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今こそベトナム投資のチャンス

アメリカと中国の間で貿易戦争が過熱を帯びています。アメリカはついに、2000億ドル相当の中国からの輸入品に10%の追加関税を課すと発表し、年末には税率が25%に拡大することになりました。今回の措置により、中国からの輸入品の半分以上が制裁関税の対象になり、さらにこのまま中国が妥協しない限り全ての中国製品が対象になるでしょう。

遡ればアメリカにとっての対中国の巨大な貿易赤字の是正を求め、一方的に追加関税を課すところから始まっていますが、もっと根深い問題として、「米国の技術と知的所有権に関する多くの不公正な政策や慣行」を指摘し、市場原理を尊重するという約束に反する中国の行動に是正を求めるということが底辺にあります。これはそう簡単に是正できるものではなく、中国がアメリカから航空機を買ったりして貿易赤字の解消に努めるといったレベルでは妥協できるようなものではありません。相手に身勝手な性格を変えろといっているようなものですから。

元々、2001年に中国がWTOに加盟できたのは、中国が当時掲げていた「改革開放」にコミットして外国企業の競争を容認し、知的財産を保護する約束を履行することを前提にしていたわけです。この合意はおおむね、中国を他の貿易国のように取り扱い、紛争解決はWTOの仲裁で行うとしていました。ところが、中国の経済改革は規模が大きくなるにつれて態度の増長が鮮明になり、特にリーマンショック後の世界的な金融危機への対応で、国有企業に信用を供与する政策を強化していったのです。これは、結果として内外無差別の条件に著しく違反し、外国企業に対する差別につながりました。2012年に権力の座についた習近平氏はこの流れをさらに強化し、「中国製造2025(メード・イン・チャイナ2025)」計画が、アメリカだけでなく欧州を含む外国企業に対し、中国市場へ投資しないのなら、知的財産を差し出すことを求めたことが完全に引き金となったように思います。

つまり今回の貿易戦争の底辺にあるのは、貿易赤字もさることながら、中国が知財を盗み取り覇権国家としてアメリカの地位を脅かしていることへの警戒感ですので、GDP世界第一位と二位の国が覇権をかけて引くに引けない状況にある追加関税の措置となっていることを理解しなければなりません。今後政治動向によってどう事態が変わるかわかりませんが、海外で事業を推進している企業にとっては、すぐに対応しておかねばならないこともあるように思います。

チャイナプラスワン再び加速か

今から6年前の2012年、尖閣諸島への香港活動家の上陸以降、尖閣諸島の国有化を機に、中国政府自身が扇動する形で大規模な反日暴動が起き、多くの日本企業が破壊・略奪行為を受けました。この事件以前から中国での人件費が急上昇していたこともあり、それまで世界の工場として中国を製造業拠点として強化してきた流れが、この事件を契機に一気に変化し始め、日本企業の東南アジアシフトが「チャイナプラスワン」の形で加速したと言っても良いでしょう。

当時、中国で製造事業を続けることのリスクが盛んに叫ばれました。多くの企業ではできれば中国からアジア等にシフトしたいと考えておられました。しかし、中国から撤退となりますと、多くの困難がありました。相当以前から中国に進出していた企業は、独資ではなく合弁事業でないと認可が下りなかった経緯もあり、国営企業系の合弁パートナーがいるため、撤退したいと思ってもまず同意を取り付けることはできません。また地方政府にとって企業が撤退することは不名誉であるばかりか、税収入の減少につながるので、まず政府の許可がでません。投資全てを中国側に価値ゼロで与えて撤退するか、夜逃げする以外にはなかったのです。

日本企業は夜逃げをするようなことはほとんどありませんでしたが、チャイナリスクに対応するために、「チャイナプラスワン」という事業展開で、中国の拠点を中国国内事業中心に絞り込み、日本持ち帰りやアジア需要への対応とコストダウンによる事業を推進するために、中小企業が第二拠点としてベトナム始め東南アジア各国に多く展開していきました。

昨今、日本の製造業の海外投資の伸びは落ちてきています。これは需要がないという側面よりも、製造業企業そのものの高齢化による成長戦略の挑戦活力の低下、そして少子化加速による事業承継問題や人材不足によって海外どころではない事業存続の危機ということが要因であると考えています。海外需要が伸び、海外でのビジネスチャンスは益々拡大しているにもかかわらず、海外で活躍できる企業体質が弱体化しているともいえるのです。

そして今、米中の貿易戦争の行方がどうなるかが、日本企業によっても大きなリスク要因となるのは必定であり、海外経営戦略なしの国内ひきこもり経営では、さらに事業存続そのものが危ぶまれてくるのです。おそらく中国で製造して欧米へ輸出するという事業モデルはさらに厳しくなると思われます。最初から中国市場のみに焦点をあてた中国展開であれば影響は少ないでしょうが、たとえ欧米向け輸出事業でないとしても、中国に入ってくる部品やエネルギー、機械そのものが中国自身がかける報復関税で高くなり、物価や製造コストへの影響が多大なものになってくるでしょう。そうなってきますと、どこまで中国で製造事業を続けていけるのか、先を見通す経営判断が求められます。

ベトナムにとっては最大のチャンス

この貿易戦争の行方はまだはっきりとはしませんが、この状態が続くことで、以前のチャイナプラスワンでベトナム等に進出済の拠点のメリットがさらに高まってくると思います。また今後リスク対応のために、新たに中国製造拠点の機能を見直すか、撤退も視野に事業再編を進める必要性が出てきます。そのとき、中長期的視野で見た場合、ベトナムのメリットは相対的にさらに優位になってきます。また、新たなチャイナプラスワンもしくはチャイナリフォーム・アジアプラスワンの動きが起きてくるのではないかと見ています。

TPPではアメリカがいったん抜けた形となっていますが、アメリカを除く11カ国で新TPPが間もなく発足していくことが確実であり、アメリカの対中貿易戦争の根底にある覇権争いを優位に進めるためにも、結局TPP11を活用する方向に動いてくるのではないでしょうか。このTPPが効力を発揮して、おそらく製造業分野において一番メリットを享受するのがベトナムになるでしょう。TPP交渉時よりこの傾向が出てきており、特に繊維産業においては、欧米市場を見据えた場合、MADE IN TPPとしての原産国となるメリットを獲得するために、縫製以外の製糸工程や織物工程への外資による新規投資が増加していました。さらに、中国製品に対する高関税が長期となるのであれば、MADE IN CHINAを回避するために、製造工程のベトナムシフトが中国企業だけでなく、日本を含む外資系企業投資として急増するのは間違いないと考えています。

今こそベトナムでの事業拡大のチャンスなのです。

でもベトナムに展開すれば必ず成功するとは限りません。やはり中国や日本とは違う商習慣、人材での事業となります。進出後の経営をナビゲートできる信頼できるアドバイザーなしにはそう単純なものではないのです。進出後の経営を成功に導くアドバイザーとともに、一歩前へ!