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残念なラーメン店で感じた流行る飲食店の条件

中小企業経営の支援の機会が多いのですが、どちらかと言うと飲食店や小売業界については専門支援分野ではありません。海外展開支援についても、最近は日本食レストランなどの進出引き合いについて、政府関係機関も専門家派遣など積極的に行っていますが、専門的な知見が少ないと自覚している分野で、企業に助言をすることは無責任だと思いますので、ご相談を受けてもあえて海外経営や販売拡大などで留意する共通点の助言に限定しています。

支援専門外と言いましても、飲食店を利用する際には、一般の来店客の一人ではありますが、やはり診断士としての視点から、店舗運営でいろいろと経営的課題について目に止まることが多くあります。店舗支援専門家からすると、私の見方は素人っぽい点があるかもしれませんが、案外経営的にあたっている面もあるのではないかとも思います。

残念なラーメン店

先日、息子と一緒に阪急三番街に新規開店したラーメン店に行った時のことです。最近三番街は大幅改装し、地下レストラン街でも多くの新しい飲食店がオープンしていました。その中の一軒に、つけ麺が売り物のラーメン店がオープンしていたのです。店構えもなかなかのもので、値段は全部900円以上で少々高いものの、麺に対するこだわりというか、自信を持った味を提供というのが目にとまり店に入りました。内装も普通のラーメン店より立派で、椅子やテーブルも比較的ゆったりとして落ち着いて食べれそうでした。

ところが・・・です。なんとそこはまず入口で注文して前払いをするのです。狭い店舗でもないのであえて食券を買うというようなシステムを導入する意味がわかりません。前払いシステムをしているため、まず客はレジのところでメニューから注文品を選んで先にお金を払うのです。そして、レジの女性が注文シートを書いて、おつりを渡して席に案内するのです。その間、次に来た人はずっとレジの手前の入り口のところで待たされます。このラーメン店はなぜ前払い制をしているのか大変不思議に感じました。次の客を待たせてしまうこと、また客は落ち着いてメニューを見て選ぶことができないこと、そして案内されたテーブルにはメニューがないので、追加で何か食べたいと思ってもテーブルからオーダーできないこと、など一体オーナーは何を考えているのか大変不思議でした。あまり有名な店ではなさそうでしたので、フランチャイズではなく小規模のラーメン店かと思います。

店の評価は味と値段だけじゃない

つけ麺の味はそこそこ満足のいくものでした。店の雰囲気やテーブルも落ち着いているので、接客さえきちんとやれば十分流行るのにもったいないと感じたのです。普通、客は飲食店を単に出された食べ物を短時間で食べるためだけに利用しているのではありません。まず来店に際して気持ち良く迎えられ、案内されたテーブルでお水などの提供を受けて、じっくりと食べたいものをメニューから選んでオーダーします。そして、あまり待たされずに食事が提供され、その食事の質、量に満足し、店員からの接客と最後に値段に見合う食事で楽しい時間を過ごしたという満足感をもって代金を払って帰る。ここまできちんとできて初めてまた来ようという気持ちになるのです。それを、サービスも何も提供していない入口のレジで、せかされるように立ったままで食事を選んで先に金を払わせる、客にとってこんな失礼なことはないと思うのです。

食券制をとっている飲食店は、基本的にサービスの提供はしません、単に食事を出すだけですと宣言しているようなもので、それはそれで満足できる人をターゲット顧客とする限りはは問題ないと思います。そういう格の店なので値段もそれなりで十分です。ただ、そのつけ麺店は、そこそこ味もレベルが高く、店構えもラーメン店としては顧客を引き付けるものであったのに、一点、前払い制のシステムを導入したことで「店の品格」を落としているような印象を持ちました。うまくやればつけ麺ブランドとして確立できるような商品をもっているのに非常に残念でした。

私は利用した店舗に不満があっても、あまり面と向かってクレームすることはありません。たまたまテーブルに「お客様の声」のメモがおいてあったので、一応客がどう思うか聞きたいという姿勢は大変評価できると思い、あえて「店の品格を落としている残念な前払いシステム」ということでコメントは残してきました。

客の立場から素直に振り返ることは大事

何か考えることがあっての前払いシステムだと思うのですが、実際客の立場に立ってどう感じるか、素直に振り返ってみればおのずから何が正しいかわかることでしょう。一か月後どのように変わっているか、もう一度行って確認するのが楽しみです。もし何らか改善しておれば、私はこの店を皆さんに胸を張っておすすめすることができると思います。