ベトナムのバイクにバックミラーがない理由
今、ハノイに来ています。
毎度不思議に思うのですが、これだけ交通渋滞がひどく、バイクの洪水の中で縫うように走り抜けていくのに、バックミラーのないバイクがだいたい半分ぐらいあります。普通、バックミラーがないと危なっかしくてとても運転などできないはずですが、こちらの人はすいすい走り回っています。
もちろん最初に新車でバイクを買うときには標準装備でバックミラーはついています。ということは、購入後に意図してバックミラーを外しているのです。それで問題もなにも感じていない人が半分ぐらいいるということになります。これは日本人の感覚では理解できないところですが、国によっては考え方も物事の捉え方も違うものだと感じる事象の一つです。
それではなぜあえて外すのでしょうか?いろいろ話を聞きますと、一言で言えば「ミラーは邪魔で、かつ運転に支障がないから」ということのようです。そんなはずはないと思いますが、彼らにとってみれば、バイクの標準装備のミラーはハンドル幅より少し外に出ている、つまり車幅を広げているので、車やバイクの間をすり抜けるとき邪魔だというのです。また歩道に詰めて駐車するときもミラーがあたって邪魔なのでないほうがいいらしいです。
それなら後ろが見えないと危ないというと、そう思っている人は、ハンドルの中央に小さな球面ミラー式のもので、運転手を含めて後ろが何となくわかるものをつけているようです。ただつけていないほとんどの人は、単に「後ろを見る必要がない」から要らないというのです。運転というものは前に向けて進めるものだから、そもそも後ろを注意して走るものではい、追い抜く人が前を注意して走れば十分で、なぜ追い抜かれる人がわざわざ後ろを気にしないといけないのか、たとえ気にして後ろから抜いてくる人がいても、前は何もできないではないかというのです。
なるほど、一理あるとは思ったものの、前しか見る必要がないという感覚は、周りに配慮しないという国民性にもつながっているようにも思えます。後ろから来る人が注意義務があるとはいえ、実際に前を走る人が全く後ろを気にせずにいきなり方向指示も出さず急に曲がったりすることはよくあり、それが原因でよく交通事故が起きていることもあります。
常にどこから何が起きるかわからないヒヤヒヤした状況で周りに注意していなければならない状況なのに、自らは周囲に気を配らないという矛盾したところがあるのがベトナムです。