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深刻化する中小企業廃業を打開するM&Aと海外展開の促進

中小企業に必要な3つの支援スタイル

少子化がじわじわと日本経済に深刻な影響を与えつつあります。以前から中小企業の採用が厳しく人の確保が困難でした。しかし、最近の人手不足は企業の存立基盤を揺るがすまでになっています。特に外食産業や介護、物流など人手に頼る業界でより深刻です。やむを得ず、本来の主旨とは違う外国人実習生を貴重な労働力として活用している企業も増えているのが実態です。

この少子化の問題は、人手不足に苦しむ中小企業への影響だけではありません。今後急速に問題となってくるのは国全体の生産年齢人口の縮小が加速することです。社会保障の担い手である生産年齢人口が減ることにより社会保障が支えきれなくなるのは確実です。影響はそれに留まりません。生産年齢人口の中で労働の意思と能力を持つ労働力人口は、社会保障の担い手であるだけでなく、主要な消費者層でもあるわけです。全人口が減少する中で、この労働力人口層に過度の社会保障負担を求めると確実に消費に影響が出ます。家や車といった耐久消費財が売れなくなると、関連する住宅設備や家電なども売れません。人口が減ることで、今後国全体の消費が冷え込むことが避けられません。(一人あたりが生み出す付加価値が労働人口減少以上に効率を上げることができれば別の話ですが・・)

少子化による人口減少に加え、企業の高齢化と遅々として進まない事業承継が日本企業とくに中小企業の活力と体力を蝕み、国際競争力を失わせている現実を直視しなければなりません。 東京商工リサーチによる2016年「休廃業・解散企業」動向調査(引用:http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170119_01.html)によれば、倒産件数は8,446件と8年連続で減少し、26年ぶりに8,500件を下回りました。一方、水面下では倒産の3.5倍の2万9,583件が休廃業・解散しているのです。毎年4万件近い企業が市場から撤退しており、休廃業・解散件数は過去最高を記録しました。

関西の中小企業廃業で4兆円消失

11月4日付の読売新聞夕刊の記事で、近畿経済産業局の試算によれば、後継者不足から中小企業の廃業が進み、関西では今後2025年ごろまでの約10年間で、118万人の雇用と約4兆円の域内総生産が失われるとのことです。関西では後継ぎがいなくても対策を先送りしたりする傾向が強く、特に①関東の会社に自社を売りたくない、②高く売ることに執着が強いため交渉が円滑に進まないーなど、関西の”経営者気質”が一因と考えられるとしています。

経営者の高齢化は中小企業では常態化しており、平均的な「引退年齢」の70歳を超える中小企業経営者は、25年には6割を占めるようになり、その半数が後継者が未定となって、多くの廃業が生じる恐れが高いといいます。後継者がいないことが明確であるならば、雇用を守り次世代に事業の付加価値を継承していくためにも、できる限り早くシナジーが期待できる事業譲渡を検討するべきだと思います。廃業となりますと、ほとんどの場合従業員は失業し、資産を処分しても借入を返しきれない場合も多いのです。しかし、M&Aでの譲渡価格は純資産と営業権を加えたものが基準となるため、借入金があっても結構高い価格で売却できる可能性があるのです。廃業による雇用の喪失と域内総生産を避ける意味でも、後継者が確保できない企業は、休廃業ではなくM&Aの選択をしてもらうことが最善と思います。

中小企業の休廃業が増えている大きな要因には二つあります。

① 事業承継問題を含めた人の確保 ・企業経営の後継者がいない、確保できていない ・経営者の高齢化による能力、意欲の低下 ・ビジネスモデル、保有技術の陳腐化による競争力低下 ・品質、技能の低下と高コスト化による収益性悪化

② 市場のグローバル化の加速による国内市場の縮小 ・主要取引先がグローバル展開し国内取引が減少 ・日本の低い経済成長率とアジア市場の急成長

廃業の危機を打開するにはM&Aと海外展開の促進

中小企業が事業を続けるには、少子化による労働力不足と市場の伸びが期待できない日本に留まっていては行きづまるのは当然の成り行きになっているのです。事業継承も販売先も確保して成長発展を図るためには、まずはいかにして事業を司る人の受け皿を確保するかが最大の課題です。

後継者確保のためにM&Aを活用することを起爆剤とし、労働力確保も海外人材を活用し、伸びる海外市場で成長発展を目指せる企業体に生まれ変わることで、「次世代につなげる中小企業の海外経営」を実現できる産業構造にしてもらいたいと思っています。