ベトナム人にとって一番大切な日とは
ベトナム人にとって一番大切は日とはいつでしょうか?
・・・それは何といってもテト(旧正月)でしょう!確かにベトナム人にとってテト休暇は年間のスケジュールの中でも特別なものです。世界で一番祝日の多い日本と比べると、休日の少ないベトナムにおいては、テト休暇は非常に貴重なものです。
いや、家族や恋人の誕生日?それもそうです。最近では外国の影響か日本と同じようにバレンタインデーやハローウィンも結構楽しみにしています。
それより、もっと大切な日があるのです。ところが日本人は非常に鈍感です。そうです。あの日がもうすぐやってくるのです!特に日本企業はこの日をもっと大切に考えなければなりません。日本企業の現地法人にとっても、ベトナム人の実習生や留学生に働いてもらっている日本の企業や店舗にとっても、この日をいかにベトナム人が大切に考えているかを振り返ってもらいたいのです。
それは・・・10月20日の「ベトナム女性の日」です!
ベトナム人は真面目で働き者の人が多いですが、一般に男性よりも女性の方が優秀とよく言われます。女性が強くしっかりとしていて、しっかりと家庭や家族を守ります。よく露天商として天秤棒をもって町で物売りをしているのはだいたい女性が多いということは気づかれている方もいるでしょう。日本の現地企業の従業員構成を見ても、管理部門の大半は女性が占めているのが一般的ですし、女性なしには経営が成り立たないといっても過言ではありません。家庭でもカカア天下で有名です。それこそ家庭内でも外でも、そして社会全体も女性が支えているのです。
ベトナムには「女性の日」が年に2回あります。3月8日の「国際婦人デー」として世界でよく知られる記念日、と10月20日の「ベトナム女性の日」です。これは、1930年10月20日に女性の地位を向上するために、ベトナムで初めて婦人の組合(現在のベトナム婦人連合会)が正式に設立された日を記念日として定めて、女性に感謝の気持ちを表す「ベトナム女性の日」としたのが由来です。そのため、3月8日の「国際婦人デー」より、10月20日の「ベトナム女性の日」の方が女性を尊重し、女性に対して感謝の気持ちを表すより重要な日と認識されていて、ベトナム中でイベントが盛んに行われます。
そのため、この日に、家族や職場など身近な女性に花とかちょっとしたプレゼントを送るのは常識になっています。プレゼントの種類はいろいろありますが定番は花です。この日が近づくと自転車で花を売る露店が次々に現れ町中が華やかになります。
職場でも、女性向けのお祝いイベントをいろいろやります。男性がお金を出し合って、花とプレゼントを買ってあげるほかは、みんなで娯楽イベントを行うか女性向けの特別なサービス、例えば家から会社までの送迎であったり、昼食をご馳走するなどいろいろあります。さらには、会社は女性だけに、プレゼントと小額のボーナスやクーポンをあげることもあります。
そのため、この日は女性社員たちは何も言わなくても、ちょっと綺麗な服を着てうきうきとして出社してきます。
「女性の日」は女性にとって幸せな日となると同時に男性にとっても愛情・感謝の気持ちを伝えられる日として大切な日として定着しています。それはいつも尻にしかれている男性であっても、男性にとっては本当は女性が花のようで、女性がいるからこそ、男性の生活も楽しくなって充実するという男性自身の考えが根底にあります。
日本企業の日本人出向者はもっと敏感に
女性に感謝する「女性の日」はある面ベトナム特有なものであると言えます。しかしそのベトナム人の人生観なり、家族や社会に対するそれぞれの役割を責任を感じ、感謝をするという文化が背景にあり大変尊敬に値するものと思います。海外ではそれぞれの国、地域の文化や風習を尊重にするという姿勢は、その国で事業をさせていただき、生活をさせていただいている外国人にとって非常に大事なことです。
私もベトナム赴任当初は、あまり「女性の日」についての認識が薄かったように思います。しかし徐々にその国の文化を学ぶことの大切さを身をもって感じるようになってきました。「女性の日」はベトナム特有の記念日ですが、女性に感謝する日の意義を理解するようになれば、ベトナム人同士でのイベントとして考えるだけでは不十分なのです。特にベトナムに設立した外国法人である日本企業であるならば、会社自身としてまた日本人出向責任者として、この記念日がベトナム人女性に感謝の意を伝える絶好の機会であることを理解する必要があります。従業員のモチベーションと職場の一体感を醸成するために、また日本人とベトナム人の考え方の違いを乗り越えるためにも重要なのです。
日本企業で働くベトナム人にとって、日本人上司はある意味絶対的存在です。職場は日本企業であることは重々理解していますので、たとえ「女性の日」に男性の日本人上司から何もプレゼントや言葉がなかったとしても、特に失望されることはありません。でも・・心の中では寂しがっていることはわかってあげなければならないところです。
実際、この女性の日に、朝礼のときにでも男性社員一同から、職場の女性社員全員に「日頃の働きに感謝して」花束を贈呈して、お昼ご飯を外に食べにいくだけでも良いと思います。一日中女性社員はニコニコして華やかな職場になること請け合いです。前日の夜に花束を買って、朝一番に職場に持っていくのを見た女性社員は、本当にうれしそうにしてくれます。日本人の上司が自分たちの習慣を大事にわかってくれていて、女性社員に上司自ら形にして感謝してくれるという態度に接しただけで、どれだけモチベーションが高くなることか、是非もう一度この記念日を見直してもらえればと思います。
日本ではどちらかというと誕生日やバレンタインデーなど、個人的もしくは男女間のイベントに近いので、そのときにプレゼントをすると下心があるのではと勘繰られるリスクもありますが、ベトナムのように国を挙げて定着している感謝の日を素直にとらえることも良いのではないでしょうか。
さあ、今週の土曜日の20日がベトナム人(特に女性)にとって一番重要な日です。日本人出向責任者の皆さん、そしてベトナム人を日本で雇用している経営者の皆さん、是非女性に感謝する日として祝ってみられてはどうでしょうか。