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EVの購入を検討しなかった10の理由

テスラがEV普及の先頭を走り、中国は国策であっという間に何百社ものEVメーカーが誕生しました。欧米や中国では環境保護ため一気に内燃機関の車から電池駆動のEVへ普及が加速していました・・・・。ところが顧客のニーズを置き去りにしたなりふり構わぬEVシフトで、様々な技術的課題や過剰生産による影響で、むしろ環境保護に反するような問題が次々に明らかになってきました。

一方、EVシフトに対してトヨタを始めとする日本の自動車メーカーは、顧客が求める価値を最優先とする姿勢から、一気にEVシフトには与せず、ハイブリッドや水素エンジン、蓄電池の技術革新を重視し、本当に地球環境にとって何がベストなのかを追求してきたように思います。

その結果、EVは日本ではまだほとんど普及していないといっても良いレベルです。これはEVシフトの技術開発競争に負けたというものではなく、地球環境や顧客にとってベストのソリューションは何かという経営姿勢の違いにあるように思います。

私も自動車の買い替え検討でもEVの購入検討は選択外でした。私が日本の一人のユーザーとしてなぜEVを検討しなかったのか、以下のような点が挙げられます。これらの理由から、現時点では日本でEVを購入するべきではないとの根拠を示したいと思います。

①充電インフラの不足と充電時間待ち時間の浪費:

日本だけでなく海外市場でも、充電インフラがまだ整備されていない地域が多く存在します。長距離を走行する際や急速な充電が必要な場合に、利用可能な充電スポットが限られることが課題です。道路や駐車場の整備、充電スポットの設置などが不足しているため、EVの利用が制限されることがあります。自宅で充電できない集合住宅に住んでいる人は、当然充電スポットを利用するわけですが、スポットの空きがあったとしても、一回の充電で最低30分はかかり、それでもフル充電はできません。ガソリンならほんの数分で満タンにできる燃料補給と比較して、圧倒的に時間の無駄という点でEVにメリットはありません。

②走行距離の制限と充電ストレス:

現行のEVの多くは、1回の充電での走行距離が限られています。特に日本のような長距離を移動することが多い国では、EVの走行距離が不足していると感じることがあります。日々使っている携帯と同じです。毎日充電の残りを気にしながら充電器も持参して使っているのではないでしょうか。普通、車を運転するときにはガス欠にならない程度での給油を考えるだけで良いところが、今の充電であと何キロ走れるかと気にしながら走るというのは、携帯と同じようなストレスを毎日受けて運転していることと同じで楽しくはないです。

③価格の高さ:

EVは従来の内燃車よりも明らかに高価です。さらにバッテリーのコスト比率が高く、走行距離を延ばすためにさらに容量を増やすには大きな容量のバッテリーを搭載しなければならず、その結果さらに重くなり、高価なEVになってしまうのは、多くの消費者にとってハードルとなります。EVの充電費用はガソリン車より燃費が良いという人もいますが、元々EVは本体価格がバカ高く、車両重量が重いことからタイヤの摩耗も激しく、タイヤ交換頻度も短くなりますし、修理がしにくい構造のため修理費用とともに保険料が相当割高になります。さらに下取り時の中古車価値は急減するため、買い替え時の下取り価格やリサイクル費用を考えると、所持している期間の総コストはエンジン車よりも比較にならないくらい高いと言えます。

④補助金や税制の変動:

EVの普及促進のための補助金や税制優遇措置は変動しやすく、不確実な状況が続いています。これにより、EVの購入を検討する消費者にとって、将来の経済的メリットが不透明になります。地球環境のための後先考えていない国ではEVに多額の補助金を供給し税制優遇策で後押ししてきました。いよいよEVの化けの皮が剝がれる段階となって、EVシフトに伴う様々な社会的課題が浮上してきたことで、不完全な製品に税金を突っ込む意味に疑問を呈するようになっています。昨年あたりからどんどん補助金の縮小や打ち切りが進んでいます。こうなると価格でも競争できないということになります。

バッテリーの寿命と交換費用:

EVの技術面や品質面の最大の課題はバッテリーです。携帯と同じようにEVのバッテリーは寿命があり、交換が必要になる場合があります。バッテリーの交換費用は高額であり、携帯でのバッテリー交換にも本体価格の10%以上の費用がかかります。高額のEVではバッテリー交換だけで200万以上もかかるなど所有コストを増加させる要因となります。携帯のようにバッテリー性能が落ちてきたから新規モデルに買い替えていくという感覚でEVを買うわけにはいきません。

⑥修理やメンテナンスの困難性:

EVは内部構造が複雑であり、修理やメンテナンスが難しい場合があります。少しの傷修理でも、車体がアルミの一体成型のため、一般の自動車修理店のように板金修理というわけにはいきません。修理対応できないことが多く、すぐに専門パーツの交換など専門的な施設や技術が必要となります。また軽微な衝突であっても、修理で高額になることが多いようです。保険の高騰を招く原因になっており、保険で修理代をカバーできず、すぐに全損廃車扱いになってしまうという事例が相次いでいるようです。

⑦冬季の気温によるバッテリー性能の低下と電池暴走の技術問題:

低温の環境下では、EVのバッテリー性能が低下するという問題があります。日本の冬季は気温が低くなることが多いため、この影響が大きいと考えられます。この冬、気温がマイナス何十度にもなる北米や中国で大寒波が襲ったとき、バッテリー機能の低下で止まってしまった車が多く乗り捨てられたようです。一方、リチウムイオン電池はよく暴走して発火事故も起きています。携帯でも過充電でバッテリーが熱くなることがあるように、バッテリーの技術的課題は製品不良だけに留まらず、火災事故や寒冷時の人命にかかわるリスクがまだまだ大きいです。品質レベルが不完全な製品といっても良いと感じています。

⑧車両の選択肢の限定:

EVの車種やモデルの選択肢がまだ限られています。テスラのギガファクトリーでは、30秒に一台生産できるといった一体成型システムによる生産性の高さを誇っているようですが、その分消費者のニーズや好みに合ったオプションをきめ細かく設定できるEVを見つけることが難しい場合があります。同じような既製品をバンバン作って値下げして売っていくというビジネスモデルが、果たして消費者に受け入れられるとは到底思えません。実際中国では過剰生産で売れなくなった同じようなEVが野ざらしにされている「EVの墓場」があちらこちらにあるようです。

⑨購入時の不安定な製品性能:

EVの新しい技術やモデルに関しては、まだまだ製品性能が不安定です。消費者からは製品の品質や性能、メンテナンスサービスに不満を訴える声が高まっています。携帯やEV等のIT製品はシステムをバージョンアップしていくことによって、不具合を改善していくビジネスモデルが通用しますが、車はいくら電装化が進んだとは言え、走る・曲がる・止まるなどの基本機能すら満たしていない製品が販売されるというのはあり得ないことで、本当に顧客視点の経営ができているかどうか疑問を感じざるを得ません。したがって私はこの一点だけでも、日本製以外の車を購入する選択肢はありませんでした。

必ずしも環境貢献や経済性の面で優れていない:

EVは走行時には排出ガスを出さないため、直接的には環境に対する貢献が期待されます。しかし、電力の発電源が化石燃料に依存している国や地域では、EVの使用によって環境負荷が減少するとは限りません。

またEVの最も重要なコンポーネントである電池の製造には、希少資源やエネルギーが必要です。希少資源の採掘や加工、そして電池の製造プロセスは環境への負荷が大きく、地域の生態系や地元コミュニティに悪影響を与えることがあります。また、電池の廃棄処理も課題です。廃棄された電池は再利用やリサイクルが困難であり、現時点では今後大量に廃棄されるバッテリーのリサイクルシステムを整える前に、一気にEVシフトするような環境政策は無責任と言わざるを得ません。

さらにEVの製造プロセスには多くのエネルギーが必要であり、それには環境負荷が伴います。特に、高度な技術や素材の使用によって、製造工程でのエネルギー消費が増加しています。この点を考慮すると、EVの製造段階での環境負荷は大きいと言えます。

これらの理由から、現時点では日本市場ではEVシフトを加速させるには時期尚早であるとの根拠が示されていると思います。EVの普及には技術革新だけでなく、品質・コスト、環境負荷に関する多面的課題の解決が必要とされ、将来的には状況が改善される可能性を見極めたうえで慎重な検討が必要と思います。

環境を旗印に何が何でも突っ走るというのは正しい選択ではないというのは論証されました。消費者は非常に賢明であり、その顧客が重視している価値を、厳しい競争の中で鍛え上げられてきた日本の自動車メーカーは選択的に正しい判断をしていると思います。後先考えずに一気に市場参入して消費者からしっぺ返しを受けていることすら気づかないメーカーはどんどん淘汰されていくでしょう。

ベトナムのVINFASTも大赤字を出しているようです。VINグループは不動産市場でも苦境に立たされています。しばらく経営動向を注視していきたいと考えています。