このページはJavaScriptを使用しています。
ご使用中のブラウザはJavaScriptが無効になっているか、JavaScriptに対応していません。
サイトを正しく表示、ご利用いただくには、
JavaScriptを有効にするか、JavaScriptが使用可能なブラウザでアクセスして下さい。

補助金申請支援アドバイザーの見極め方

中小企業の経営支援には国レベル、都道府県や商工会議所等様々な公的機関レベルで、数えきれないほどの補助金制度が実施されています。しかし補助金制度は毎年予算によってころころ中身が変わりますし、同じ補助金でも実施回数が複数回にわたって継続的であっても実施回を重ねるにつれて微妙に採択基準や申請枠が変化していきます。

中小企業の経営者にとっては、どういった補助金が適しているのか判断が難しいところでもあります。補助金がもらえるならと申請してみようと考えるのですが、補助金は要件さえ合えばもらえるいわゆる支援金や助成金といったものとは違い、事業を補助するという趣旨から、事業計画に基づいて審査されて採択しないともらえないため、申請自体のハードルはかなり高いものです。したがって安易に補助金支援専門のコンサルタントのネット広告やテレアポ売り込みの口車に乗り、申請書類をコンサルタントに丸投げして作ってもらう事例が結構多いと思われます。

国や公的機関は事業経営者自身が計画を立てて申請することを条件としていたり、ある国の補助金では、認定経営革新等支援機関に申請確認を求める一方で、代理申請は認めないといったある意味矛盾をいっても良いような制度となっています。つまり実態からすると、中小企業の経営者が単独で申請するのは難しい高度レベルの内容で審査をするのに、補助金審査で要件に合致しかつ他の申請者より優位性のある事業計画を作成できるコンサルタント等の専門家の関与なしに採択されたり、交付申請ができないような複雑怪奇な制度となっているように思うのです。

補助金支援コンサルタントの見極め方

私は認定経営革新等支援機関ですので、中小企業の成長発展の経営相談を受け、その企業にとってある補助金が有益である場合には、全力で補助金申請のための事業計画策定を全力でサポートします。その目的は補助金審査に採択されることではなく、最終的に補助金を受けての事業を実施し、補助金受けて成功するまで見届けるのが本来の支援専門家としてあるべき姿だと思っています。したがって採択された段階で成功報酬を求めるようなビジネスコンサルタントのようなことはしたくないのです。

最終的に補助金が事業実施後に交付決定された段階で成功報酬はお願いしていますが、実際には案件によっては1年以上先に見極め後にようやく支援対価をいただくことになります。キャッシュフロー上はビジネスにはならないと思うのですが私はそれでも構わないと思っていますし、これが本来の補助金支援のあるべき姿だと思うのです。

よく弊社のHPやSNSでの発信を見て、いわゆる補助金専門のコンサルタント会社から電話がかかってきます。だいたい用件としては、彼らが営業でかき集めた中小企業からの補助金申請のための事業計画作成依頼を専門家として受けてほしいというものか、補助金を申請したいと考えている企業を紹介してほしいといったものの二通りになります。

補助金ビジネスのコンサルタントの多くは、実は自らは事業計画策定の専門性は持ち合わせておらず、認定経営革新等支援機関を下請けとしてに安価で丸投げしてピンハネで儲けているか、専門家からの紹介による補助金を求めている企業を集客して、それを別の専門家につなげて利ザヤを稼いでいる自転車操業のビジネスモデルで生きています。

このビジネスモデルは国の補助金政策が安定しているわけではないので、調子にのって社員を増やして、広告宣伝に多額の資金を投入し、分不相応の高層ビルのテナントに引っ越ししていくなどすると、一気に資金ショートを起こす可能性が高いです。それでつぶれたのがK社です。

本来中小企業の経営体質の強化と新事業を後押しするための補助金を申請するための支援をビジネスモデル化すること自体に物凄く違和感がありました。私はむやみに補助金支援を収入源の中心とするような中小企業支援を行うべきではないと考えてきました。

もちろん補助金申請支援を全く行わないというわけではありません。中小企業が補助金申請を単独で行うにはハードルが高いと感じられる場合には積極的に専門家を頼っていただくことはありだと思いますが、専門家でもないのに集客をおこなって着手金や支援手数料、成功報酬を求め、第三者の専門家に丸投げするようなコンサルタントは単なるマーケティング会社です。そういった補助金支援コンサルタントは最初から避けるべきかと思います。

どのような支援コンサルタントに依頼するべきか

私が中小企業から直接補助金支援の依頼を受けたときに、何でもお引き受けするわけではありません。最初のヒアリングでどうあがいても不採択と判断できる案件は、結果的にお互いに時間とコストの無駄となるのでお断りすることにしています。

①補助金がもらえるなら新規事業に取り組みたいという案件、②事業の経営資源のほとんどが他人頼みで、競合や市場を把握できておらず自社の差別化要因がわからない案件、③ビジネスモデルに納得性がない案件、のどれか一つでも引っかかる案件はほぼお断りしても間違いありません。

補助金は企業の成長発展を支えていくためのもので、要件さえ合致すればもらえる支援金とは違います。補助率は3/4であったり、2/3や1/2というものが一般的ですが、共通しているのは「事業投資には自社投資負担分を必要とすること」と「補助金は全額事後払いであること」ということです。つまり投資資金は全額自己資金と借入金で賄わなくてはならないことが前提となります。このあたりを非常に甘く考えている経営者もいますし、補助金申請コンサルタントも着手金をもらえるので、現実既存事業の経営課題を直視せずに夢物語の新規事業の計画で申請する案件が後を絶ちません。

このような案件はほぼ不採択となるはずなのですが、たまたま応募者数が少なかったり、政策的に採択者数を増やさなくてはならないときに、どういうわけか採択となって事業が開始されてしまうことがあるのが現実です。

その結果どういうことが起こるでしょうか? 失敗してしかるべき事業に公的資金が投入されるのです。しかも無謀な新規事業のために借入金が膨らみ、既存事業のキャッシュフローも回らなくなって経営が傾いてしまいます。補助金を申請したことで倒産してしまったケースも少なからず発生するのです。

私が補助金申請支援をお引き受けするときには、その企業が成長発展していくために補助金を活用して取り組む新規事業なのかどうか、まず徹底してお話しをさせていただくことが前提となります。少なくとも補助金が出るならやってみよう、既存事業は経営者自身が何とかやってきたが、経営者の奥さんが昔からケーキ屋をやりたいという夢を持っていたので、補助金が出るならどこかのFCに加盟して事業をやってみたい・・・こういうような補助金ありきの事業はまず失敗します。その結果、既存事業がおかしくなってしまうのです。

事業承継補助金にしてもそうです。補助金を申請することが先にありきではだめです。事業承継の課題にどう解決するのかが重要で、補助金を活用することで相談者のメリットにどうつながるのかという支援と一体になって初めて有効になると思うのです。

皆さんが補助金を申請したいと思ったときには、いきなり補助金申請支援コンサルタントに相談するのではなく、企業として何を目標にどういう方向を目指していきたいのが、そのために経営戦略からマーケティング、人材等の経営課題をどう解決していくかを助言してくれる経営顧問を見つけることが先決です。