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AIのビジネスモデルが既得権益を一気に突き破る

ベトナムに行くたびに新たな驚きに出会います。以前からシェアサービスの一環としてUBERやGRABタクシーといった配車サービスがベトナムでもいち早く導入されてきました。日本では既得権益者であるタクシー業界の圧力のため、一部で試験的に運用された地域がありましたが、基本的には厚い壁に阻まれて一切普及していません。

こういった既得権益が規制緩和を阻み、結果として社会全体の発展やテクノロジー革新を阻害してしまいます。既得権益側が主張するには、そういった無秩序に新規参入を規制緩和で認めてしまうと、社会全体の便益を失することにつながるというのです。でも、それは外部環境の変化に自ら改革することから逃避していることに過ぎません。政治的にもいつまでもお花畑のイデオロギーしか持っていない人にも閉口しますが、産業界においても行政においても、変化を嫌う人があまりにも多いように思います。とりわけ日本人は世界で一番「成功すること」より「失敗しないこと」の方が大事、つまり前例にないことはやりたがらない、チャレンジ精神が極めて低い国民であると比較文化の研究で分析されています。

AIによって社会システムそのものの変革がグローバルに加速しています。中国のようにありとあらゆる個人情報が管理され、国家統制されるような社会は望みたくもありませんが、世の中のビジネスモデル自体が大きく変化していることは直視しなければなりません。いつまでも既得権益にしがみついている業界には未来はないといっても良いでしょう。新聞やTV、マスコミなどは典型的です。そういった業界はあらゆる産業分野に広がっていて、規制に守られている産業ほどグローバルに競争する力は全くないといっても過言ではありません。

GRABタクシーのビジネスと日本のタクシーを比較する

ベトナムに出張したときの移動手段としては、公共交通網は貧弱であるため、普通タクシーを利用します。タクシーも流しをつかまえることもありますし、ホテルで呼んでもらったり、一日借り切るなどいろんな場面で利用します。片言のベトナム語はできますのでまず困ることはありません。

一方、2年ぐらい前から急速に広がってきたUBER、そして今はベトナムでその経営権を買収したGRABタクシーを使ってみようと考えていたのですが、日本では経験がないので躊躇していました。いくらかベトナム語がわかるとは言え、配車コールした途端、ドライバーから待ち合わせ場所について電話がよくかかってくるので、一方的にしゃべられるとわからないということもありました。しかし、ここ一年ほどでハノイやホーチミンで流しのタクシーをつかまえるのが段々厳しくなってきたのを感じるようになってきました。明らかにシェアサービスの広がりでタクシーの数が減ってきているのです。中にはタクシーの運転手自身も自分の車を持ち込んで契約し仕事している(個人タクシーではなく、タクシー会社のブランドで)ケースもあり、そういった運転手は、タクシー会社のコールで迎車するだけでなく、GRABタクシーとも契約していて、GRAB配車依頼がAIによってコールされて客をつかまえているのです。

一方、タクシー会社の車が減ってきたということは、タクシーの運転手の質が低下してきたということも言えます。先月から2週間ほどベトナムに滞在していたとき、流しのタクシーをつかまえて行先を告げた途端、メーターを倒さずにほぼ倍の値段を吹っかけてきた運転手に4回遭遇しました。特にハノイでは、どこからどこまで乗ったらだいたいどれくらいの値段になるかは感覚的にわかるので、すぐにベトナム語で「メーター使わないんやったら乗らない、すぐにここで降ろせ!」と動きかけた車のドアを開けかけてまくしたてると、慌てて値段を下げて交渉しようとしてきたので、すぐに下りて他のタクシーを探しました。

そういうこともあって、今回はできる限りGRABタクシーを呼ぶことにしたのですが、使いだすとこれほど便利なものはないと改めて感心しました。まず、GRABタクシーは運転手が所有する車なので車内は非常にきれいにしてあるのが普通です。次に感心するのは、スマホでアプリを立ち上げ、位置情報を開示して設定することで、運転手はピンポイントで迎えに来れます。アプリで行先の番地と通り名を入れて配車ボタンを押すと、自動的にルートと金額が確定し、それを条件に近くを走っている運転手のスマホに配車引き合いを配信します。そして運転手が受け入れ返信すると、こちらにその運転手の名前と顔写真、車の車種とプレートナンバーが表示されます。そこでOKを出すと配車契約が成立、その車が今どこの通りを走っていて、あと何分で到着するかが示され、ほぼリアルタイムで迎車ポイントに向かっている表示が地図上でわかります。そして、到着して乗るわけですが、行先は一切告げる必要はありません。共有したルートが運転手のスマホナビに出るので、その通りに走るだけで値段も最初に表示されたもの以外にはありません。また値段はAIが道路の混み具合から自動的に算出するみたいで、使う時間帯によって微妙に異なりますが、総じてタクシーよりも2割ぐらい安いといえます。そして到着して決められた金額を払い、下車してすぐに登録したメルアドに領収書のメールが送られてくるのです。これを一旦使い始めるともう普通のタクシーには乗れませんね。

これと日本を比較してみたのですが、どんどん先へ進む新興国のタクシーのインフラを考えると、改めて日本の規制業に守られたぬるま湯的な体質に暗澹たる気持ちになります。

先日、箱根湯本に仕事で行ったとき、朝が早かったということもあるのですが、タクシー乗り場に一台も止まっていないのです。電話しても、今、出払っていて15分以上かかるとのことでした。結局観光地の駅前タクシー乗り場でありながら30分近くも待ってようやく一台が来たのです。そもそも観光地のタクシーは台数も制限されており新規参入がありません。しかも運転手不足が常態化していて配車されているタクシーは少ないのです。もっと住民や観光客のために、機動的に交通機関を準備できるような規制緩和が必要ではないでしょうか。日本では壁が厚いですが、もし自由にGRABタクシーのように自家用車のシェアライドが可能となれば、もっと魅力ある社会インフラができるように思いいますし、そもそも日本のタクシー代は高すぎます。新規参入や新しいテクノロジーにどう対応していくかという経営革新なくして業界の発展は望むべくもないということを感じています。

このままではベトナムに本当に追い越される日がくるのではと思います。