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ベトナム人の若手経営者から学ぶこと

先週からベトナムでの経営者向け研修講師として、ハノイ、ホーチミンに出張しています。当研修は「経営塾」と呼ばれ、JICAによる新興国の経営人材育成支援ODAの一環です。ベトナム企業の経営者層が参加し、ほぼ一年にわたる長期研修として、ベトナムでの研修講義だけでなく、日本訪問も組み込まれ、日本企業訪問や交流、ビジネスマッチングまで含まれた充実したODA支援として実績を上げています。

私自身は日本型経営研修の専門家の一人として、その中の一つのテーマである「経営計画・実践ワークショップ」に関わらせていただくようになって4年目となります。

毎年の出会いと新たな気づき

毎年新しい塾生との出会いがあります。単に講師の立場で一方的に講義するのではなく、塾生から学ぶことも多く、毎回新鮮な刺激を受けます。特に驚くのは、研修に対するモチベーションの高さと新たな知識や勉強したことに対する吸収力です。

私がベトナムで勤務していたときにも感じていたのですが、ベトナム人社員は全体的に勉強好きな人が多いのです。会社で研修プログラムを実施するときも、進んで研修参加申し込みをしますし、社内で提供できる研修が少ないときには、外部の研修センターなどを自分で調べてきて、「専門分野の勉強をしたいので社外での研修カリキュラムに参加させてほしい」と要望を受けることがあります。そうして身に着けたスキルを将来的には転職時のアピールに使うことにもなるのですが、そういうこともあるのがベトナムであるという前提で、どんどん社員の能力開発のために社外研修参加の後押しもやっていました。

経営者層も実践的な経営能力を高めたいという思いも高く、JICA支援によるこの経営塾では、ベトナム国内での成果に対する評価が上がるにつれてもっと定員やクラスを広げてほしいという声が高まり、徐々に開催箇所も広がってきています。特に評価されているのは、一年の長期研修を通じ、参加企業の経営者間でネットワークが広がって、新たなビジネスにつながったり、経営クラブという経営塾同窓コミュニティによる相互研鑽、経営研究活動の輪が広がっていることです。

日本の経営者研修との違い

日本でも企業研修であったり、経営者向けMBA研修などの育成プログラムが数多くありますが、ベトナムのような途上国での経営力強化研修は、単なる個人の能力開発という視点だけにとどまりません。産業分野の垣根を乗り越え、国全体の経営者ネットワークによる着実な経営力強化が加速している様子をひしひしと感じています。

またこの毎年参加される経営塾の塾生は、皆一様に非常に若くてエネルギッシュです。30代後半から40代前半が参加者の中心で、日本では企業組織のしがらみで押しつぶされている課長職前後ぐらいの層が、ベトナムでは企業の経営者としてバリバリ頑張っているのです。正直能力的に会社経営は大丈夫かと疑問を感じる方もおられますが、意外とそういった方が事業をどんどん拡大して非常に儲けている場合があります。

研修講義で説明する内容も、古い現役時代の知識だけでは全く通用しません。吸収力が高いため、世の中の変化には非常に敏感です。彼らの気づきを超えるモノの見方であるとか、これからどのように世の中が変化していくかについて、ベトナム人の経営者以上の見識を高めていかねばならないことを気づかせてくれる貴重な経験となっています。