事業再構築補助金の無料合否判定
事業再構築補助金は思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的としたもので、既に10回の公募採択が終了しています。11回公募はまもなく10月6日が締め切りとなっていますが、12回公募はほぼ確定しており、来年度も続くとみられています。
応募には採択枠が多く設けられており、枠によって補助金額や補助率が異なり、最小100万円から最大1億5千万円と大型の補助金です。採択率は過去実績から平均するとだいたい40数パーセントということで、ある会計事務所のYouTubeでは大甘の補助金だと囃し立てていましたが、要件さえ満たせば支給される給付金や支援金とは異なり、支援機関が本気になってサポートした事業計画書を厳格な審査によって採択するものであり、そう簡単に採択されるものではありません。
さらに採択されたとしてもあくまで「補助金交付候補者の採択」の扱いであり、事業計画に組み入れた経費が全て認められる保証はありません。採択後に詳細の見積書や経費内容を具体的に交付申請を行い、補助対象経費として規定に沿ったものだけを判定されるので減額や採択取り消しもあります。その結果、交付決定がなされて初めて補助事業に取り組める段取りとなります。
その後決められた補助事業実施期間を終えて実績報告を行い、その報告に基づく確定検査後(現場確認)に交付額の確定がされてからようやく補助金が支払われることになります。つまり事業そのものの資金は自社で賄わねばならず、事業のための投資資金を全額自己資金か金融機関からの借り入れで実施できなければ再構築事業そのものは頓挫することになります。もちろん採択取り下げとなるばかりか、元々補助されない分の投資は自社負担ですので、事業目論見通りの事業が実施できなければ、会社全体の経営すらおかしくなってしまう覚悟がいる補助金という理解が必要です。補助金がもらえたら新しいことをやってみようというような軽い気持ちで申請するならやらないほうが身のためです。
事業再構築補助金に採択されたことで余計に資金繰りが厳しくなり、再構築事業に失敗して会社自体が倒産してしまったという笑えないことが実際に発生しているのです。
この補助金の申請にあたっては、補助金規定に沿って事業計画策定を行い審査が必要となるため、経産省が認定した認定経営革新機関が支援を行い確認書を出さなけば申請ができない仕組みとなっています。当然、申請したい企業としては支援してもらえる認定経営革新等支援機関を探して依頼することになるのですが、支援機関に依頼するのも無料では誰もやってくれませんので、報酬対価として採択の成功報酬という形で支援サービスを提供しているコンサルタントが多くいます。
認定経営革新等支援機関の支援と規定
40数パーセントの採択率とは言え、支援専門家である認定経営革新等支援機関がバックについて事業計画策定を進めるのですから、ある意味専門家同士の熾烈な戦いでもあると言えます。補助金支援による報酬を収入の柱にしている支援機関やコンサルタントは採択率の高さをアピールして集客しているWEB広告やYouTube、DMが多いと思われませんでしょうか。ところが最近いろんな点で問題が表面化してきています。
実態として、中小企業経営者自身に再構築事業の事業計画を単独で作成できるようなスキルをお持ちの方は正直申し上げてそんなに多くはおられません。だいたいが補助金がもらえるなら新規事業に取り組んでみようという安易な動機の方が多いのです。はっきり申し上げて補助金ありきの事業計画はまず採択されませんし、どんなに支援機関が事業計画を取り繕っても、思い切った事業再構築に意欲を有する熱意と覚悟があるかどうかというのは審査員は一発で見抜いてきます。補助金がなくてもやれるという事業への取組みでないとまずは成功しないということを考えてもらいたいところです。
補助金ありきで新規に事業を取り組みたいと考えている経営者ほど、認定経営革新等支援機関やコンサルタントに事業計画作成を含む申請書類一式の準備を丸投げする傾向が強いのです。支援機関の中には補助金の「代理申請」を標榜して企業からワンストップサービスとして受注しようとする悪徳コンサルもいますが、「代理申請」は完全に規定違反であり、それが発覚すると採択取り消しになるだけでなく、認定経営革新等支援機関にもペナルティが課せられます。
申請者は事業計画の作成は必ず申請者自身で行うことが規定で明記されていますし、外部機関はあくまで事業計画の検討やブラッシュアップのための助言によって、経営者自身による実行および成果目標の達成に責任を持つことが求められています。もし外部機関が代理で作成したということが明確になれば取り消しになることが考えられます。ただ、今までは実際には外部機関が成功報酬として事業計画の作成について、文章構成や表現全体を含めて経営者からヒアリングを繰り返して作っているのが実態ではないかと思われます。
ところが第10回採択発表時に、事務局としてアクセス解析を行い、特定の認定支援機関の支援先において代理申請が行われたとして、公募要領違反で審査対象外とする旨公表されました。おそらくその認定支援機関は複数の支援先から代理で事業計画書を作成する業務を受託し、申請のためのGビズIDとパスワードを教えてもらって支援機関の事務所にあるパソコンから申請書類をアップロードしたのではないかと考えられます。申請時のIPアドレスを事務局でソートして、申請者のGビズIDが複数出てくれば明らかに代理申請となると判断したのだろうと思います。
以前から事務局は外部機関が高額の成功報酬を請求することに警鐘を鳴らしています。採択結果は「補助金交付候補者」の採択に過ぎず補助金の交付決定を保証するものではないため、「補助金交付候補者」採択時点で事業計画に記載のある金額に対して成功報酬を取ること自体、提供するサービスと乖離した高額な成功報酬を請求する悪質な業者とみなしている節があると感じます。少なくとも採択後の交付申請支援もせず、交付決定前の採択時点で成功報酬を請求するのは今後不適切な行為として禁止してくるのではないかとみています。
第11回の公募要領には、『認定経営革新等支援機関及び申請書の作成を支援した外部支援者がいる場合は、事業計画書の「事業計画書作成支援者名」「作成支援報酬額」の欄に当該事業者名及び当該事業者に支払う報酬の内容(成功報酬の場合は、補助金交付候補者の採択時に支払う金額)と契約期間を記載してください。申請支援の実態に関する調査を実施するとともに、トラブルが起きた場合の通報窓口を設置し、不適切な行為と認められる事案をとりまとめ、公表します。当該支援者が認定経営革新等支援機関である場合には、認定経営革新等支援機関名の公表、業務改善命令や認定取消に至る可能性がある』と明記されました。この記載を見る限り今後成功報酬のあり方について何らかの指針が出てくるのは間違いないと思います。
ところが現時点では何が申請支援として適切なのか、支払う報酬としてのガイドラインについては全く示されていません。事務局としての考え方も毎回変化しており、今後外部機関としても採択されて交付決定の可能性が高い案件した扱わなくなる傾向が強まってくるでしょう。その結果おそらく企業が申請したくとも支援してくれる外部機関が見つからないケースが増えてくるのではないかと感じています。
今後認定経営革新等支援機関として
実は、私自身は認定経営革新等支援機関の中小企業診断士ですので、事業再構築補助金申請の支援を行える立場ではありますが、海外事業経営コンサルティングを事業の中軸としていることもあり、過去の事業再構築補助金には認定経営革新等支援機関としての関わりが今まではありません。
各方面から支援のご相談は受けるのですが、特に海外事業に軸足を置き、広範囲の経営支援の観点から経営アドバイザーとして企業の成長発展に貢献することができればと考えており、補助金の申請書類を代理で作成して採択報酬を得るような事業は自身の矜持に合わないことからあえて避けています。
しかし事業再構築補助金の制度や審査基準等にも精通しており、採択される事業計画とはどのようなものかについては自信を持って高い確度で判断できると考えております。補助金はあくまで経営診断・支援の手段の一つであって、決して目的化するような診断士活動はしたくないと考えているからです。
幅広い観点から経営革新についてご相談をいただけるのであれば、積極的にご支援していきたいと考えております。
採択される事業計画か無料で合否判定診断します
認定経営革新等支援機関として補助金申請の支援を行っておりませんが、もし皆様が次回以降の事業再構築補助金に挑戦されることで作成された事業計画書について、採択されるものかどうか第三者の視点から意見がほしい、また過去申請したけれども同じ支援機関で繰り返し不採択となった原因を知りたいという方がおられましたら、メッセンジャーを通じてご連絡ください。
無料で簡易診断させていただきます。但し、もし私が審査員という立場だったらどのような採点とコメントをするか率直な意見をお伝えします。再度作り直したら良いのか、それとも事業自体を根本的に見直すべきなのかまで無料で助言させていただきますが、その覚悟がおありの方のみに限定させていただきます。