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中国の過剰生産が日本の製造業に及ぼす悪影響と今後の対応

中国の過剰生産は、世界経済にとって最早放置できないレベルに達しています。この過剰生産は市場動向や需要を無視した国家戦略に基づく行き過ぎた国営企業への補助金投資によって、中国国内消費することができず、世界中にダンピング輸出をもたらしてしまっている結果です。そのため日本を含めた諸外国では国内の製造業の衰退を招く原因となっているとし、欧米では中国産品に対する高関税障壁に踏み切るところが出てくる傾向を示しています。

中国の経済成長は、過去数十年にわたり驚異的なものでした。しかし、その成長は結果的に過剰生産という問題を引き起こし、これが日本の製造業にもさまざまな悪影響を与えています。世界中が中国を世界の工場として期待かつもてはやし、多くの日本企業はその製造力を活用し、巨大消費市場として成長戦略の展開のために、製造拠点をどんどん中国に移していきました。 しかも中国は合弁という形で外資を受け入れることで、製造技術やノウハウを自分のものにしていきました。その結果、主要なモノづくりに関する基盤を中国に移さざるを得ないところもまで日本の製造業が競争力を失ってしまったように思います。

中国は、製造業を中心に急速な経済成長を遂げました。しかし、政府の政策や企業の過度な生産拡大により、需要を上回る供給が続けざるを得ない産業構造となってしまいました。市場が右肩上がりで成長し続けている間は、この生産拡大戦略は極めて有効に働きます。しかも製造業だけでなく土地を全て所有する国が土地使用権を打ち出の小槌とした不動産ビジネスも需要が拡大することで初めて機能するものでした。この過剰生産は、特に不動産業界での需要以上の造成建築、鉄鋼やアルミニウム、太陽光パネル、そして昨今大きな問題となりつつあるEVなどの分野で顕著です。これらの製品が過剰に市場に出回ることで、世界中の価格が下落しています。

中国製造業はモノさえ作っておれば世界の工場として成長発展が約束されていたわけですが、国内需要を考えない過度な投資と生産によってあふれた製品を世界にダンピングしてしのいできたところが、国外に輸出できない中国国内の不動産市場が完全に破綻してしまい、その結果、金融や労働市場、消費が左回転して行き詰ってしまいました。中国政府は自らの製作の失敗を認めないどころか、市場実態も品質問題も情報統制で隠蔽するばかりで、過剰生産そのものすら存在しないと言い切る始末です。

失敗の反省による改革改善は経済活動では基本のキなのですが、失敗の存在を認めること自体が政府自体が存立基盤を失うことにつながってしまうのでしょうね。正直どうしようもない段階にきていて、情報を隠蔽して諸外国に恫喝外交をやっている場合ではないと思います。

日本の製造業が存続するために中国の過剰生産にどう向き合うべきか

実際、中国製造業の過剰生産によって日本企業は次のような影響を直接的に被っています。これさえ直視せずに自らの製造基盤をボロボロにされているにも関わらず、この期に及んでも中国事業戦略の重要性を叫び続けている某製造会社の中国通の役員が、日中経済団体の会長に任じられて親中の記者会見を見て頭がくらくらします。

  1. 価格競争の激化: 日本の製造業は高品質な製品を提供していますが、中国の安価な製品が市場に溢れることで、価格競争が激化しています。特に、鉄鋼や電子部品などの分野では、中国製品の低価格化が日本企業の利益率を圧迫しています。中国製品に正面から対抗するのではなく、日本製品ならではの顧客価値をどう確立するかの発想が必要でしょう。最近の例ではEVが典型的です。過剰生産で売れないEVが野ざらしになっているEVの墓場があること自体、過剰生産を明らかに証明していますし、海外に輸出する扉も閉められつつあります。日本のEV市場では中国製のEVはほとんど消費者に見向きもされません。「ありかも?B**!」と余計なコストをかけて宣伝している場合ではありません。低価格でないと見茎もされない中国EVの価格競争が激化した結果、まともに走ることもできない品質不良で突如燃えるEVなんて誰が買うのか不思議です。今やテスラを超えて世界一になった「B**」と言われた途端、急激に販売台数を減少させているようで、肝心の中国国内の消費者からそっぽを向かれる始末です。これは品質よりも価格を優先してきた過剰生産のためであり、その根本原因こそが中国政府による市場原理を無視した巨額の補助金です。売れなくても作れば補助金が入るのですからメーカーは作ることが最優先にならざるを得なかった結果にすぎません。

  2. 市場シェアの減少: 中国製品の価格競争力により、日本企業は国内外の市場でシェアを奪われることが増えています。特に新興市場では、価格が重視されるため、中国製品が選ばれやすく、日本企業の市場シェアが縮小する傾向にあります。ただ、品質がそこそこ顧客ニーズを満足させ、かつ価格競争力があれば大きな脅威になりますが、付加価値の高い自動車などではEVの環境重視の流れにそって販売台数を増やしたことで市場シェアを一時期奪われたとも言えますが、「安かろう悪かろう」のモノづくりは必ず顧客が離反していきます。一年先のEV市場の市場シェアに注目してみましょう。

  3. 供給過剰による需給バランスの崩壊: 過剰生産により市場には供給が溢れ、需給バランスが崩れています。これにより、価格が下落し、日本企業の収益が悪化します。特に、景気の変動に敏感な製造業では、この影響が深刻です。同じ土俵で戦うと体力が奪われ消耗戦では負けます。相手は全体主義国家自体であるという認識が必要です。需給バランスを踏まえた健全な競争力を培うための産業政策が必要かと思います。これには同じような補助金政策ではだめだと思います。補助金に依存すると別の国から日本に対してダンピングの疑義が定期されるリスクが高まります。今後ますます経済安全保障政策と経済政策の一体化が重視され、安易に安いからと言って中国からの輸入に頼るような産業政策は危険ですし、情報漏洩に対する厳罰化も求められるでしょう。

今後の対応策

日本の製造業がこのような状況に対応するためには、以下のような戦略が考えられます。

  1. 技術革新と高付加価値製品の開発: 中国製品との価格競争に対抗するためには、技術革新を進め、高付加価値製品を開発することが重要です。例えば、環境に優しい製品や、省エネルギー技術を活用した製品など、差別化できる製品の開発に注力する必要があります。EVは環境に優しいというのは欺瞞であるというのはほぼ実証されたように思います。今後の世界によって真の高付加価値製品とは何か、ここを極めることこそが日本の製造業が生き残る道でしょう。

  2. グローバルな市場戦略の強化: 新興市場だけでなく、先進国市場においても競争力を維持するため、グローバルな市場戦略を強化することが求められます。具体的には、現地生産や現地企業との提携を進め、各市場のニーズに対応した製品やサービスを提供することが重要です。最近の日本の製造業はグローバル市場に対する戦略性が極めて低下してきたように思うのです。海外に展開する中小企業の比率はあまり伸びていませんし、構造的に国内企業の国内調達、また海外拠点の調達に資する海外展開といった展開形態が一般的でした。、自ら海外に製造子会社を設立して、日本企業のサプライヤーとしてどう生き残るかといった市場戦略しか持ち得ていないように思うのです。例えば国内の化粧品を委託製造しているメーカーが海外に輸出したいという希望される企業が多くあるのですが、自ら海外市場を視察して業界の構造をどこまで理解したうえでの海外展開なのか疑問に思うこともたくさんあるのです。

  3. 持続可能な経営とESG投資の推進: 環境、社会、ガバナンス(ESG)に配慮した経営を推進することで、長期的な競争力を確保することができます。特に、環境問題への対応は、今後の企業評価において重要な要素となるため、持続可能な経営を実現するための投資を増やすべきです。但しここで注意しなければならないのは、持続可能な経営とは自社投資で製造会社や販売会社を作って事業を行うだけの意味ではありません。製品開発に強い企業もあれば、サプライヤーとの連携による付加価値創造に長けている企業もあります。マーケティングや流通に強い企業もあります。製造業といっても自らモノづくりを行うことだけではないのです。

  4. サプライチェーンの多様化: 過度に中国に依存したサプライチェーンを見直し、多様化するも必要ことは喫緊の課題です。日本の製造業で中国に拠点を持っている企業は、国自体が行き詰る前に、一日の早く中国拠点のあり方、将来のビジネスモデルの見直しをされることを奨めます。これにより、リスクを分散し、安定した供給体制を構築することができます。特に東南アジアやインドなど、自社子会社でもない新たな製造拠点の開拓が考えられます。

結論

中国の過剰生産が日本の製造業に及ぼす影響は深刻ですが、それに対応するための戦略も多岐にわたります。技術革新や高付加価値製品の開発、グローバルな市場戦略の強化、ESG投資の推進、サプライチェーンの多様化など、これらの対応策を総合的に進めることで、日本の製造業はさらなる競争力を維持し、持続可能な成長を実現することができるでしょう。