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企業は変態であるべき

2022年が明けて早半月になろうとしています。振り返ればこの2年間はコロナ禍による激動の波に飲み込まれ続けてきました。私自身の海外展開に関わる仕事も、実際海外出張にすら行けない状況が続き、企業支援のあり方も対面によるコミュニケーションからオンラインによる価値提供が当たり前の世界に変わりました。今後の事業の方向性についても再構築を迫られてきています。

振り返ればこの2年間は企業個々のあり方だけでなく、産業界全体の価値観も激変してきたように思います。改めて2020年から2022年の3年間は、経済社会のみならず、国家のあり方、個人の生き方・考え方にとてつもない変化が起きた極めて特異な時期として歴史の転換点として記憶されることでしょう。

企業自身もコロナ禍の直撃を受けた飲食業や観光関連が苦境に立たされているのは顕著ですが、今や特定業界だけでなく人と人のつながりを基盤した事業全体に深刻な影響が広がり、じわりじわりとあるあらゆる業界、製造業や建設業、サービス業、メディア業界に至るまで構造的な変化が起きてきています。

仕事に関連して事業再構築やモノづくり、IT革新に関連する補助金申請での企業の経営革新計画に関わることが多いのですが、その計画案や企業の方向性を訊くことで、この大転換点の時代の企業経営のあるべき姿について考えさせられます。

その結論の一つが、「企業は変態でなければならない」ということです。

変態な企業が生き残る

と聞いて、もし食事中で吹き出さてしまったらすみません。でもこれは真剣な話です。

本質的には「変化する企業」とほぼ同義語でもあると思っていただいても構わないのですが、もっと奥深い意味であえて「変態企業」と表現しています。では、「変化する企業」と「変態企業」ではどう違うのでしょうか。

ここで「変態」の意味についてWikipediaによると、「変態とは、形を変えること。また標準的なものから変異した状態。また派生的には変態性欲、倒錯した異常な性的嗜好を持つ者のことをいう。さらに派生して精神性、行動、スタイルなどが異様で突飛なことを指すこともある」とあります。

もし吹き出された方がおられたら、どの意味を受けとめたのかは想像できますが、企業経営にとってはそれ以外の「形を変え標準的なもの(考え方)から変異し、行動、スタイルが異様で突飛なこと」が求められているのではないかと思うのです。

コロナ禍が起きる数年前からデジタル革新が着実に進んできていました。さらにコロナによってテレワークやオンライン経済が一層加速し、旧態依然とした価値観でしか事業を行えない企業はどんどん淘汰される事業環境の激変が起きています。

本質は変態だけども考え方が変態しないメディア

一番わかりやすい例でいえば、オールドメディアとそれに連なっていたエンタメ業界の凋落です。

以前から若年層の新聞離れ、テレビ離れ、そして本が売れない時代ということはここ10年ほど叫ばれてきました。しかし多くのメディア業界に生きる人達は、時代の変化に対しても自分たちは常に正しいが政府が悪い、ネットはウソが多いというように他を批判することだけに終始しているだけでした。自らの価値観が正しいのか、自分たちの情報発信の内容や方法が、世の中のニーズに合っているのかについて一切反省してこなかった結果どうなったでしょうか。

今、企業でのデジタル革新の軸は、いかにして紙をなくすかということからの発想で進められていることを知れば、情報は紙を媒体にしてやり取りしたり、一方向で発信するものではなくなっていくのは明らかです。新聞や雑誌など出版業界は一気に消えることはなくとも、限りなく縮小するとともに質も低下していくことは間違いありません。

テレビについても、情報をに電波に乗せて一方的に発信するスタイルが古い手段になってしまいました。テレビ業界は新規参入を規制で防いできたこともあり、NHKと数社のキー局の寡占に胡坐をかいている間に、競争による革新が起きませんでした。くだらない不安をあおる長時間のワイドショウやお笑いとグルメ番組ばかりのテレビは、一方的にコンテンツ放送するだけでは双方向性と個人対応力に欠けます。ネットでいつでもどこでもスマホで視聴できるようになったライフスタイルの変化に追随できず、広告価値が低下する一方ではスポンサーも離れていくスパイラル状態に陥ってしまいました。

これではいけないと、新聞社もテレビもどんどんネット配信するようになってきました。気づけば多くの芸能人が今まではブログ中心だったのが、動画チャンネルを開設して多くの視聴者を集めるようになりました。ただ旧メディアは今までと同じ価値観やスタイルで情報を発信するので、ステマやウソ記事による宣伝収入を得たり、特定政党から制作費をもらうなどの問題が起きています。

メディアというものは本質的には倒錯変態だけど行動とスタイルの変態はしないのです。・・・この意味わかりますか?

企業が目指すべき変態とは

もちろん企業が目指すのは倒錯した変態ではありません。精神性、行動、スタイルといった面で、標準的常識から外れた突飛な変異を目指すことに他なりません。

これほど経営環境が激変している中で、いつまでも国に支援金だの補助金だの求めているだけでは先が見えません。国も補助金自体見直した方が良いと思います。補助金申請をしようとしている企業の事業計画書を見ても、思いつきで新たな事業に取り込もうとしているところが多いように感じます。外部環境分析も内部環境分析も表面的にやってはいるのですが、独りよがりの分析に留まっており、新たな事業に参入しよとする割には、市場分析も競合分析も客観的でないところが目立ちます。

中でもこれはだめだと感じるのが、自らはどう変わるのか、つまりどんな変態企業になるのかのビジョンも行動計画も全く触れていないところです。過去の成功体験に自信を持っている経営者ほど自分の足元を振り返らず、「リスク回避」の名のもとに変態どころか変化そのものすら忌み嫌う傾向が強いというのが、今までの企業支援の経験で得た実感です。

世の中が変わったことに嘆き悲しむより、自らどう変態してその変化を乗り越えているのか、2022年が記念すべき年となれるよう変態としての生き方を極めたいと思います。(別の意味ではなく・・)