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激動の今こそやるべきことを考える

日々、想像もつかない事態が起きています。武漢で新型コロナウィルス肺炎が蔓延し始めたとき、ほとんどの人は対岸の火事のような感覚であったと思います。経済への影響も短期間にここまで深刻化することなど思ってもみませんでした。

マスコミの情報だけを見ていると、何人の感染者がどの県で出たとか、PCR検査が希望しても受けられないとか、学校が一斉休校になったのは唐突だとか、問題だけを殊更強調しています。確かに政府の動きが鈍かったということはあるとは思いますが、今まで経験したことのない憂慮するべき事態が次々に起きているときに、マスコミや野党政治家などは、政府を批判することに終始し、だったら今自分たちはどうするのかという具体的な視点がいつも欠けていることが残念です。

現時点はいかに感染拡大を防ぐかということに最大の注力をかけるべきです。学校を休校にする、感染拡大国からの入国制限を行う、人が集まるイベントを自粛する、テレワークや時差出勤を進めるなど、実際の効果についての根拠に疑問を呈している人も多いようですが、他により良い方法が考えられないのであれば、あえて今回やることの意味は大きいと思います。1~2週間やってみても、もしかすると効果が出ないかも知れません。しかし、これは国民が一丸となってやってみようという気持ちにならなければいけないと思います。やろうとする政府の足を引っ張って批判するだけでは何も生まれません。ここ最近の対応を見ていると、国家的危機に直面しているという感覚を持てず、いつまでたっても私利私欲、自分自身を正当化し、上から目線での批評ばかりやっているマスコミや政治家の本質を見た思いがします。

どん底の地獄を見る日本経済苦境

2月いっぱいまでは何とか予定されていたイベントや研修の仕事を消化してきました。ところが3月に入ると状況は一変しました。学校も休校となり、企業の会議や研修、イベントが全て中止となり、人の動きが一気に止まってしまいました。先月末から何とかつながっていたベトナムからの日本研修のために、東京と新潟に出張して業務をこなすことができたのですが、日々刻刻と変わる事態悪化の中で、研修プログラムも適宜リスク管理をしながらの綱渡りでどうにか終了し、ベトナム人の参加者が本当にぎりぎりのタイミングで誰一人熱を出すこともなく帰国してもらうことができました。

ところが、この研修支援業務をこなしている間に、どんどん3月のイベント関連の他のスケジュールがキャンセルとなりました。外国人観光客があっという間に町から消えていき、インバウンド需要を享受していた店舗やレストランなどの悲鳴が日々大きくなる中、学校の休校、企業のイベント自粛やスポーツやコンサートなどエンターテイメントの中止、自宅勤務や時差出勤、テレワークの推奨など、町から人の姿が一気に消えていくのを目の当たりにしました。東京、新潟での研修支援の時期、新幹線はいつの時間帯でもガラガラ、プラットフォームから人影が消え、いつも混雑している山手線や中央線はどこかのローカル線かと疑うほど空いていたのです。まさに日本経済全体が冷凍庫の中に放り込まれた感じです。

国はコロナ対策としていろんな助成金を考えているようですが、そのような付け焼刃では、当面のキャッシュフローを維持する助けになったとしても、景気減退を持ちこたえさせるのはまず無理です。いくらテレワークで対応しようと、人が動かなくては付加価値を生む手段には成りえないと思います。製造業ではサプライチェーンが機能しなくなっているため、納期通りの販売達成は不可能です。何割の減収となるかはまだ予測できていません。商店や飲食業など人が動かないことで直接的に影響を受ける業界などは、おそらくどん底の地獄を見ることでしょう。体力的にも脆弱なので、今後全く中国や韓国からの観光客が入ってこないことに加え、企業活動や人の動きが凍結することにより、売り上げは見るも無残な状況に陥ることは確実で、おそらく倒産する中小企業、個人事業がどれだけになるか前代未聞になるような気がします。

あれよあれよという間に株価は暴落しており、3月の企業業績は一気に冷え込み、また消費税増税の影響が年明けから顕著になってきているところへコロナショックに見舞われたわけです。あと、これは言葉にするのもタブーに近いものの、薄々多くの人が感じ始めている東京オリンピックの行方です。日本で何とか5月までに抑え込んで安全宣言を出せたとしても、おそらく世界各地の多くでは蔓延状態が続いていると思われ、そういった状況で本当に世界から人を呼んだ世界イベントであるオリンピックが開催できるのか、状況は非常に厳しくなってきていると思います。

新型コロナウィルスを押さえ込むことは実質難しいのではないでしょうか。最大の問題は、新型インフルエンザのときのようなタミフルやリエンザといった特効薬がまだ開発できておらずワクチン開発にも時間がかかるということです。いずれは特効薬とワクチンによって、普通のインフルエンザと同じ疾病の一つとして扱えるようになってくると思いますが、タイミング的には非常にまずい状況です。

日本経済のみならず世界恐慌の足音もひたひたと迫ってきている空気を感じます。

激動の今こそやれること、やるべきこととは

多くの企業は経営危機に直面しています。こんな状況であるにもかかわらず、人の弱みにつけこむ輩が出てきています。人が困っているからこそ儲けるチャンスであるからと、マスクやトイレットペーパーを高値でネット販売している転売屋には辟易します。ダフ屋と全く同じです。商売や事業で付加価値を創出し、その対価として利益を得ることは当たり前の商行為ですが、かといって何をやっても良いわけではありません。何をするにしても社会のために、顧客のための貢献という大義名分、つまり理念が絶対に欠かせません。転売屋も特殊詐欺師も同じ穴のムジナです。社会に存在する意味はありません。恥を知れといいたいところです。

今回の新型コロナウィルスによる危機は、いわゆる通常のリスクマネジメントの想定範囲を超えています。もちろんリスクマネジメントの項目の一つとして「疾病」リスクの評価と対応をBCPで構築している企業は多いです。しかし、一気に顧客が消えてしまったり、感染者が出た途端、事業停止に突然追い込まれたりして、事業再開の見通しが全く立たなくなるような激震を正しく評価できている企業はほとんどいないのではないでしょうか。

今は緊急事態です。私自身も3月の仕事は全てなくなりました。4月以降の予定はありますが、実際どうなるか予断を許しません。中小企業の多くが同じ状況に直面していることと思います。企業にとって売り上げが止まってしまうことは、死に直結する由々しき事態です。しかし、じたばたしても全く先が見通せません。

それでは今何ができるのでしょうか、そして何をやるべきでしょうか。

キャッシュフローがどこまで持つかとの企業個別の問題はありますが、助成金や借入金で走り回ることに時間をかけているだけでは、ある意味将来の復活のチャンスを逃していることでもあると思うのです。日ごろ事業で多忙なために振り返ることができていなかった社内のしくみ改革、ビジネスモデルの見直し、人材育成やスキル・モチベーション教育の棚卸をやれるチャンスを貰ったということも言えるのではないでしょうか。4月以降に感染の広がりが収束し、安全宣言が出るのをひたすら待つ受け身の経営でよいのでしょうか。今こそ将来のV字回復に向けて、今何を仕込まなければならないのか、社長一人で考えるのではなく、暇になった従業員の知恵を結集し、外部の知見も借りながら、徹底して議論をし尽くすチャンスです。

売り上げが激減している今はなかなかそういった気にはならないでしょうが、コロナ問題が解決した瞬間に仕掛けられた企業が一気に成長の果実を獲得すると思うのです。

今できることは何か? 人を集めるセミナーは今はほとんどが中止されてしまいます。逆に今がチャンスです。今が一番考えに考え尽くせる時期です。売り上げが落ちてジタバタするより、世の中が今何を求めているのか、どう変化しているのか、そのビジネスチャンスはどこにあるのかを知るには、思い切って会社を離れて町や人の様子をじっくり観察したり、外部の識者の話を個人的に聞くことで何かひらめきがあるはずだと感じています。

まだ少し寒いけど、今月の仕事が全て吹っ飛んでしまったので、バイクでお遍路の続きもやってみようかなと考えているところです。