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中小企業経営の危機!高齢化が競争力とチャレンジ精神を奪う

最近、東洋ゴム、神戸製鋼はじめ日産やスバルの無資格検査など、以前の日本のモノづくりではありえなかった根本の品質に対する信頼を揺るがす不祥事が連発しています。これは特定の大企業の経営体質や経営者の管理責任というレベルのものとは思えないのです。何かモノづくりの基盤が根底からぐらついているような感じがします。中小企業だけは大企業と違ってそんなことはあり得ないとは言い切れるでしょうか。過去、実態としては中小企業の未熟さを大企業が品質管理や生産管理の基本からカバーしていた面が多かったと思います。その世界に誇る品質をけん引していた大企業のモノづくりがほころびを生じていることが大変深刻です。

一方、先回のブログで事業承継問題が中小企業の危機をもたらしていることをお伝えしました。後継ぎがいないために廃業に追い込まれる中小企業が毎年2万社もあることは相当深刻です。中小企業が誇りとした品質を作りこむノウハウ、匠の技が次世代に継がれなくなってきているのです。その廃業の問題とも連動しているのが、中小企業経営者の高齢化による企業活力の低下です。後継者も見つからない状態では、将来いつたたむかの意識しか持てず、株譲渡や遺産相続の税務対策ばかりを考えてしまいがちです。まして成長を求めて海外に打って出るチャレンジ精神も起きるはずもなく、グローバル競争に勝ち抜いていく産業競争力を急速に失ってきているのではないかという懸念です。

 深刻な経営者の老齢化

中小企業の年代別経営者の分布データによれば、1995 年と 2015 年の経営者年齢のピークは 47 歳から 66 歳に 19 年分シフトしています。過去 20 年前の経営者の年齢がほぼそのまま高齢化しているのです。つまりほとんど経営者の新陳代謝が行われていないことになります。若年経営者による新規企業の参入も少なく、事業承継もほとんど進んでいないことを意味します。これは日本の産業活力という点では深刻な状況です。

最近、事業承継の問題について語られることが多くなりました。この問題はほぼ二通りに分類できます。一つは、経営者が高齢化する中で後継ぎが実際 におらず、廃業か事業売却に迫られているケースです。家族経営でやってきた企業 を息子に継がせたいと思っても、そもそも核家族で子供が少ない、もしくはいないか独身であったりします。肝心の息子もサラリーマンとして生計を立てており、家業を継承する気持ちも全くないというケースが多いのです。また経営者自身も成長性のない事業で苦労してきた人生を子供に負わせたくないという気持ちが強く、しかも80 歳を超える年齢となって仕事に対する意欲や判断力も低下し、このままでは廃業もやむをえないという会社が増えてきています。経営者にとっては、高齢で体も動かなくなって気力も低下するので仕方ないということですが、実際長年働いてきた従業員にとっては、今後の人生がかかってくる問題です。

また、事業を通じて培ってきた代替のできない技術やノウハウが途切れてしまうことは、取引している大企業にとっても深刻な問題です。このような中小企業の廃業が増えることは、日本経済にも多大なる影響が出てくることは由々しき事態なのです。

廃業問題もさることながら、中小企業の成長発展にとっての問題点は、チャレンジ精神、つまり企業活力の低下です。経営者が高齢化するほど、経営者の承継の問題よりも事業の新陳代謝を進める意欲が低下することの方がより深刻です。 実際、海外に積極的に展開し、新たな市場を獲得する挑戦に積極的な企業では、事業承継も計画的に進めているところが多いのです。経営理念の実現に向け、経営者自らが最前線で頑張って新たな経営に挑戦している企業は、ほぼ例外なく 40 代以下の若手の二代目以降の承継者か、外部から招聘もしくは内部で昇格された優秀な経営者が引っ張っています。

もう一つは、事業承継における遺産相続の問題です。幸い後継ぎがいるとしても、後継ぎに事業を承継させる場合の相続税の問題や、家族内での株所有の分配、経営権の問題が経営に深刻な影響を引き起こすケースが多くみられます。経営者自身も、スムースに事業承継させるために遺言を作成したり、株の承継を生前に進めるべく対応される方が増えてきました。商工会議所などでも積極的に相談に応じていますし、行政書士や税理士なども事業承継に関する支援体制を充実させつつあります。

中小企業の多くは同族経営による企業体です。残念ながら、経営者自身の判断一つで経営が行き詰るケースはよくあります。小規模の企業であっても、従業員を雇用し、社会から経営資源を調達して事業を行う限りは、価値を生み出すことで、国・社会の発展のために納税義務を果たす社会的責任があります。企業経営をあくまで生計手段のレベルでとらえている経営者は、高齢化とともに事業継続そのものの意欲が低下し、常に廃業を視野に将来を見据えている割合が増えてきます。

また、経営者の承継だけでなく、技能やノウハウを次世代に引き継いでこなかった企業は、事業を成長発展させるというよりも、会社資産をいかにして守るかということに意識が強くなります。経営に直接関わらない家族があれこれ口を出すことで、後継者が思い切って経営のかじ取りを行えず、身内のことで頭を抱える日々が続くことで、事業継続の危機に直面する企業経営者の声も聞こえてきます。

事業承継は個々の企業だけの問題ではありません。日本経済の行く末にも関わります。活力ある企業の実現やノウハウの継承を戦略的に進めるには、経営者の資質に欠ける家族に承継させるよりは、社会の基盤である企業を次世代につなげるために、企業間提携や合併、M&Aの仲介を推進していくことも重要です。事業承継の優遇税制などの政策を積極的に進めることが求められるのではないでしょうか。