性など、あらゆるところで懸命に働いている女性を目の当たりにします。いったい男性はどこで何をしているのかと思うほどです。だいたいタクシーの運転手とか工事現場などは男性の活躍の場のですが、今回乗ったタクシーで女性の運転手だったのが初めてだったり、最近では町中を走っているバイクタクシーの運転手も女性をときどき見かけます。専業主婦なんていうのにはお目にかかったことがありません。子供ができても出産前日まで働いていた部下もいましたし、産休は6か月取れる法律があるにもかかわらず、すぐに出産後一か月ぐらいで働きに戻ってくる女性もいます。

なぜベトナムの女性はこれほど働き、したたかに生きているのでしょうか。それは元々ベトナムという国が戦争に巻き込まれてきたことと無関係ではないように思います。男性には徴兵制があり、国を守るため、家族を守るため、命をかけて戦ってきました。フランスからの独立戦争、ベトナム戦争、中越戦争など大国と戦い続け、決して負けなかった自負がベトナム人に脈々と受け継がれています。一方、女性は家を守る役割というものをDNAとして持っており、それは単に愛する家族のために家の中のことを一生懸命にやるというレベルではありません。自然と家の中だけでなく外、つまり家族を養うために稼ぐことも女性の役割だという意識が深くあるのです。したがって、共働きは当たり前の文化土壌であり、女性は夫と子供を厳しく指導し、家族の食い扶持も家事も全て背負ってしたたかに生きているのです。

それだけに家族には言うに及ばず、恋人に対する思い入れや責任感はことのほか強く、愛情が深いだけに家族や恋人、子供たちの行動を全て掌握しないと気が済まず、嫉妬心が強い女性が多いように思います。タクシーに乗っているときでも、客が乗車中にも関わらず、しょっちゅう旦那の運転手に電話してきている女性の声がスピーカーホンで聞こえてきます。内容的にはくだらないことが多いのですが、旦那の運転手の方も、「今、仕事中だから後で電話する」というようなことは言えないんですね。ベトナムのニュースを見ていても、強盗殺人など凶悪犯罪などが話題になることは比較的少ないように思いますが、ときどき夫婦のいざこざで刃傷沙汰になった、妻が夫を殺したというような事件を目にすることがあります。

ベトナム人にとっては、女性の強さとともに愛情の深さ、日常の行動干渉は当たりまえのことのようですが、ちょっと日本人の私にはついていけないかな・・・でもベトナム人の奥さんをもらっている日本人はその点尊敬しますね。