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着実に変化するベトナム企業と経営者

ベトナム企業の経営者向け経営塾の講師を担当して今年で5年目になります。現在では一年に4クラスが時期をずらして開催されており、クラスごとに約25名の経営者が一同に集まり10か月間の研修が続きます。ベトナム現地で1週間朝から夕方までの研修8セッション、約2週間の日本研修と最終報告会を含めて10セッションで構成しています。私はベトナム現地での研修の一つのセッションを担当し、年間合計4週間ベトナムに研修講師として出張します。今まで4年連続して担当した経験から、着実にベトナム企業の経営に変化を感じています。

全体的にベトナム人経営者は非常に若く、30代から40代そこそこで、日本でいえばちょうど課長職前後といった感じです。当初はやはり日本での若手リーダー層向け研修をやっているような印象を受けていました。質問や議論する内容もどちらかというと青臭い面がありました。 

しかりやはり彼らは経営者です。経営者研修を通じて、どんどん経営のノウハウを身につけるだけでなく、25名の経営者同士のネットワークを通じ、お互い刺激を受けて切磋琢磨することで、一回りも二回りも大きくなっていくのです。しかも、この経営塾は10か月の研修が終わればそれでお仕舞いではありません。

OB会組織もどんどん充実させ、KEIクラブというOB会組織を通じて、常に経営塾で学んだことをどう実践しているかお互いシェアし情報共有しています。また、現在実施中の経営塾で日本から来た研修講師を活用してフォローアップセミナーを開き、常に勉強する姿勢を持ち続けているのです。今回ハノイ、ホーチミンと2週間連続で経営塾講師の仕事で出張してきたのですが、それぞれ土曜日にフォローアップセミナーで講義を依頼されたため、移動日以外全く休みなしの2週間でしたので大変疲れましたが、彼らの熱心さに思わずこちらも力が入りました。

着実に高度化する経営の質

ベトナム企業の経営は、まだまだ危なっかしいところや雑な部分もあります。日本や諸外国の企業と関係性を構築し、ビジネスを拡大するには多くの課題を抱えています。しかし、若さやエネルギッシュさがあり、大胆に変化にチャレンジする精神が豊富です。経営塾に来られる企業経営者の様子も着実に変化してきています。中には事業に大成功して大金持ちになった経営者も塾生として参加しています。大胆なチャレンジ精神で成功した経営者であったとしても、やはり経営者としてかけているものは何かという課題意識は強く、経営塾でつかんだ経営のコツは大きな財産となっているようです。

パナソニックの創業者である松下幸之助翁は、「経営のコツはここなりと気づいた価値は百万両」と言いました。そのコツとは、経営塾に参加した塾生は一様に「経営で一番重要なのは経営理念であり、それを達成するためにこそ企業の存在価値がある」と言い切るのです。

塾OBも含めベトナム企業の経営の質は着実に変化してきているのを肌で感じます。変化への挑戦、スピードへの挑戦、そして飛躍への挑戦・・・理念を自分の血肉とした企業はますます発展していくことでしょう。

一方、日本企業は事業承継が進まないままどんどん高齢化し、経営革新が進まない中、労働力不足から企業活力そのものが低下しています。日本企業に学ぶことは最早ないと言われるのはそう遠くないのではないかとの懸念を抱いています。